第267話 招かれざる、お客様
ヴァリエ騎士王国での聖位闘技大会から2日。
ゴロゴロと自堕落に過ごしていた、かつて3カ国連合との戦場になった草原に建てた我が別荘の広々とした解放的なリビング……のハズなのに。
「ねぇ」
「どうかしましたか?」
いや、どうかしましたかって。
何処からどう見てもおかしいじゃんか! この光景は違和感しかないじゃん!!
「ファルニクス。
いい加減、離して」
「レフィー、我が儘を言ってはダメですよ」
我が儘じゃ無いっ!
何で私の別荘で! 至極当然って感じで上座の私の席に座って、家主たる私を膝の上に座らせてんの!?
ここは、ビシッと言ってや……
「それに、久しぶりなので許してください」
「う、ぅ……」
皆んなの前なのに、まだエレナもいるのにっ!
ファルニクスの膝の上に座らされるとか、ハズかし過ぎる!!
やめて! 皆んなしてそんな生暖かい目で見ないで!
「ふふ、恥ずかしがってるレフィーも可愛いですね」
この……調子に乗りやがって!
『悪魔ちゃんが、睨む事しかできないなんて。
流石はファルニクス』
「邪神様、久しぶりにレフィーを愛でているので邪魔をしないでいただきたい」
『ごめんごめん。
邪魔者は黙って見てる事にするよ』
黙って見てるな!
寧ろファルニクスに私を膝の上に座らせる事をやめさせろ!!
「しかし、レフィーに怒られたくは無いですし、頭を撫でるのはやめましょう」
いや、そうじゃなくて。
膝の上に座らせるのをやめて欲しいんですけど。
撫でるのは別にやめなくて良い、寧ろもっと撫でろ。
「……」
「ふふ、仕方ありませんね」
「ん」
わかったなら良い。
まぁ、確かにファルニクスに会うのは結構久しぶりだし。
ファルニクスがどうしてもって言うのなら仕方ない。
ふふん! 寛大な心でファルニクスが私の席に座って、私を膝は座らせて頭を撫でる事を許してやろう!!
全く我が儘なヤツめ、感謝するが良い! そして、もっと頭を撫でろ!!
「あの……ミリア様、あの方は一体?
お師匠様が甘えていらっしゃるなんて……」
「あぁ、そう言えばエレナは会った事は無かったか。
あの方はファルニクス様」
「ファルニクス様、ですか」
「そう! リリィーは会った事はあるよね?」
「はい。
ですが、私もシルヴィア様とミーシャ様、ミリア様以外の方にあそこまで甘えていらっしゃる陛下を見るのは初めてです」
んん〜?
ミリアとリリィーとエレナ、3人揃って何をコソコソと……
「まぁ、ファルニクス様は特別枠だからね」
あぁ、なるほど。
そう言えばエレナはファルニクスに会うのは初めてだったな。
それでミリアとリリィーから話を聞いてたってわけね。
私としたことが、シルヴィアに抱っこで連れてこられるなり、速攻でファルニクスの膝に座らされたせいでエレナに紹介するの忘れてたわ。
リリィーもそんなにファルニクスと面識はまだ無かったと思うけど。
まぁ、特別枠とか?
ちょっと意味不明な事もあるけど、この際だからファルニクスの説明はミリアに任せよう。
「エレナも稽古の一環で
「はい、お師匠様に転移魔法で連れられて」
「悪魔王国は、エレナ達が言う魔国はこことは違う大陸、終焉の大地って呼ばれる大陸にある国家なんだけど。
あの方はレフィー様や私達が不在時の悪魔王国の守護をレフィー様直々に任されてるお方だよ」
「お師匠様が直々に……そこまで信頼されていると言う事は、やはりあの方も……」
「当然、強いよ」
「お師匠様の眷属であるミリア様達以外にも皆様に匹敵する実力者がいらしたとは」
「それは違う」
「えっ」
「ファルニクス様は私達よりも強いからね」
「み、皆様よりも……」
「と言うか、ぶっちゃけレフィー様よりも強いよ」
「あ、あはは……まさか、ご冗談を」
「「……」」
「う、嘘ですよね?」
「残念ながら、嘘じゃ無いんだなぁこれが。
何たってファルニクス様は竜神、レフィー様と同じ神様だからね」
「竜神……」
「少し前に、陛下とファルニクス様がお手合わせをなさったのですが。
結果はファルニクスの勝利でした」
ちょっ! 勘違いしないで!!
アレは手加減してただけだから!!
「むっ、私の方が強い」
私がその気になればファルニクスなんて瞬殺……はムリでも、私の方が強いからなっ!!
「ふふ、そうですね。
レフィーが私に手合わせで勝った事は……無いけど、レフィーは私よりも強いですよ」
「ぅっ……」
くっ! そ、それは……まずい、非常にまずい!
皆んなには私がファルニクスに一度も勝てたことが無いって事はもうバレてるから良いとして。
エレナにその事実を知られるわけにはいかない!
どうにかして話を逸らさなければっ!!
「こほん。
それより、ファルニクスがここに来た理由は?」
よし! 我ながら完璧な話の逸らしかたっ!!
コレで私とファルニクスの実力云々の話は誤魔化せたハズ……!
「そう言えば、まだ言ってなかったですね。
大した事では無いのですが、実は
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