第374話 王都決戦 幕間・動き出す眷属達
「ギャァっ!」
「ガハッ!?」
「や、やめっ……」
「く、来るなっ!!」
王都の一画に悲鳴が。
グチャッ! っと、肉を潰し切り裂く音が鳴り響く。
「簡単に殺すな。
死などよりも大きな苦しみを、深い絶望を。
自ら殺してくれと懇願し、生きる事に絶望させてやりなさい」
シルヴィアに呼び出された人の姿をした悪魔。
メイド服に身を包んだレフィーの側仕えが許された14柱の
***
「シルヴィア様!
本当にあの子達に任せてしまって良かったんですか?」
人間達の対応を配下の悪魔達に任せ、転移で王都の上空へと戻ってきたシルヴィアを出迎えたミーシャが地上を見下ろす。
「確かに子達の位は下位ですが、悪魔界からこの大陸にやってくる有象無象とは違い、我が軍に所属する者達。
監督役にジルもいますし、問題はないと思いますよ」
「まぁそうですね、ジルちゃんがいるなら心配無用か。
ジルちゃん、容姿は可愛いのに結構容赦無い苛烈な性格してますし……うげぇ、結構グロい光景ですね……」
「さて、お喋りはこのくらいにして。
そろそろ私達もレフィーお嬢様の邪魔をする人間達の露払いを始めるとしましょう」
シルヴィアの言葉を受けて、地上で行われている
レフィー配下の眷属全員の表情が引き締まる。
「ミーシャは西側。
ミリアは南、グランは北側を」
「了解しました!」
「了解!」
「えぇ、お任せを」
意気揚々とミーシャとミリアが転移し。
次いでグランが優雅な所作で一例してからその姿が掻き消える。
「リリィーとフィルとアリーは……」
「シルヴィア様、私達が元人間だという事を気にして下さっているのは、とても嬉しいです。
しかし、私共も今は人間では無く陛下の眷属。
元人間だという事を気にする必要はありません」
「僕もリリィーさんと同意見です」
「私もです。
レフィーお姉様のお役に立ちたいですから!」
「そうですか……わかりました。
しかし、リリィーはまだしもフィルとアリーはまだまだ未熟、ですので2人にはリリィーをつけます。
リリィー、お願いできますか?」
「ふふ、お任せください」
「では、3人には東側をお願いします」
「「はい」」
「承知しました」
こうして、王都に集った連合軍の戦士達の動きに合わせて静観していたレフィー配下の七眷属が動き出す……
「ふふ……さて、私も……レフィーお嬢様の勇姿をしっかりと記録しなくてはっ!!」
王都の路地を疾駆しながら勇者ノワール達と合流しようとしていた冒険者数名を片手間に始末しつつ、恍惚とした表情を浮かべたシルヴィアの姿が掻き消えた。
***
「ふむ」
どうやら、シルヴィア達も動き出したみたいだな。
せっかく
「よそ見とは、余裕だなっ!!」
「余裕だけど?」
「っ!!」
ふふふっ! 微動だにせず、常時発動してる結界だけでクズ勇者の神器・神剣ワールドを受け止めてやった!!
確かにあのクソ女神アナスタシアが与えた神器の中でもクズ勇者とアバズレ聖女の持つ神の名を冠する神器の性能は高い。
確か両方とも所有者の成長限界を取り省く、限界突破の権能を有していて。
他にも身体能力の大幅な向上に、神剣ワールドは近接戦闘、神杖オリジンは魔法戦闘における最上位のバフ。
さらには周囲の者達にすら自動的にバフをかける。
そりゃあ旧魔王程度なら簡単に倒せる。
アバズレ聖女の召喚から僅か一年足らずで旧魔王を討伐した事も納得できる正真正銘のチート武器。
が! 私には通用しないっ!!
「ガハッ……」
息を呑むクズ勇者を翼で薙ぎ払って吹き飛ばす。
「あはっ! 降り注げ」
四方を包囲して襲いかかって来ていた熾天使共の。
この場にいる全員の頭上に、無数の全てを消し去る白い光球が浮かび上がり……
「
一斉にクズ勇者共の頭上に降り注ぐ!
まだまだっ!
「舞え」
さっきクズ勇者を吹っ飛ばしたときに舞った、翼の羽根に同じく白滅光を宿して放つ。
しかも、この羽根は全てが自動追尾機能付き!
上からは白滅光の嵐、横からは自動追尾してくる破滅の羽根。
まぁ、この程度なら死ぬ事は無いだろうけど、直撃すれば手足は消し飛ぶだろうし大ダメージは免れない!
「あははははっ!!」
さぁ! 必死にしのげ! 無様に踊れっ!!
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