第17章 聖魔大戦・宣戦布告編

第296話 アソビを始めよう

「んぅ……」


「レフィーお嬢様、おはようございます」


「ふぁ〜……おはよう」


 ふむ、もう朝か。

 窓から差し込む暖かな朝日。

 何処かからか聞こえる鳥の囀り。

 そしてひんやりとしてモフモフで気持ちいいミーシャの尻尾に、ふかふかなベッドに毛布!


「ん〜」


 ひんやりサラサラでモフモフなミーシャの尻尾を枕に、もぞもぞとベッドに身体を埋めて……


「ん」


 ふっ、我ながら完璧なポジション!

 いかにカッコよくて可憐な超絶美少女で最強な魔王様たる私と言えども、コレには誰も抗えない。

 って、わけだから……


「おやすみ……」


 ふはっはっはっ!

 誰にも抗えないのなら仕方ない。

 そう! コレは不可抗力で仕方ない事なのだ……むふっ、さぁ! 二度寝と洒落込もうっ!!


「はい、ではこちらにお座り下さいね」


「あぁっ……」


 ひんやりサラサラなモフモフがぁ。

 ふかふかで心地いいベッド様がぁっ!!

 くっ! シルヴィア保護者めっ! やはり我が二度寝の前に立ち塞がるか……


『二度寝って……もう1週間もベッドの上から動いて無かったじゃない』


 まだ1週間じゃんか!

 私は怠惰の大悪魔なのだ!

 1週間程度じゃあまだまだ足りない、もっとゴロゴロしたい、もっと惰眠を貪りたいの!!


「むぅ」


「っ!? まだ少し眠たそうなお顔でムッとされているレフィーお嬢様もまた……

 ぐふっ、な、何てお可愛いらしい!!」


「シルヴィア様……」


「はっ! こほん。

 ふふふ、ですがそのようなお可愛いらしいお顔をなさってもダメです」


「むぅ〜、ねぇシルヴィア。

 ダメ、なの?」


「ッ!!」


『あ、あざといっ!』


 ふはっはっはっ! 何とでも言うがいいっ!!

 さぁ、シルヴィアよ! 誰もを魅了する私の愛くるしい魅力の前に屈するのだっ!!


「シ、シルヴィア様! 気をしっかり持って下さいっ!!」


「ミーシャ〜」


「うっ、レフィー様……そ、そのお顔はずるいですよ」


 ふっ! これでミーシャは陥落した。

 これであと私の二度寝を妨げるのはラスボスであるシルヴィア保護者のみっ!!


「ねぇ、シルヴィア」


「し、仕方ありませんね。

 なら少しだけ」


 勝ったっ!!


「と、言いたいところですが」


「ぇ?」


「ダメです」


「っ!?」


 そ、そんなバカな! この私の、原初の悪魔にして魔神たる私のお願い攻撃が破られるなんて……

 くっ、流石は私の保護者であるシルヴィア。

 破壊神の名は伊達じゃないか。


『シリアスな感じを醸し出してるけど、全くシリアスでもなんでもないからね?

 それに、シルヴィアの事を破壊神って呼んでるのは悪魔ちゃんだけだよ』


 なん、だと……

 こんなにも毎日のように私の展開してる結界を破って二度寝を阻止するのに?


『……うん、まぁそれはどうでも良いよ。

 それよりも、今日はあの子達が帰る日でしょ?』


「邪神の言う通りですよ、レフィーお嬢様。

 今日はセラフィルとアリシアが一度アルタイル王国へと帰る日です」


「そうですよ!

 しっかりと見送ってあげないと!!」


「むぅ〜……」


 セラフィルとアリシアを眷属にしてから1週間。

 そう言えば、今日は2人が突然行方不明になって大騒ぎしてるアルタイル王国に一度帰る予定の日だったわ。


「ん、わかった」


 それならば仕方ない!

 ミーシャの言う通り、2人の主人としてしっかりと見送ってやらねば!!


「ふむ」


 セラフィルとアリシアを盛大に見送るのは確定として。

 2人が行方不明になった事で、国王と王妃と言う立場のくせに温泉旅行なんてふざけた事をしてたバカ共も急遽帰国してたらしいし。


「ふふふ……」


 冒険王ガスター。

 大賢者マリアナ。

 教皇クリス。

 姫騎士フェリシア。

 私の復讐対象筆頭である六英雄も残すはクズ勇者とアバズレ聖女の2人のみ!


「ふふっ」


 セラフィルとアリシアが帰る事で歯車が動き出す。

 次の標的はメインディッシュ、クズ勇者にアバズレ聖女!!


復讐アソビを始めよう」

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