第244話 お祭りの時間だ

「おぉ〜」


 ガヤガヤと騒がしくも熱気に包まれた街並み。

 如何にもな大剣を背負ったガチムチの巨漢だったり、左右の腰に剣を垂らして鎧に身に纏う者。

 とんがり帽子を被ってローブに身を包んだ魔女まで、一般人に混じって色んな人がいるけど……


 そんな事はどうでも良い!

 今重要なのは、我が眼前に広がる……道端に数多く立ち並ぶこの多種多様な露店達っ!!


 当然、雑貨類やら武具やらを売ってる露店もある。

 が、しかし! この露店の見所は何と言っても、美味しそうなお肉にお菓子!!

 あぁ、素晴らしきかなB級グルメっ!!


「レフィーお嬢様、もう一度ご確認しておきますが。

 絶対に私の手を離さないようにして下さい」


「ん! わかった」


「それともう1つ。

 我々とのお約束を覚えていらっしゃいますか?」


「シルヴィア達から離れない事!」


「その通りです。

 基本的にレフィー様お嬢様の周囲は我々眷属5名で固めますが。

 万が一何らかの要因で散り散りになってしまった場合は、我々眷属のうち3人が周囲にいなければお屋敷まで転移して下さい」


「はい!」


 手を挙げて答えたらシルヴィアを始め、眷属の皆んなが何故か胸を押さえて悶えてるけど気にしない!

 今の私は目をキラキラ輝かせた子供にしか見えないだろうけど、今はそんな些事も気にならないっ!!


『ご機嫌で、楽しそうだね』


 だって、お祭りだよ!?

 公爵令嬢だった時は当然、街でのお祭りになんて参加できなかったし。

 地球時代も殆どが病院のベッドの上での生活だった。


 お祭りに参加する事は私にとって前世、前前世からの憧れなのだ!!

 そんなお祭りにこうして参加して! 屋台もいっぱいあるし、テンションが上がらないわけがないっ!!


『悪魔ちゃん……うん、キミは大いに楽しみなさい』


「ふふん!」


 当然!

 お前に言われなくとも、憧れのお祭りを! そして美味しそうな匂いを漂わせる露店を満喫してやるわっ!


「ん?」


 何だろ? 何かメッチャ周囲の視線を感じるんだけど……う〜ん、まぁ別にどうでも良いや。

 ちょっと鬱陶しいけど、見られてるだけなら何の害も無いし!


 けどもし、もし仮に私のお祭り楽しみを邪魔すれば……ふふふ。

 なんかちょっと今、フラグが立った気がしないでも無いけど、そんな事よりっ!


「シルヴィア!」


「はい、如何いたしましたか?」


「アレ! あそこの屋台の焼き串肉が食べてみたい!」


 焼き串肉とか、ファンタジーのド定番っ!

 ヤバイわ、コレはテンション爆上げだわー! ここは反対される前にシルヴィアを引っ張っていかなければ!!


「興奮してるご主人様もまた……」


「このレアな光景を保存しないと!」


「よかったですね、陛下……!」


「ふふ……さて皆さん、早くお嬢様の護衛に戻りますよ」


「「「はい!」」」


 ん? 皆んな何やってんだろ?


「はい、どうぞ」


「ん、ありがと!」


 おぉー!!

 屋台で、しかも自分で焼き串肉を買うことができるなんて感動だわ!


 冒険者ギルド、ヴァリエ騎士王国王都シュヴァリエ支部のギルドマスターであるカティラと副ギルドマスターのジン。

 ヴァリエ騎士王国において唯一の大公家の御令嬢にして、騎士王である六英雄が一人、姫騎士フェリシアと肩を並べる剣聖リーゼ・スパーダ。


 両者との顔合わせから2週間!

 ついに私が企画立案した聖位闘技大会、天下一武道会みたいなお祭りが!

 楽しい愉しい遊びの時間の始まり始まり〜っ!!

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る