第396話 罪
「はぁ……」
迷宮の奥深くに存在する強固な結界に守られた歓声が鳴り響く訓練場にて黒髪黒目の男、ネフェリル帝国が皇帝ショウが1人、気落ちした様子でため息を零す。
「おいおい、ため息なんて付いてどうしたよ?」
六魔王が
「レオン……」
「ったく、せっかくのお祭り騒ぎなのにいつまで落ち込んでだ!
ほら、酒を飲め!」
「いや、俺は……ごふっ!?」
喋っている途中で無理矢理酒瓶を押し付けられたショウが咽せる。
「お前っ! いきなり何するんだ!!」
「まぁ、お前の気持ちもわかるぜ?
意気揚々と登場したくせに女神に身体を乗っ取られて、お嬢を刺したんだからな」
「っ……」
「クックック、けどお嬢もあんなに楽しそうにしてるんだし。
お前も
「はぁ、お前なぁ……」
「皆んな楽しんでんのに、お前1人辛気臭い顔をされると空気が悪くなるだろうが!」
「わかった! わかったから背中を叩くな!!」
「クックック、わかったならいいんだよ。
お前も少しはお嬢を見習え!」
レオンから酒を受け取り、苦笑いしながら
「おい、レオン」
「ん? 何だよ」
スクリーンの中でレフィーが徐に前方へと手を翳し……
『
全てを呑み込み、破壊する漆黒の光が放たれた。
「アレ、ヤバいんじゃ……」
「……ヤバいな」
「アレの前方に俺の
2人の間に静寂が舞い降りる。
「ま、まぁ! お嬢の事だから大丈夫だろ」
「そ、そうだよな!
いくらレフィー様でも流石に戦いの流れ弾でネフェリル帝国を消し飛ばすなんて事はしないよな!?」
「あぁ、しっかし咆哮って手から放ってるじゃねぇか」
「ははは、まぁレフィー様にそんな理屈は通用しないからな」
***
「ふふっ、あはっはっはっ!!」
この爽快感っ! 最高に気分が良いわ〜!!
ふふん! どうだ驚いたか!? って言ってもクソ女神は聞こえてないだろうけど。
竜の姿に変身していようが、していまいが私が竜の因子を持っている事実は変わらない!!
つまり! 竜の姿に変身して無くても咆哮を放つ事ができるのだよ!!
「……」
「うそ、何コレ……」
唖然と目を見開くクズ勇者の、愕然と呟くアバズレ聖女の視線の先。
瓦礫と化した山が……その背後に聳え立っていた大山脈が消し飛んで消滅し、後には視界の限り何処までも続く抉れた地面だけ!
ぷぷっ! クズ勇者もアバズレ聖女も唖然としちゃって!!
まぁ、文字通り大山脈を消滅させて地形を変えてやったわけだし、こんな反応になるのも当然だな!
ふふん! コレぞ我が咆哮の圧倒的な威力なのだよ!!
『けど良かったの?』
む? 何が?
『いや、ショウのネフェリル帝国も巻き添えになったんじゃないかなぁって思ってね』
「……」
だ、大丈夫!
こう言う時のために上空でファルニクスが見守ってくれてるんだし、きっとファルニクスが何とかしてくれてる!
うんうん! コレは全部私の計算通りなのだ!!
何も問題は無い……ハズ。
多分! きっと! 十中八九! 大丈夫だと思う!!
か、確認したく無いけど一応神眼で確認を……
「っ、ふぅ」
良かった。
ネフェリル帝国の眼と鼻の先までは綺麗さっぱり消滅してるけど、帝国自体に被害は一切ない!!
周りの資源やらは後で元通りすれば良いだけだし……うん! やっぱり、何も問題は無いな!!
「ふふ」
さて、ちょっとした憂いも晴れた事だし! 今は……
「ぅ……」
なんとか無事に防ぎ切ったようで何より! 流石は主神たる女神様だわ!
「あはっ!」
はい! パチパチパチ!!
「おめでとう」
喜べ、私の咆哮を防ぎ切った事は褒めてやる!
まぁ全身ボロボロの傷だらけで、無様に地面に膝をついてるけど!!
「ふふ……」
「っ!」
あっ、せっかく拍手して褒めてあげたのに睨まれた。
まぁ、別に良いけど。
「〝平伏せ〟」
「ぐっ!?」
とりあえず、クソ女神を平伏ささせてっと。
「アナスタシア、お前は私に、罪を償えと、悔い改めろと言った」
笑わせるな!
「ふざけるな。
お前が、お前達が私に何をしたのかを……お前達の罪を教えてやる!
神能・付与ノ神」
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