第180話 魔王会議 序章

 魔王を名乗りし強者。

 勇者共が頂点に立つ西方とは異なり、大森林と大山脈を挟んだ大陸東方に君臨する5人の支配者。


 そんな5人の魔王全員が出席する会議を取り仕切っての開会宣言っ!!

 ふっふっふ! 完璧に決まったわ!!


 今のシーンは録画してるから、後でファルニクスとかシルヴィア達に見せて自慢して褒めてもらわないと。

 何だかんだでシルヴィアもミーシャもリリィーも。

 ファルニクスに、セシリア、リーナ、ミーナの3人も私に甘いからな〜。


 そうすれば恐らくご褒美が……むふふっ! 視界を埋め尽くす、光り輝くスイーツの山が目に浮かぶわっ!

 ふふふ、となるとだ……


  もっと、凄い! 流石はクールビューティーでカッコよくて超絶美少女なレフィー様!! って褒めてもらうために。

 そして! ご褒美スイーツを確実なモノにするために、しっかりと会議を取り仕切らないと!!


「こほん、じゃあまずは……自己紹介から始める」


 よし、誰も異論は無さ……


「自己紹介ってなぁ……お嬢ちゃん以外、ここにいるヤツら全員顔見知りだぞ」


「……こほん、じゃあまずは顔見知りもいるだろうけど、自己紹介から始める」


「いやだから」


 さっきから邪魔しやがって!

 ちょっとモフりたくなるモフモフな耳と尻尾があるからって私の進行の邪魔をするな!!


 この魔王会議のホストにして司会進行を務める私が自己紹介をするって言えば自己紹介をする。

 これは決定事項なのだ!

 それを邪魔するってんなら……モフモフしてやるっ!!


「だから、何?」


「……まぁ、この会議を立案した主催者はお嬢ちゃんだからな。

 ここは大人しく従うとするわ」


 ふむ、結構物分かりが良いじゃん。


『いや、今のは悪魔ちゃんが強引に押し切っただけだよね?』


 煩いぞ邪神、傍観者は黙ってろ。

 しかし……ふっふっふ、流石は魔王にふさわしき強者、獣王レオン。

 わかってるじゃんか! ムフフ、ご褒美に私が後でモフモフしてやろう!!


『どっちにしてもモフるんだね……』


 さてと、煩い外野邪神は無視するとして。

 優雅に足を組んで、軽くココ……げふん、大人なブラックコーヒーが入ったティーカップを軽く傾けて……


「はじめまして、魔王たる諸君」


 さぁ! 刮目せよ!!

 そして、優雅でクールビューティーでカッコいい、超絶美少女なこの私の美貌を!

 魔王すらも超える、超越者……魔神たる私の力を見て恐れ慄き、畏れるが良いっ!!


「私の名はレフィー。

 悪魔王国ナイトメアを統べる原初の悪魔にして魔神。

 そして、諸君らと同じく魔王の一柱ヒトリだ」


「まっ予想はしてが、やっぱりか」


「ほう、お主が噂の……」


「ふふふ、悪魔の王がこんなに可愛らしい娘だったなんて」


「この者がもう一人の魔王か」


「やはり貴女が……」


 あ、あれ? ここはもっと冷や汗を浮かべつつ固唾を呑んで唖然とする場面じゃないの?

 思ってた反応と違うんだけど……


『そりゃあそうでしょう。

 この状況で主催者である悪魔ちゃんが魔王だと考えるのは普通……と言うより、当然だよ』


 ……確かに。

 ま、まさかこの私が、邪神如きに諭されるなんて……何かこの上なく屈辱だわ。


『あはは、相変わらず酷い言い草だね。

 まっ、これで悪魔ちゃんも少しは私の事を見直して敬いなさい』


 ウゼェ……敬いなさいとか何様だよ。

 とりあえず、調子に乗ってるバカ邪神は放置して、会議に集中しよう。


「じゃあ、私の右側から順番に」


「じゃあ俺だな。

 まぁ、お嬢ちゃん以外のヤツらは会った事もあるが、俺の名前はレオン。

 獣王国ビスバロニスを統治する獣王だ」


「私の名はセイヴァエル。

 暗黒竜王などと大層な2つ名で呼ばれていますが、ただのしがない竜種ドラゴンです」


「ふん、ワタシはルーナ。

 吸血鬼が住う国、霊峰ニュクスを統べる王だ」


「我は巨人族が王、ソルエールだ。

 小さき悪魔の女王よ、以後よしなに」


「うふふ、最後は私ね。

 私は妖精族の女王、妖精王カトレアよ。

 よろしくね、可愛い子悪魔さん」


 まぁ、さっき解析したから自己紹介されなくても名前くらいは知ってるんだけどね!!


「さて、自己紹介も済んだ事だし、早速本題に。

 今回魔王を名乗った諸君を招集した理由、この魔王会議の主題に入ろうと思うが。

 その前に……」


 獣人族ライカンスロープ、獣王レオン。

 竜種ドラゴン、暗黒竜王セイヴァエル。

 吸血鬼ヴァンパイア、鮮血姫ルーナ。

 巨人族ジャイアント、大地の支配者ソルエール。

 妖精族ピクシー、妖精女王カトレア。


「改めて、魔王を名乗りし諸君。

 今この場を持って、魔王を名乗りし諸君が魔王であると。

 魔王たるに相応しい強者だと認めよう」


 魔王を僭称しただけの有象無象だったら記憶を削除して帰そうと思ってたけど……ふふふ、この5人なら合格だわ。

 魔王として、この大陸の支配者として……この5人にはこの大陸安息の大地におけるこっち側になってもらうとしよう!!


「それで、今回の主題だが。

 この世界の真実と現状を、そして魔王我々についてが主な議題だ」


「この世界の真実と現状、ねぇ……まぁ、それは別に構わないんだが。

 1ついいか?」


「構わない。

 何? レオン」


「お嬢ちゃんは、今俺達の事を魔王たるに相応しい強者だと認めると言ったが。

 俺はまだお嬢ちゃんが魔王たるに相応しい強者だと認めて無いぞ?」


「ふむ」


 お嬢ちゃんって呼び方はちょっと気になるけど。

 つまりはアレだな。

 偉そうな事を言ってるけどお前も俺達に実力を証明して見せろや! っと……


「ふふふ……良いだろう。

 諸君に、お前達に私の力の一端を見せてやろう!」


 ふはっはっは! そして私の凄さに驚愕し、驚嘆し、恐怖し、畏怖して平伏すが良いわっ!!

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