第375話 王都決戦 その5

 降り注ぐ白滅光ホーリーをクズ勇者共が避ける度に王都の地面が抉れる!

 襲い来る羽根を避ける度に近くにあった建物の壁が消し飛び、穴だらけになった建物が崩落する!


「ふふっ、あははははっ!」


 避ければ大切な王都がメチャクチャになるし、かと言って避けなければ大ダメージ。

 最悪の場合なら致命傷、もしくは即死してもおかしく無い。


 まぁ、昔ファルニクスとやり合った時とは違ってアイツらのレベルでもギリギリ躱し続ける事ができる程度に手加減してやってるし。

 例え直撃しても急所には当たらないようにしてるから、死ぬ事は無いだろうけど。


 結界で防ぐにしても、ただの結界なら何の意味も無さないだろうし。

 クリスの神器・世盾ユミルの守護結界ですら耐えられるのはほんの数瞬だけ!

 さぁ! 救世の六英雄様に五大熾天様はどうするのかな?


「くそっ、クリスっ!!」


「わかっています!」


 ふむ、クリスの結界で防ぐつもりか。


「ふふっ」


 バカ共め! そんな事やっても無駄なのに。

 何とかしてこの状況を打開して欲しかったけど、コイツら程度じゃあ無理か。


 まぁ、必死になって私の攻撃を避け続けるのを見るのも飽きて来たし。

 そろそろ、これはやめて違う方法で甚振ってやろう!



 ガシャッ!



「ん?」


 っと、危ない危ない。

 いくら私よりも普通に弱いクズ勇者共と羽虫共が相手で、コイツらを甚振る方法を考えてたとは言え、戦闘中に考え事に耽るのはよろしくない!


「今ですっ!!」


 へぇ、アバズレ聖女の支援魔法で結界を強化してるのか。

 そんでもって、何とか結界で耐え凌いでる間に他の連中が一斉に魔法で私に攻勢を仕掛けるってわけね。


「あはっ!」


 うんうん! このくらいはしてくれないとなっ!!

 各々が広域殲滅魔法に匹敵するクラス魔法を放ってるけど、王都を破壊しちゃっても良いのかな?

 いやまぁ、既にここら一帯は私との戦闘……主に私の攻撃のせいで壊滅状態だけども。


 まぁ、何にせよこのレベルの魔法をロスタイム無しで放てるのは流石だな。

 仮にも人類最強とクソ女神に仕える最高位の天使なだけはある。


「けど」



 パチンッ!



「無駄」


 火、風、水、その他諸々。

 アイツらが放った全部の魔法に反対属性、同じ規模の魔法をぶつけて完璧に相殺してやるっ!!


「むっ?」


 魔素の制御が……



 ────ッ!!!



「っ! ヤツの魔法が止まった?」


「あの程度でやれるだなんてとても思えないのだけれど?」


「大丈夫、皆んなみんなの魔法が直撃したんだ。

 攻撃が止んだって事は相当なダメージを負ってるハズだよ」


「うんうん! ノアの言う通りだよ!!」


 せっかく、気分良かったのに、嬉しそうなアバズレ聖女の声で台無しだわ。

 それに、今のは……


「ふむ」


 とりあえず、この砂埃が鬱陶しいな。

 翼で吹き飛ばしてっと。


「なっ!?」


「そんな、バカな……」


「っ!!」


「我らの一斉攻撃を受けて……」


「化け物がっ!」


「うそっ!?」


「無傷、だと……」


 クズ勇者共の驚きようを見るに、今のはコイツらの仕業じゃない。

 まぁとりあえず、あの程度の魔法が私に効くハズも無いのは当然なのだよ!!


 けど、確かに一瞬、魔素エネルギーの制御が乱れた。

 そのせいで相殺しようとした魔法は発動しなかったし、それどころか白滅光ホーリーも止んで、羽根も制御が途切れて地面に落ちた。


「ん」


 けど、今は手を握ってみても何の違和感も無いし、別に問題は一切無い……う〜ん、まぁ細かい事は別に良いか!

 マリアナ、ガスター、フェリシアの3人は、まぁそうだろうなって感じの反応だったけど。

 クズ勇者共は無傷な私に驚愕したみたいだし!!


「さて……」


 予定では、クズ勇者共の魔法を相殺した後。

 風の上位属性である暴風属性の魔法で全員まとめて吹っ飛ばしてやろうと思ってたけど、どうしようかな〜?


「っ! 何にせよ、今がチャンスよ!!」


 ん? マリアナのヤツ、今更何をする気なんだろ。

 けどまぁ、確かに謎の魔素の乱れもあるし、今がアイツらにとってのチャンスってのは間違ってない。


「ふふっ、面白い!」


 さぁ! せいぜい、私を楽しませて見せろっ!!


「リナ! 私にありったけの強化支援を!!」


「う、うんっ!」


「我らも手を貸しましょう」


「頼みます。

 さぁ、行くわよ?」


 ねじ伏せてやる!


「天体魔法」


「「「「「っ!!」」」」」


 ほほう、天体魔法か。

 前に一回使って、私に打ち破られてるのにね。


「まさかマリアナのヤツ、アレをやる気じゃ……」


「恐らくね」


「ね、ねぇ、ガスター、ノワール。

 アレって、もしかして昔、強固な結界が張り巡らされた魔王の城の半分を消し飛ばした?」


 旧魔王の城を?

 以前私に向かって放ったヤツにはそこまでの威力は無かったと思うけど……なるほど、周囲への被害を考えて威力を抑えてたってわけね。


「今すぐに王都にいる人達を避難させる!

 パウロさん!」


「お任せを」


 あっ、王都にあった生命反応が消失した。


「王都にいる人々を近くの丘の上に転移させました」


 なるほど。

 事前に一人一人にマーキングでもしてたってわけか。

 まぁ、遠隔かつ大勢だからそんなに遠くまでは転移させれなかったみたいだけど。


星落メテオ・フォールっ!!」

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