第428話 処刑執行! その5

「罪状は……」


「ま、待ってくださいっ!」


「ん?」


 むぅ、今更何を言ったところで無駄なのに……と言うか! この私の言葉をさえぎるとか、このクソ女神は何様のつもりなの?

 私に圧倒されて、何度も何度も殺されて、挙句の果てには拘束されて処刑を待っている罪人のくせにあり得ないんですけど!!


『あはは、まぁ彼女も自分の命がかかってるわけだからね。

 基本的に神に本当の意味での〝死〟、消滅はあり得ないけど……その恐怖を彼女に思い出させ、心身に刻み込んだのは悪魔ちゃんだからね。

 彼女が必死になるのも当然だよ』


 ふっふっふ〜ん! この私の手にかかれば不老不死であり、精神生命体である神を殺す事など容易いのだよ!!


「わ、私は、この世界を創造主……最高神より任せられた主神です!!

 主神である私が消滅した場合、この世界に大きな混乱が訪れる事は確実です。

 そのような状況になればかのお方が! 最高神ネフェリアス様が黙っておりません!!」


 おぉう、ここでまさかの他力本願かよ……てか、邪神。


『なにかな?』


 お前の名前ってネフェリアスって言うの?

 初めて聞いたんですけど……


『そうだよ? 名乗ってなかったっけ?』


 名乗られてない。

 へぇー、ふぅーん、そうですか。

 つまり、邪神にとって私はその程度の存在だって事なんだ。


『い、いや! そんな事はないよ?

 悪魔ちゃんの事は転生した時から見守ってきたし、自分の娘のような思っているとも!!』


 娘、娘ねぇ。

 ふん! まぁ良い。

 しかし、ネフェリアスね……お前が手助けしたショウが作ったネフェリル帝国の国名ってお前の名前が大元?


『いかにも。

 本当は名乗るつもりなんて無かったんだけど、名前だけでもって懇願されてね?』


 ふむ、まぁ邪神はすぐに調子に乗るからな。


『えぇ……悪魔ちゃんには言われたくないんだけど』


 何か言った?


『いや、何も?』


 けど謎なのが、何でショウは邪神の名前を知ってて、国名の元にすらしたのに自分を助けたのが邪神じゃなくてクソ女神だって勘違いしたんだろ?


 まぁ、異世界召喚はクソ女神が人類に授けたって話は出回ってたし、神々の名前なんて一杯あるからなぁ。

 現に地球の神話とかでも同一の神なの複数の呼び方がある神もいるわけだし。


 それに加えて主神でもあるクソ女神が後から干渉してくればクソ女神が助けてくれた存在の正体だって勘違いしても不思議じゃない……のかな?

 まっ! 詳しくは今度本人に聞くとして。


「魔神レフィー、貴女であれば最高神と敵対することの危険性がわかる筈です。

 この世界のためにも! このような愚かな事はもうやめてください!!」


 煩いし、しつこい。


「おい、邪神」


「な、何を? 私の話を聞いて……」


 お前のせいでクソ女神が騒いでるんだぞ!


「どうにかしろ」


『えっ、私のせいってのは横暴じゃ……』


 最高神お前という希望があるからクソ女神は騒いでるんだぞ?

 私に名乗ってなかった件については許してやるから早くやれ!


『はいはい、まったく……娘の頼みなら断れないね。

 さぁ! 刮目したまえ! ついに謎に包まれていたこの私が神秘のベールを脱ぐ時が来た!!』


 うぜぇ〜。


「ふふふ〜私、登場!」


「「「「「っ!?」」」」」


 うわぁ……なにその地味な登場。

 いつの間にか気が付いたらその場にいるみたいな感じでぬるっと登場したからクズ勇者とアバズレ聖女にガスター達3人が息を飲んでビックリしてるじゃ……


「あ、あなた様はっ!」


「久しぶりだね、アナスタシアくん」


「ネフェリアス様っ!?」


「えっ?」


「っ! では、貴女様が……」


「ふふふ、いかにも! はじめまして、聖女リナに勇者ノアール。

 私がネフェリアス様こと、この世界の最高神様だよ」


 そ、そんなバカなっ!?


「な、何故! 貴女様がここにっ!?

 も、もしやっ!! 魔神レフィーを?」


「そう! 実は悪魔ちゃんにはキミをどうにかしろって頼まれてね」


 い、いやまさか……でも、これは……


「は?」


「ね! 悪魔ちゃん!!」


「……」


「悪魔ちゃん? そういえば、さっきから黙り込んでるけど、どうかしたの?」


「邪神……」


「はい?」


「お前……男じゃなかったの!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る