第386話 神能とは

『まぁ、いきなり神能って言われてもわかんないよね』


「むっ」


 何かムカつく言い方だな。

 調子に乗りやがって……いつか絶対にぶん殴ってやる。


「では、私が神能について説明しましょう」


「ん」


「少々お待ち下さい」


 ん? シルヴィア?


「残念ながら私も神能というモノについては存じ上げませんので、ご説明はファルニクス様及び邪神にお任せします」


『えっ? ファルニクスは様付けなのに、私は呼び捨て?』


「ですが、いかに眷属やファルニクス様とは言え男性は男性。

 専属メイド長としてこれ以上レフィーお嬢様にこのようなお姿をさせる訳にはいきませんので、お話の前にレフィーお嬢様の身嗜みを整えさせていただきます」


 言われてみれば寝てる間にシルヴィア達に着替えさせられたのか私が今着てるのは胸の下辺りをリボンで絞った前開きの白いネグリジェのみ。


「ふむ」


 目の前にはファルニクスにグラン、フィルと男3人。

 そして私はただでさえ寝巻き姿なのに、ファルニクスの診察のために軽く胸元をはだけさせて……


 アウトっ!

 透ける程では無いにしても、こんなに薄いネグリジェ姿だって事だけでもアウトなのに……コレは完全にアウトだわ。


 今にして思えば昨日はクズ勇者共と遊んでる途中で気絶しちゃったから、血塗れになったのにお風呂にも入ってないし。

 恥ずかし過ぎて軽く死ねる! いや、死にはしないけどっ!!


「では、そう言う事ですので失礼いたします」








 ***








「こほん」


 身体の汚れは魔法で落とせるわけだけど、気持ち的に微妙だからお風呂に入って。

 マッサージを受けて、約2時間!

 待たせちゃった皆んなみんなには悪いけど、心身ともにリフレッシュした事ですし……


「それで、神能って?」


 ふふっ、決まったわ。

 足を組んで、優雅にコーヒーカップを傾ける……うん、やっぱりコーヒーはちょっと苦手だわ。

 チェンジで。


「シルヴィア」


「かしこまりました」


 即座に目の前に用意されるいつものココア!

 さぁ、コレで準備は整ったっ! どんな話でもどんと来いっ!!


『何か、今日はやけにテンションが高いね』


 なんか知らんけど、いつになくぐっすりと寝たおかげか今日は元気いっぱいなのだよ!


「では、改めて神能について説明します」


「ん」


「神能とは、その名の通り神が使う能力の事です」


 神が使う能力、ね。


「レフィーの言いたい事はわかります。

 何故レフィーが超越者、神へと至ってから今日まで神能ではなくそれまで通り普通にスキルを使っていたのか、でしょう?」


 そう、私が神になってから5年。

 神能なんて一切知らなかったし、なんなら普通にそれまで通りスキルとか魔法とかを使ってた。


「それは、レフィーがこの世界の理から外れていなかったからです」


「世界の理?」


「そう、世界を統括する世界の意思。

 我々神々が創り上げた自動的に円滑に世界を管理するためのシステムの事であり、スキルなどもそのシステムの一部です」


 ふ〜ん、用はスーパーコンピュータとかAIみたいなモノってわけか。


「そして神とはレフィーが定めた魔王と同じく、一定以上膨大な魔素エネルギーを持った存在を指し示す言葉であり、その証拠が超越者と言う称号です」


 それは知ってる。

 そもそも魔王制度はこの超越者のシステムを真似て作ったモノだし。


「しかし、いかに神とは言え世界の理から外れるわけでは無い。

 だからこそ、レフィーは世界の恩恵であるスキルを使う事ができていたわけです」


「ふむ」


「しかしながら、いずれ膨大過ぎる魔素エネルギーは世界の理。

 世界を管理するシステムでは処理しきれなくなり、理から外れた存在へと至る」


 あ〜、何か読めてきたわ。


「つまり、私はその理から外れたと?」


「その通り。

 レフィーが神に至って5年、私との手合わせや終焉の大地での魔物との戦いなどを通して順調……と言うより、凄まじい速度でレフィーの魔素エネルギー量は増大していましたからね」


『まぁ、悪魔ちゃんは負けず嫌いだからね。

 ファルニクスに勝てない事が悔しくて堪らなかったんだよね〜?』


「う、うううるさい!」


 黙ってろバカ邪神がっ!!


『はいはい』


「ふふ、話を戻しますが。

 世界の理から外れ、システムの恩恵を受けれなくなった時。

 その時点で保有している全てのスキルがシステムから外れたその者の能力へと変質し、神能へと至ります」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る