第342話 話す事を許可してあげる

『っ!』


『うそ……』


『『『『『『『なっ!!』』』』』』』



 クズ勇者、アバズレ聖女、その他モブ共と全員結構良い反応じゃん!

 まっ! 自分達がぐずぐずしてる間に私が軍を率いて現れたんだから当然の反応だけど。



『そうか……もう、動いたか』


『逆よ、ノア。

 もう動いた、じゃ無くて、1週間動かなかった、よ』


『マリアナ……それは一体、どう言う事かな?』


『彼女がその気になれば1人で私達を皆殺しにできるわ』



 ふふん! 流石は大賢者、良くわかってんじゃん!!



『それなのに、わざわざ1週間も開けて軍艦を率いて現れた。

 彼女はわざと私達を泳がせて遊んでいるのよ』


『っ……』


『マリアナ……』



 良いね! 良いねっ!

 ぷぷっ、天下の六英雄様達ともあろう者が集まってるのに、随分と暗い空気になっちゃって!



『マ、マリアナ殿。

 些か弱気になり過ぎではありませんか? いかにヤツが強いと言っても、たった1人で我らを皆殺しにするなど……』


『そ、そうです!

 救世の六英雄である皆様を始め、我らの陣営には世に名を轟かせる強者が多くいます。

 それを1人で皆殺しにするなど不可能ですっ!!』


『ったく、アンタらは1週間前のアレをちゃんと観てなかったのか?

 ほんの一瞬でアレス公国全土を更地に変えたんだぞ?』


『ガ、ガスター殿……』


『これは私達への復讐。

 だから簡単には殺さない。

 まぁ、圧倒的強者である肉食獣が狩りを楽しんで獲物を痛ぶって弄ぶの同じだよ』


『まっ、そう言うこった。

 アイツが言ってた通り……これは、アイツにとってはただのゲームって事だ』



 その通り!

 いやぁ、マリアナとガスターとフェリシアは本当に良くわかってるわ!

 流石は一回私にボコられただけはある。


 しかし、マリアナとガスターはともかく。

 あのガキンチョのフェリシアまで……成長したなぁ、何か感慨深いわ。

 ふふっ、まぁだからと言って容赦はしないけど!!



『……とりあえず、これでもう猶予は無くなった。

 皆んなみんなもわかってると思うけど、私達も早急に準備を整えて敵を迎え撃つ必要がある。

 今日までは黙って聞いていたけど……これ以上、不毛な会議は私が許さない』


『『『『『『『『『っ!!』』』』』』』』



 ふん! 顔だけのクズ勇者のくせに粋がんな!!

 まぁ良い。

 何か盛り上がってたけど、これだけじゃ無いからな!

 ふふふっ! さぁ、もっと取り乱すが良いっ!!



『話し込んでしまって悪かったね。

 報告をしてくれてありがとう、もう下がって良いよ』


『い、いえ、それが……冒険者ギルドより届いた通達はそれだけでは無く……

 ぼ、冒険者ギルドとして、今回の悪魔王国ナイトメアとの戦争には関与しないとの通達が……』


『えっ……』


『それは、本当かな?』



「ふふっ、事実だ」



『『『『『『『『『『『っ!!』』』』』』』』』』』



 あ〜あ、今回は口を挟むつもりは無かったのに。

 ついつい、口を出しちゃったわ!


「冒険者ギルドは、今回の戦争に、関与しない事を決定した」


 まぁ、ついでだし……そろそろ、ガスター達に許可を出してやるか。


「ガスター、マリアナ、フェリシア、クリス。

 話す事を許可してあげる」



『何の事を……』



「ふふっ! この戦争でお前達がどう動くのか。

 楽しみにしてる」

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