第275話 今ここで選べ
「ぇ……?」
ふむふむ、この反応をやっぱり知らなかったみたいだな。
「約7年前のある日。
アルタイル王国が禁忌とされていた異世界召喚を行った。
お前はそれに巻き込まれた」
「あ、あぁ、その通りだけど」
巻き込まれ召喚された上に、国を建国してハーレムを築いてるからこそのハーレム主人公くんっ!
まぁ、尤も巻き込まれたとは言ってもアバズレ聖女とは全く違う座標に転移しちゃったみたいだけど。
「女神に恩があるって言った。
召喚された際にチートでももらった?」
「ははっ、何でもお見通しか。
そうだよ、俺はこの世界に転移した時に女神様に助けられたんだ」
ノベル主人公を満喫してるようで何よりだけど……
「その女神は、アナスタシアじゃ無い」
それはあり得ないんだよね。
「レオン達も含め、全員に教えてあげる」
口頭で説明すると長くなるから、記憶ならぬ情報の付与って言う楽な方法でな!
多少は脳に負担がかかるけど、全員それなの実力はあるし問題ないでしょってなわけで……!
「付与者」
「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」
ついでに、ハーレム主人公くん達への威圧も解いて拘束に切り替えてあげよう。
いやぁー、ここまで不法入国した侵入者に気を遣ってあげるとか、我ながら私って優しい〜!
『全部口で説明するのが面倒になっただけでしょ?』
……おい、邪神! ハーレム主人公くんにチートを授けたのお前だろ!!
『えぇ、そんなあからさまに話を逸らす?
まぁ良いけど、どうして私だと?』
聖女を呼び出すための異世界召喚はクソ女神アナスタシアが、もしもの時に大好きな人間を守るために独断で設けた救済システム。
でもあの時はアナスタシアが神託を下したわけでもなく、バカな王とグズ勇者が勝手に異世界召喚を行った。
それはアナスタシアにとっても想定外の事態。
そのせいで世界の壁に穴が空いちゃって、魔素が流出するなんて言う事態になってるわけだし。
当時、アナスタシアはその後処理に手一杯だったはず。
現にアバズレ聖女が召喚されても暫くはアナスタシアからのアクションは何も無かった。
多分、巻き込まれて転移したハーレム主人公くんの事なんて気付いてすらいなかったんじゃない?
アナスタシアはそれどころじゃ無くて、ファルニクスはこの大陸の管理で神域から動かなかった。
じゃあ誰がハーレム主人公くんの手助けをしたのか……他にそんな事ができたのはお前しかいない。
『あはは、ご名答!
よくわかったね』
まぁ、お前は暇潰しに面白がって介入したんだろうけど。
何でハーレム主人公くんが邪神の事を女神だと勘違いしてるのかってのが唯一の謎だな。
『はぁ、いい加減気付こうよ。
悪魔ちゃん、この際だから言っておくけど私は……』
「っ! これは本当なのか……?」
おっ、付与した情報のインストールが完了したみたいだな。
邪神が何か言ってたけど……まぁ良いや、どうせ大した事でもないだろうし。
「事実。
お前に干渉したのは別の神。
お前はアナスタシアに利用されただけ」
「っ!!」
しっかし、認知すらして無かった癖に、さも自分が助けたと言わんばかりの顔で騙して利用しようとするとか。
どんだけ厚顔無恥なんだよ! やっぱりアナスタシアはクズだな。
「転移者……ネフェリル帝国皇帝ショウ。
大国の皇帝として心して答えろ。
私の話を信じるか、女神アナスタシアを信じるか、今ここで選べ」
もし、ここでアナスタシアを選ぶのなら。
巻き込まれ転移した被害者だろうが、リアルラノベ主人公だろうが関係ない。
敵として徹底的に潰してやる。
「ふぅー、俺は……」
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