第182話 魔王会議 魔神の力
さてと、ガスターの時みたいに鬼ごっこも面白そうだけど……どうやってこの5人を。
魔王を使って遊ぼうかな〜?
「この野郎っ」
「む?」
「いい加減退きやがれ!!」
あぁっ! 私の素晴らしきモフ耳がぁっ!!
くっそぉ、モフ耳をさり気無く、自然に、どさくさに紛れてモフって考え事をしてたせいで逃げられたっ!
「チッ、腕を吹き飛ばすつもりで振り払ったのに無傷かよ……」
ふっ、当然! ちょっとモフ耳をモフる事に気が取られて逃げられちゃったけど。
ふっふっふ〜ん! 確かに、常人なら腕が吹き飛ぶどころか肉塊になっていただろう。
しっかぁし! いかに魔王たるレオンが本気で振り払おうとも、あの程度では私には傷一つ付けられないのだよ!!
とは言えだ。
頭を押さえ付けていた私の手を本気で振り払ったにも関わらず、私には一切のダメージが無いって言うのにまだまだ余裕の表情で楽しげな笑みすら浮かべてるし。
レオンだけじゃ無くて、他の4人も一瞬でレオンを押さえつけた私を見ても。
レオンの攻撃を撃て無傷な私を見ても、その心に恐怖も諦観も絶望の色も一切無い。
それはつまり、この程度の事で魔王達は驚かない。
この5人にとってはこの程度はできて当たり前ってわけだ……ふふ! 良いねぇっ!!
「ふふっ」
流石は私が認めた強者達! これでこそ魔王に相応しい!!
「ふふふ、レオン、私が手を貸してあげましょうか?」
「はっ! 余計なお世話だ。
カトレアもだが、お前ら手を出すなよ……ちょうど面白くなって来たところだ」
「あらそう。
でも残念ね、もう遅いわ」
レオンと話していたカトレアがこっちを指差してるけど。
それは私じゃ無くて、その後ろ……
「砕け散れ!!」
円卓の席に座っていたレオンの頭を押さえ付けて地面に叩きつけた時に、カトレア達4人は四方に散開したわけだけど。
ちょうど背後にいた大地の支配者と恐らる巨人の王、ソルエールが拳を振り上げ声を荒げる。
この巨大からは想像もできない程の、並の者なら認識すらできない速度での鋭い踏み込み。
そしてさっきまでは2メートルを超える程度だったのに今はその5倍、10メートル程にまでなる巨体から拳が空気を圧して迫り来る……けど……
「〝止まれ〟」
残念。
一般人は勿論、力ある魔物ですらペチャンコに押し潰すであろう一撃であろうも私には通用しない!
「ぬ!?」
〝付与者〟の権能によって強制的に動きを静止されたソルエールが目を見開いて驚愕の声を漏らす。
「ふむ」
完全に動きを止めてるとは言え、頭の上にデカい拳があるのは何か違和感があって不愉快だな。
何より拳のせいで暗いし。
「邪魔」
「ぐっ!!」
鬱陶しいソルエールの拳を適当に払って弾き飛ばす。
そんでもって翼を軽くはためかせて拳を腕ごと後ろに弾かれて体制を崩し、ガラ空きになったソルエールの腹部に潜り込んで軽く手を添え……
「吹っ飛べ!
「がはっ!?」
おぉ〜、10メートル越えの巨体がくの字に折れて吹き飛んだ!
「うふふ、私も混ぜてくれるからしら?」
「勿論」
「っ!!」
ふっふっふ、カトレアが驚愕に目を見開いてるけど。
無論、カトレアが限りなく気配を消して接近して来てた事には気付いていたわ!
幾ら気配を消そうともこの私の感知は誤魔化せない!!
背後から腕を回して、抱き締めようとしてたみたいだけど……この私を抱き締めようなんて100年どころか1万年早い!
ふふん! 逆に背後をとってやったわ!!
「落ちろ」
「ッ!?」
重力魔法によって数倍に跳ね上がった超重力を受けてカトレアの美しい顔が歪む。
ほほう、動けないまでもこの程度の重力じゃあ地面に叩きつけられる事は無いか。
「ん?」
これは……
「カトレアまで抜け駆けするんじゃねぇよ!
レオンから迸る膨大な魔素によって大地が、大気が震える。
「獣王化」
さっきまでとは比べ物にならない程に膨大で強大な
全身の筋肉が膨張し、衣服を裂いて逞しい上半身を顕らにし、肩口から両腕は金色の剛毛に覆われる。
「あはっ!」
なるほど! これが、この姿こそが獣王レオンの真の姿。
魔王へと至った強者たるレオンが本気で殺り合う時の姿!!
「行くぞ」
そう言うや否や、レオンが立っていた地面が捲れ上がる。
空気に弾けて紫電する膨大な魔素を身に纏い、疾駆する姿はまさに光速。
音すらも置き去りにした神速の踏み込み。
「吹き飛べっ!!」
が……
「なっ!」
それでも私には届かない。
確かに今のは速かった、それこそ勇者共レベルじゃあ多分反応できない程には速かった。
けど思考加速に並列思考、演算能力を向上させる神羅万象のスキルを持つ私には止まって見えるのだよ!!
「当然……」
「ッ!」
「お前の事も見えている」
レオンの攻撃に合わせて背後から抜手を私の心臓に突き立てようとしていたルーナの腕を掴み取る。
驚愕に目を見開くルーナをそのまま、同じく目を見開くレオンに叩き付けて吹き飛ばす。
「
直後に到来するは、膨大な魔力が圧縮された
竜の姿にはなっていないとは言え、腕や頬に漆黒の鱗を生やした竜王たるセイヴァエルが放った全てを飲み込み破壊する漆黒の光。
「
チュンッ! と空気を切り裂き、焼き切る音を立てながら直進する直径数十センチの白き輝き。
全てを消滅させる滅光が、セイヴァエルの咆哮を迎え撃ち……
「なっ!?」
一瞬で漆黒の光を貫き四散させた。
「ふふ、あははっ!」
さぁ、もっと驚け! もっと驚愕しろ!
そして畏怖しながら私の圧倒的な力の前に平伏せっ!!
「こんなものか? この程度か?
私が認めた強者たる魔王達よ、もっともっと私を楽しませろ!!
天候すらも書き換える超広域魔法。
弱者ならその身に触れるだけで死に至る〝死〟そのものを付与した白い雪。
ふふふ、さぁ! 魔王たちよ、踊るがいいっ!!
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