第389話 深淵
3日……いや、1日寝てたから4日前か。
クズ勇者共と対峙して前世での祖国、アルタイル王国の王都ペイディオを文字通り消滅させてやったあの日。
「ふふ……」
せっかく盛り上がってきて、良いところだったのに。
結局、神能の覚醒とそれに伴う進化のせいで遊びの途中で眠っちゃって痛み分けみたいな感じになっちゃったけど….
「この光景!」
五大国の中でも特に名高い超大国アルタイル。
アレだけ栄えていたアルタイル王国の王都ペイディオが文字通り消滅して、広がるは荒野とかした巨大なクレーターのみ!!
うんうん、絶景かなっ!
自分の治める国がなす術なく侵略されて、蹂躙されて。
世界で最も栄えてるとまで言われた王都が自分達の目の前で!
国王、王妃って国を治める立場のくせに。
世間から救世の六英雄、勇者、聖女とか呼び称えられてるくせに!
その場にいたにも関わらず! 何もできずに王都を消滅させられた気分はどうだったかなぁ〜?
「レフィーお嬢様、お飲み物のおかわりはいかがでしょうか?」
「ん、ありがと」
王都ペイディオにおいて、唯一消滅前と変わらない場所。
前世の……公爵令嬢だった時に家族と過ごした王都のお屋敷。
お屋敷自体は焼き討ちにされちゃってるけど。
かつての我が家のお庭から私達を蔑み続けた人間共が住んでいた荒野とかした王都を眺めてお茶をする。
お父様やお母様、お兄様に可愛い妹、まだ赤ん坊だった弟。
そして使用人の
気休め……と言うより、私の気分的な問題だけど。
コレで少しでも、何の罪もないのに殺された皆んなへの手向けになったかな?
なんちゃって! 私とした事が、ちょっとセンチメンタルになっちゃったわ。
「さて」
お墓すら造られる事なく、魔物化したらダメだからって理由で灰すら残さず焼かれてしまった皆んなのお墓も建てられた事だし。
感傷は浸るのはこのくらいにして……
「レフィーお嬢様、準備は恙無く整っております」
「ん、わかった」
この3日間で一縷の希望を抱いた愚かな人間共にわからせてやる。
4日前のアレは痛み分けでも何でもなかった事を……
「あはっ!」
希望なんて何処にも存在しない事をっ!!
「創滅ノ神……」
さぁ! 愚かな人間共よっ!
愚かな
そして、醜い女神よ……刮目しろっ!!
翼を広げて押さえていた
私の魔素が、神能の権能がクレーターの荒野とかした王都全域を一瞬で包み込む!
「
ほんの一瞬にして。
荒野だった王都の光景が変化する。
世界が創り変えられる!
「ふふっ……」
クレーターが埋まって、荒野だった王都の中央に荘厳な神殿が出現する。
その神殿の内部に唯一存在する地下へと続く巨大な扉。
地下迷宮の最奥。
皆んなのお墓がある、お屋敷を中核としたダンジョン。
アクムスの世界樹に続いて地下100階層以上からなる第二の迷宮、
「あはっはっはっはっ!」
さぁ! 愚かな者共よ!!
世界からも創り変える私の圧倒的な力を目の当たりにして恐怖に震えろ!!
この3日間、何もしてないようで我が軍がここ旧アルタイル王国王都ペイディオまでの大陸西方部の約半分を支配下においたし。
ファルニクスとの手合わせとかを通して、神能の権能の把握も十全にできた。
以前とは違って魔素の乱れも無くて体調万全っ!!
「さぁ」
4日前のお遊びとは違う。
本格的な侵略を! 絶望を!!
「復讐を始める」
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