第221話 高みの見物と洒落込もう
人間共に鬼ごっこ開始の告知もした事だし!
とりあえずは、また聖都の上空で高みの見物と洒落込もうかな〜。
ふかふかなお気に入りの人をダメにするクッションと、ジュースにお菓子も用意して。
ぐふっ、ぐふふ! 人間共の醜い姿を観ながら
「貴様……悪魔如きが!
我ら女神アナスタシア様に愛されし種族である人間を愚弄するな!!」
「ん? まだいたんだ」
さっきの告知で、クリスが大聖堂の執務室にいるって言っちゃったし。
とっとと移動するなり隠れるなりした方が良いと思うんだけどなぁ。
「逃げたり、隠れたりしなくていいの?」
やれやれ、仇敵なのに的確なアドバイスをしちゃうとか。
私ってば、マジで超優しい!!
あんな自己満のクソ女神じゃ無くて、私こそ慈愛の女神を名乗るに相応しいんじゃない?
『まぁ、悪魔ちゃんは意外とお人好しだからね』
お人好しじゃ無くて、懐が深いと言って欲しいわ。
ふふん! 私はそんじょそこらの有象無象共とは器が違うのだよ、器の大きさが!!
「逃げる? 隠れる?
ふん! 愚か者め、貴様は本気で我らが貴様の戯言如きに惑わされるとでも思っているのか?」
「……」
いや、本当に。
ガスターとマリアナもそうだったけど、何でコイツらってこんなに自信満々なんだろ?
その根拠の全く無い自信が何処から湧き出てくるのか、めっちゃ疑問だわ。
『彼らは自分達こそが世界の頂点、最強の存在だと思ってるからね』
所詮は人間の中では強いって程度のくせに、コイツら風情が最強とか勘違いも甚だしい。
まっ、そう思い込んでる愚かな姿が滑稽で、現実を思い知らせて絶望する顔が面白くもあるんだけども!
「貴様こそノア達がやって来れば貴様は終わりだ。
逃げるのならば今のうちだぞ? 尤もこの私から逃げ果せる事が可能ならば、だがな」
あ、危なかった。
クリスのドヤ顔がうざくて、ちょっとイラッとした拍子に思わず殺だちゃいそうになったわ。
コイツには深い絶望を与えないとだから我慢、我慢!
「ふっ、今になって我らに復讐などと、自身がどれ程大それた事を成そうとしていたのかを理解して声も出ないか?
上手く生き延びれたのならば大人しく隠れていれば良いものを、愚か者め今度こそ完全に我らの手で浄化してやろう」
話の通じない狂信者に何を言っても無駄だし。
何か喚いてるバカは無視して!
ドタドタドタっ!!
「外が騒がしいな……一体何の騒ぎだ?
これも貴様が原因か?」
まぁ、私が原因かどうかって言えばその通りかな?
「大方、仲間の悪魔が貴様をこの窮地から救うために乗り込んできたのだろうが……残念だったな。
この大聖堂には一人一人が一騎当千、Aランクオーバーの聖騎士達が大勢常駐し守護している。
貴様ら悪魔がどれだけ足掻こうとも無駄だ」
うん、まぁまたまた勘違いしてるみたいだけど……
「せいぜい頑張れ」
そして私を楽しませろ!
「は? 何を……」
バンっ!!
クリスの言葉を遮って執務室の扉が勢いよく開け放たれると同時に聖都上空に転移!
即座に寛ぎセットこと、マイクッションとジュースにお菓子を召喚して準備万端!!
「さて」
早速、執務室の様子を観察しないと!
『っ! あの悪魔め……上手く逃げられたか』
『教皇陛下……』
『早急に全騎士達に通達せよ! 魔神を語る悪魔、魔王レフィーが逃走しました。
ヤツをこの聖都から逃してはならない。
勇者であるノアール達が到着するまで必ずヤツをこの聖都に足止めするのです!!』
「ふむ」
まぁ、わかってたけど。
さっき執務室に乗り込んで来たのは、クリスがドヤ顔で説明してた聖騎士達か。
人数は4人。
さっきクリスから指示を受けていた、鎧では無く制服に身を包み腰に剣を吊るした騎士達だけど。
見たところ他の騎士達も執務室に向かって移動中みたいだな。
『『『『……』』』』
『どうしました?
事は急を要するのです! 聖騎士団の団長である皆は早急に騎士団へとこの事を通達して下さい!!』
う〜ん、気の知れたクズ勇者共とか。
完全に敵対して、大切な聖女を殺そうとした悪魔だと見下してる私とか以外には基本的に礼儀正しいんだろうけど。
クリスが敬語で使ってるとか何か気色悪いなぁ……いやまぁ、どうでもいいんだけど。
『っ! 申し訳、ございません……』
『何を言っがはぁっ!?』
「ぷっ!」
心苦しそうに拳を握りしめて歯を食いしばり、俯いていた聖騎士の見事な右ストレートがクリスのお腹にクリーンヒット!!
危なかった……危うく飲んでいたジュースを吹き出しちゃうところだったわ!
『ぐっ……い、一体何を……』
『どうか、ご理解下さい!』
『ぐふっ!』
『こうするしか無いのです!!』
『がぁっ』
『陛下、お許しを』
『ぐっ……』
最初の聖騎士を始め、残り3人の聖騎士達からも一発ずつ殴られ蹴られたクリスが顔を歪めながら僅かに後ずさる。
「ふ〜ん」
一発ずつとは言え、いきなり4人にリンチされたのに大したダメージもなさいそうだな。
うんうん! 流石は救世の六英雄、勇者パーティーの鉄壁の壁役なだけはある!!
『貴方達……これは、一体どう言うつもりですか?
まさか本当にあの愚かな悪魔の戯言を……』
『どうか……どうかお許し下さい』
『我々にはこうする以外に……』
『っ! 惑わされてはなりません!!
ヤツは悪魔なのですよ!? ヤツの言葉など全て戯言に決まっています!!』
『ならば! あの消滅した霊峰はどう説明するのですかっ!?
あの人智を遥かに超えた光景こそ、かの魔王の力を物語っているではありませんか!』
『そ、それは……』
「ふふっ!」
論破されてやんの!
いいぞ、いいぞ! その愚かな狂信者にもっと言ってやれ!!
『他に道は無いのです』
『逃すなっ! ここで陛下を捕らえよっ!!』
『なっ! 貴方達、正気ですかっ!?』
喚くクリスを無視して、クリスの四方を包囲する四人の聖騎士達。
まぁ、実力的はクリスの方が上だし。
このままじゃあ多少の足止めになるだけでクリスには逃げられるだろうけど……
『まさか貴方達がここまで愚かだったとは……良いでしょう。
この私自らあの悪魔の言葉がとるに足らない戯言だと証明して見せましょう。
そこを退きなさい』
睨み合う4人の聖騎士とクリス。
「ふふっ! 面白くなってきた!!」
『……シリアスな場面なのに。
クッションに踏ん張り返って、ストローでジュース飲んでる悪魔ちゃんの緊張感の無い姿のせいで台無しだよ』
ふはっはっは! 何とでも言うが良い!!
マリアナの時は
今回こそ、好きなだけお菓子を! スイーツを食べてやるのだ!!
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