第227話 我を崇めよ!
「そんな、そんな、こんな事があるハズが無い。
そうだ、これは夢なんだ……ふふっ、ふふふふ……」
私を睨み付けては絶叫をあげ。
アナスタシアに助けを求めては絶叫すること十数回!
それはもう、ガスターとかマリアナに見られてるのも憚らずに、はしたなく大声で笑っちゃう程に面白かったのに……
「あ〜あ、壊れちゃった」
まぁ現実逃避気味にブツブツと呟いて笑い出したし、これはこれで面白いけど。
天下の六英雄ともあろう者が、たかが十数回の罰で情け無い!
「クリス……」
「っ……」
何かガスターも、マリアナも悲痛そうな顔でクリスの事を見てるけど……
「ふふふ! クリスがこうなったのは、お前達のせい。
お前達がクリスを拘束したからこうなった」
「「っ!!」」
まっ! 実際には鬼ごっこでクリスが捕まろうがそうで無かろうが、こうなる未来は変わらない。
そんな事は2人もわかってるだろうけど……ふふっ、自分達を信頼し、信じていた仲間を自らの意思で裏切った罪悪感は拭えない!!
さぁ! もっともっともっと、仲間を裏切ったと言う事実に!
この状況を作り出した原因が、魔神たるこの私を生み出した原因が自身にあるという事実に!
私を冤罪で殺した事を後悔しろ! 罪悪感に苛まれろ!!
「ふふっ、安心して」
当然コイツらにはもっと後悔して、罪悪感に苛まれて、絶望して欲しい。
だからこそ死ぬ事はもちろん、現実逃避して狂って楽になるなんて事は許さない!
「っ! こ、れは……」
「おかえり」
例え気が狂っても一定時間が経過すればこの通り!
強制的に精神を正常な状態に戻されるから、発狂する事なんて絶対にできない。
そして、十数回とはいえ私が与えた罰に反したって事は呪いは確実にその肉体と魂を蝕んでるわけで!
「そんな……っ!? ぁがっ! ぐぁぁあぁっ!!?」
肉体を、魂を人間から悪魔へと作り変えられる。
1回や2回程度なら大した影響は出ないけど、それが十数回ともなれば目に見えた変化も多少は現れる!
「あはっ! どう?
アナスタシアに愛された
ちなみに、罰の呪いが完全にクリスを呑み込んで、呪いが悪魔転生の祝福になるわけだけど。
この祝福で誕生する悪魔の階級は、当人の
だから、
クリスの
たぶん普通の
大事なのは! クリスの魔素量じゃあどうあがいても高位悪魔には達しないと言う点のみ!!
高位悪魔に達しないと言う事はつまり……
「ハァ、ハァ……っ!! こ、こんな事が! こんな事が!」
私やシルヴィア、他の高位の悪魔達みたいに人と変わらない姿じゃ無い。
クリスが転生するのはザ・悪魔って感じの、
「私の手が、私の手があぁぁ……っ!!?」
「右腕だけか」
思ったよりも少なかったな。
『ねぇ、悪魔ちゃん。
クリスの腕が悪魔化してたら勇者達にはもちろん、他の人間達にもバレちゃうんじゃない?』
ふっ! 何を言い出すのかと思えば……その程度事をこの私が想定してないとでも思ったか!!
「手が、私の手が! う、うぅ嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁぁっ!!」
「煩い」
「がぁっ!?」
おっと、ついつい顔面を蹴っちゃった。
まぁ足に汚い血がついたのは非常に不愉快だけど……鬱陶しかったし、これは仕方ない。
よし! ついでに頭をまた踏みつけて!
「その腕は神に祈りを捧げると元に戻る」
「ぐっ……そ、それはつまり」
おっ、流石にもう理解したようだな。
その通り! 神と言っても祈りを捧げるのはアナスタシアじゃ無くて魔神たるこの私!!
アナスタシアに祈っても罰の呪いが発動して逆効果だし。
「ふふっ! そう、お前は私を信仰して祈る他ない」
『レフィーお嬢様』
ん? シルヴィアか。
ダンジョンのお屋敷からこの場所を見てるハズだけど、急にどうしたんだろ?
『お楽しみのところ、申し訳ございませんが報告がございます』
基本的に皆んな、コイツへの復讐は邪魔せずに見守るスタンスなのにこのタイミングで報告って事は……
『彼らが獣魔王レオンに接触を図りました』
「ふむ」
やっぱりか。
う〜ん、もうちょっと
『悪魔ちゃん、悪魔ちゃん』
何? 今この後どうやってコイツらに絶望を与えてカッコよくここを去るか、考え事してるから邪魔しないで欲しいんだけど。
『うん、しょうもない事を真剣に考えてるところ申し訳ないけど。
無意識だろうけど、さっきからクリスの頭をグリグリ踏みつけてるから、死にそうになってるよ?』
「あっ」
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