また、あした

春嵐

　また、あした。

　つい、言ってしまった。

　もう会えないのに。

　最後まで、言えなかった。親の仕事の関係で、転校だって。もう会えない、って。

　電話番号も知らない。親同士の交流もない。そして私は、携帯電話も持っていない。八方塞がりで、未来のなくなった、恋。

　車の窓から見える、山並み。次の行き先では、どんな景色が見えるのだろうか。きっと、そのどれもが、しばらく色あせて見えると思った。描けるかどうかも、分からない。

　彼のいない日常。

　私だけの日々。

　想像ができない。

　そして、もうしわけないなって、思う。

　また会えると思ってる彼に、つい、言ってしまった。

　また、あした。

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