第383話 暴走する力
「ふふっ、あはっはっはっ!!」
この体内を満たして渦巻く膨大な
魂を震わせる高揚感っ!
『「くっ……」』
「アナスタシア」
ふふっ、随分と苦しそうだな?
まぁ放出と、吸収。
荒れ狂う膨大な魔素の奔流の真っ只中にいるわけだし。
言ってしまえば前後から絶え間なく膨大な魔素を叩きつけられてる状態だ。
常人なら肉体が耐えきれずに爆散してるだろうし、いかにショウの身体を乗っ取ってる女神でも辛いのは当然だけど。
それはさておき……
「〝退け〟」
たかがクソ女神の分際で、いつまで私の背後に立っている。
『「ッ──!!」』
「お前とは、また今度遊んでやる。
〝消えろ〟」
『「ギャァぁっ!!」』
ふん、女神とは思えない悲鳴だな。
『「くっ……うふふ、例えこの子から私を退けようと、剣が貴女を貫いている事実は変わりません。
すぐに浄化された貴女の魂と再開する事となるでしょう」』
「ふむ」
対悪魔に特化した剣で、
『「なっ! 何をっ!?」』
剣の刃を握ると同時に、ジュッ! っと音を立てて掌が焼け爛れる。
確かに並の悪魔なら触れた瞬間に浄化されて消滅するだろうし、高位の悪魔でも触れる事すら厳しいだろうけど……
「あはっ!」
掌が焼け爛れようが関係ない。
この程度でこの私を! 原初の悪魔にして、神へと至った超越者たる魔神!!
六魔王が一柱たるこの私を殺せるとでも思ったか?
『「そんな……」』
剣の刃を握り潰した手から血が滴ってるけど、魔素でできた剣を霧散させる事はできた。
「〝失せろ〟」
『──ッ!!』
もう2度とショウの身体を乗っ取れないように、ショウとの回路を完膚なきまでに潰してやる。
私と遊びたいなら依代を使うんじゃ無くて本体で来い。
それができないのなら、天界から指を加えて見てろ。
「っ……! レフィーお嬢様っ!!」
「ご主人様っ!!」
「レフィー様っ!」
「お嬢様、ご無事ですかっ!?」
「陛下!!」
「レフィーお姉様!!」
「陛下! 血がっ!」
「ん、問題ない」
ちょっと手が焼け爛れて。
心臓が貫かれて。
血塗れになっただけだし。
『いやいや、問題大ありだよ。
普通なら死んでるからね?』
まぁ、不本意だけど想定外だった事は認めてやる。
まさかクソ女神がショウの身体に憑依して攻撃してくるとは思ってなかった。
『思ってなかったって……悪魔ちゃん、未来視のスキルがあるでしょ?
この未来を見てなかったの?』
そもそも未来視でみることがあできる未来は、過去視とは違って確定してる事柄じゃない。
あくまでも幾多も存在する1つの可能性なのだ。
尤も! 私の未来視の精度は凄まじいし、まずその未来になるんだけど。
とにかく! せっかくのお楽しみを先に見ちゃったら面白くないじゃん!!
まぁ、そんなわけで肉体の破損は大した問題じゃない。
そもそも、この身体は魔素で構築された肉体だし。
問題なのはもともと何故か魔素が乱れてたのに、クソ女神のせいで余計に乱されたって事。
「ただ、上手く魔素が制御できない」
つまり!
「巻き込む可能性がある。
だから、後ろで見てて」
ハッキリ言って、この魔素の制御が乱れてる上に、
敵味方関係なく巻き込む自信がある!
「ぅ……レフィー様、俺……」
「気にしなくて良い。
ショウも、皆んなと一緒に下がって」
「わかり、ました……」
もう我慢できない。
早く暴れたい。
暴走でも何でも良い、いつも抑えて込んでる
「皆んなも、早く」
「「「「「「「はっ!」」」」」」」
皆んなが一礼すると同時に、ショウと共にシルヴィア達の姿が掻き消える。
「ふふっ……」
さぁ! これで我慢する必要は何も無いっ!!
上空に飛び上がって唖然とするクズ勇者共を見下ろし、翼を広げて力を解き放つっ!
「あはっ! あはっはっはっはっ!!」
魔素が吹き荒れてクズ勇者共を吹き飛ばす!
付与者の権能と吹き荒れる魔素が、私に到達する前に勇者共の攻撃を掻き消し。
大罪系スキルの権能が勇者共を翻弄して弄ぶ!!
『ぴろん!』
『ぴろん!』
『ぴろん!』
『ぴろん!』
いっぱい、天の声による通知音が鳴り響いてるけど細い事はどうでもいい!!
もっと! もっとだ!!
私は暴食にして強欲!
怠惰で傲慢で嫉妬深い、大罪の悪魔っ!!
もっともっともっと! 魔素を! スキルを!
「全てを寄越せっ!!」
『ぴろん!』
「っ! ぅ……」
意識が朦朧と……未だにクソ女神にやられたところの傷は治ってないし。
ちょっとだけ、内面にダメージを受け過ぎたか。
力が抜ける……このままじゃあ、地面に落下する……
「ぅ、ぁ……」
視界が霞む……全身が寒い。
くっ、そ、意識が……
「全く、無茶をしすぎですよ」
優しく何かに。
安心できる何かに包み込まれて……意識が黒く染まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます