第204話 お前の罪だ!
「っ……て、転移! 転移転移転移っ!!」
「ふふ、ばーか。
無駄って言ったはず」
「な、何で! 何でこんな事に……私が一体何をしたって言うのよっ!?」
「えっ……」
何ってそりゃあ、ねぇ?
「
私とした事がこんなにも復讐されるのに十分過ぎる歴とした理由があるのに、何をしたとか言い出すから一瞬呆けちゃったじゃんか!!
むぅ、せっかくシリアスな雰囲気でカッコよくビシッとキメてたのに……
「っ! そ、それは……あれは私達個人の意思では無く、国家の意思だったの!」
「国家の意思?」
「そうよ! 貴女と貴女の家族を邪魔に思った当時のアルタイル王国の上層部。
リナの神からの信託を受けて貴女が邪悪の根源だって言う各国の声があって私にはどうする事もできなかったのよ!!」
まぁ、確かに前世での私の実家は、もともと大国だった上に、当時の旧魔王との戦争で勇者を輩出して聖女を召喚した事で盟主国となったアルタイル王国の中でも王族にすら並ぶ程に大きな権力を持っていた。
そんな筆頭公爵家だった私の実家を邪魔に思うヤツらが、旧魔王との戦争が終わり、結託して私達を排除しようとしたのは本当だし。
リナの信託を受けて、各国が諸悪の根源たる私は勿論、私の家族や私を庇う者達を処刑するように声高に主張した事も紛れも無い事実だけど……
「それで?」
「えっ……」
「それが何?」
魔王が現れたのも。
各国が大きな被害を受けたのも。
家族や友人、恋人が戦争で死んだのも。
生活が苦しいのも……ぜ〜んぶ悪いのは私のせいにして。
世界の敵である私を貶め、痛めつける事で当然私を擁護する私の家族……邪魔な者達を排除するために意味のない拷問で苦しめてから殺し。
民衆の見世物にして私と、邪魔だった私の家族や大切な人達をついでに殺したおかげで暴動とかが一切起きずに混乱なく各国は復興にあたる事ができた。
つまりは、旧魔王との戦争で疲弊して多くの不満を持っていた人々が反乱とか暴動を起こさないように鬱憤を晴らすための生贄にされたわけだけど。
そんな事は当然知ってる。
「それが何って、わかるでしょう?
だから……」
「私は悪くない?」
「そ、そうよ! 私にはどうする事もできなかった!
貴女が、貴女の家族や友人が殺されたのも全部各国の上層部に居座ってる狸共のせい! 私は悪くないわ!!」
「ふっ……ふふ、あははははっ!」
あ〜、大賢者ともあろうものが無様に、見苦しく! 必死に言い訳しちゃって。
それに各国上層部の狸共って、五大国の一角である魔法都市連合王国の女王のお前はその代表格じゃん!!
バカなのかな? ぷぷっ、めっちゃ墓穴を掘ってるんですけど!! それに……
「私が知らないとでも思ってるの?」
「な、何を……」
「マリアナ、お前達を含めた救世の六英雄の6人が筆頭になって私を処刑した」
「っ! 私達は……私はリナに! 聖女に騙されていたの!!
貴女が嵌められただけで無実だなんて知らなかったっ!!」
はい、もうさっきと言ってる事が食い違ってる〜。
さっきは国家単位の意思で仕方なかったで、今度は知らなかったとか……これぞ! 必死になって自分の保身に走る愚かで醜くい人間!!
「言ったはず。
私が知らないとでも本気で思ってるの?」
言い訳が苦しんだよ! ばーか!!
「ぐっ、ぁぁあっ!!」
「煩いなぁ……」
全く……人類最強の一角なんだから、ちょっと足に力を入れただけなのに一々大声で叫ばないで欲しい。
「〝黙れ〟」
「っーー!?」
さてと、これで静かになった事だし! 話を戻すとしようとか。
そもそもな話、
聖女を殺そうとした悪魔にして諸悪の根源。
何も事情を知らない民衆やバカでアホな貴族共は騙せても、魔王を討伐するために勇者共と一緒に旅をしていて事情も知ってるマリアナがその事に気が付かないハズが無い。
救世の六英雄、旧魔王を討伐した勇者パーティーの中で、私がアバズレ聖女を殺そうとした何てちょっと調べればおかしいとわかる聖女の証言を本気で信じてたのは3人。
アバズレ聖女に惚れた顔だけのクズ勇者ノアールと聖女の狂信者である教皇クリス。
そして無垢で脳筋の小娘、姫騎士フェリシアの3人だけで、まともなガスターとマリアナは違う。
「お前がガスターと同じく、聖女と取引をした事は……」
いや、違うな。
ガスターはまだ唯一の肉親、妹のリリィーのためだった訳だけどコイツは違う。
「自分の欲望を満たすために聖女と取引を行い、私を殺す事に協力した事は知っている」
マリアナが一体何をしたのか?
「これが、お前の過ち。
これが、欲望に塗れた愚かで醜いお前の罪!」
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