第290話 対価に何を差し出す?
セラフィルとアリシアの2つの質問には答えてやった。
何故か気が付いたら部屋がメチャクチャになってるっていうアクシデントはあったけど……
さぁ! 真実を知った感想を。
願い通り6年前の真実を知って何を思ったのかを。
そして、真実を知ってこれから先2人はどうするのかを、聞かせてもらおうじゃ無いか!!
こ、これは決して!
そう! 決して、シルヴィアが殺された後も私の事を心配してずっと側にいてくれたとか。
そう言う事を皆んなの前で暴露されて恥ずかしいから話を逸らしたいとか、そんな事は断じてない!!
『いやいや悪魔ちゃん、キミさっき自分で……
〝うるしゃい!
ど、どうにかして話題をそらさなければ!!〟とか言ってたじゃん』
あー! あー!!
何か幻聴が聞こえるーっ!!
「さぁ、お前達の答えを聞かせろ」
「私は……僕は、勇者ノアールと聖女リナの息子です。
信じられない……いいえ、信じたく無いと言う気持ちが無いと言えば嘘になります」
ふむ、まぁそりゃそうだろうね。
いくら6年前の公開処刑に関する情報に矛盾があって無茶苦茶。
支離滅裂で明らかに権力によって事実が捻じ曲げられた痕跡があって、その候補として両親も疑っていたとは言え。
勇者ノアールと聖女リナ。
2人はセラフィルにとっては血の繋がった両親だし。
他の六英雄は昔から信じて、尊敬してきた正義の象徴。
いくら聡明だろうと、まだ6歳児のセラフィルにそうすんなりと信じられるわけがないか。
「で?」
まっ、だからといって遠慮はしないけど。
私の魔王覇気に耐える程の覚悟を決めて真実を知りに来たんだからその先の、これからどうするつもりなのか答えを聞かせろ。
「ですが、アルタイル王国の第一王子として。
セラフィル・エル・アルタイル、僕個人として。
貴女に……貴女達に対して、犯してしまった罪は償わなければならないと思います」
「わ、私もです!
アレ程の事が許されるとは思いません。
ですがフィル様と同じく、たとえ許されなくても、次の世代として。
これからのアルタイル王国を支えていく者として、自己満足と言われても少しでも贖罪していこうと思います」
「そう」
しっかりと私の目を見据えて言い切る、覚悟の籠もったこの視線……気に入った!
ここでクソ女神とかみたいに、クソッタレで自分勝手で保身的な理想論を言うようなら、洗脳で自我を消してアルタイル王国を操るための人形にしてやろうかと思ってたけど。
「ふふっ、改めて言う。
合格だ」
とりあえずは、2人が何をするのか見守ることにしよう。
「はは、ありがとうございます。
でもアリシア、キミまで私に付き合う必要はないんだよ?
恐らく……これから先、私は父上と母上に、六英雄や大きな権力と影響力を持つ貴族達と敵対する事に……」
「そんな事は勿論わかっています!
承知の上で言っているのです。
言ったでしょ? 私はフィル様の婚約者として、フィル様とこれから先の人生を共に歩むと」
「アリー……ありがとう」
「ふふ、当然です!」
レオンのお城に行く前にも思ったけど……私は一体何を見せられてるんだろ?
って、まぁそれはそれとして!
「セラフィル、アリシア」
「はい」
「なっ、何でしょうかっ!?」
うんうん、人前でイチャついちゃってた事に気づいて恥じらってるアリシアを微笑ましげに、愛おしそうに見て。
目的を果たして、私の満足する答えを返せて大団円って感じの何か良い雰囲気になってるところ悪いんだけど……
「お前達の願いは叶えた。
それで……対価に何を差し出す?」
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