第257話 アソビの時間
「ふぅ〜」
アークを下してから数時間。
準々決勝でもあった3回戦の全4試合を終えてのお昼休憩が終わるまであと10数分。
あぁ〜、もうちょっとだ。
もうちょっとでフェリシアを叩き潰せる! そしてフェリシアの屈辱と恐怖に歪んだ表情……
まだかな? 早く、早く早く早くっ!!
「ふふふ!」
あともうちょっとでフェリシアをって考えると今すぐにでもぶちのめしたい衝動に駆られるけど……我慢しないと!
何たってもうすぐ公衆の面前でフェリシアを叩き潰せるわけだし!
昂ってる気持ちを落ち着かせないと。
「ふぅ〜」
深呼吸、深呼吸。
深く息を吸って〜、吐いて〜。
よし、ちょっとだけ今すぐにでもって衝動が収まった。
とは言っても、こんなのは一時的なもの。
どうにかして昂って逸る気持ちを落ち着かせて、気を逸らさないと……ってな訳で……
「もふもふ、もふもふ」
「ご主人様、少しは落ち着けましたかにゃ?」
「ん、もふもふ〜」
膝にミーシャを乗せて、そのモフモフを堪能しつつ! 優雅にお茶を飲んでケーキを一口。
むふふ! 素晴らしいっ!
これぞ! 昂った心を、我が魂を落ち着かせる鎮魂の儀式!!
『……』
ね、念のために……万が一に愚かな人間共が私のこの姿を見て勘違いするかも知れないから言っておくが。
これは神聖な儀式であって断じてケーキを食べたいからとか、フェリシアに復讐する前にモフモフ成分を補充しようとか、そんな事は一切ない!!
『はいはい、そう言う事にしておいてあげるよ』
ほ、本当だからなっ!?
た、確かにちょっと大袈裟かも知れないけど、これは昂った気持ちを落ち着かせるために必要な儀式であってだな。
『そんな事よりもさ』
そんな事よりもって、結構重要な事なんですけど?
ケーキが食べたいとか、モフモフなミーシャをモフりたいとか、そんな子供っぽい口実のための言い訳とか思われるのは心外なんだけど。
『フェリシアとはどうして準決勝? 決勝じゃなくて良かったの?』
無視か、このヤロウ……ふん! 決勝はフェリシアよりも強いエレナとやった方が相応しいし。
それにだ、このヴァリエ騎士王国を統べる騎士王である姫騎士フェリシアが! 決勝にすら出れずに準決勝で敗退する!!
ふふふっ! いい歳して未だに純真無垢でバカなガキとは言え、フェリシアも武を尊ぶヴァリエ騎士王国の騎士。
救世の六英雄って呼ばれて、自分は世界最強の一角だと思い込んでるコイツにその事実を! 現実を見せつけて、自身は自惚れていただけの愚か者だと思い知らせる!
そして……自分が正義だと。
世界を、人々を守るために正しい事をして来たと心の底から信じ、その事に誇りを持っているコイツに本当の真実を教えてやるっ!!
『大変長らくお待たせしました!』
おっ、やっと始まるみたいだな。
『皆さん、お昼はしっかりと食べたか〜っ!? ここから先は小腹が空いても決して見逃せない激戦だ!』
さぁ、始めようっ!
『これより聖位闘技大会5日目、闘聖位戦の後半戦! 準決勝第一試合を開始しますっ!!』
「ふふっ……じゃあ、行ってくる」
『果たしてこの光景を誰が想像できたでしょうか!?
Sランク冒険者すら退けた新星! 闘技場に舞い降りた純白の天使、レフィー!
そして我らが騎士王陛下にして、誰もが認める最強の一角! 救世の六英雄が1人、姫騎士フェリシア!』
「いぇーい!!」
「ふふ……」
『今この聖位闘技大会の準決勝の舞台に! むさ苦しい男共ではなく、可憐なこの2人が立って対峙するっ!!』
楽しい愉しい、
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