第10章 魔王会議編

第170話 ふっ、これが我が別荘だ!!

「失礼いたします。

 レフィーお嬢様、皆様をお連れ致しました」


「ん、わかった」


 20万の軍勢を一蹴し。

 アーク達、冒険者パーティー星屑の剣を筆頭に一騎当千の実力者100余名を圧倒して魔王を名乗ってから1週間。


「よく来た、歓迎する」


「「「「「……」」」」」


 ちょっとした可愛いミスで消し飛ばしちゃった森と草原を復元して、ついに完成した我が別荘っ!

 せっかくだからアラン、グランツェ公、エレナとクリスティナにガルドと、いつものメンバーを招待したんだけど……


 ふっ! 流石のアラン王達もこの別荘の凄さに声も出ないようだな!!

 まあ、それも仕方のない事!

 なにせ今回のコンセプトは誰もが憧れる優雅でゴージャスなバカンス!!

 この世界でのただの別荘とは訳が違う!


 広々とした現代建築的なリビングにセレブお馴染みのプールは勿論。

 窓からはついでに造った美しい湖が一望でき、窓の外は湖に突き出る形で作ったテラス!


 結界が展開されてて温度調整はもできるから寒くも無いし暑くも無い快適空間。

 ここで遊んだりバーベキューもできるし。

 夜になればソファーに座って星空を眺めながらお酒も飲める!


 そして何より! テラスに隣接するように湖に浮かべられてるクルーザー!!

 この湖には多くの水の精霊が住んでいて水質は超絶綺麗な上に、魚は勿論のこと下位の水竜とか魔物も済んでるからクルーザーで優雅に釣りも楽しめる!!


「ふっふ〜んっ!」


 その他にも色々と快適かつ優雅でゴージャスに、そして自堕落に寛げる環境を整えた理想の別荘なのだ!!

 これはちょっとドヤっちゃうのは仕方ないな! うん、これは仕方ないわ!


「は、ははは……お招きいただき、ありがとうございます」


 あれ? 何か思ってた反応と違う。

 ここはもっと、何この別荘凄いっ! 羨ましいっ!! ってなるところじゃ無いの?

 何か5人全員に苦笑いされてるんですけど……解せん。


「どうぞ皆様、お好きにお掛け下さい」


 あっ、別荘のオーナーとして客人を迎える私のセリフが……!


「では、私はお菓子とお飲み物をご用意いたしますので失礼いたします」


 えっ? お菓子……ま、まぁ今回はお菓子に免じて私のセリフを強奪した事は許してあげるか。

 ムフフっ、お菓子……ぐふふ!!


「しかし、本当に良かったのですか?」


「ん? 何が??」


 危ない、危ない。

 もうちょっとでお菓子の妄想に浸るところだったわ。


『いや、浸るところだったじゃ無くて、浸ってたよね?

 ちょっとだらし無い顔をしてたよ』


 そ、そそそんな事ないもん!

 そもそも、私は表情筋が死滅してるせいで表情は乏しくて基本的にポーカーフェイスだし!

 この私が人前でだらし無い顔なんてするハズが無い!!


『と言うか、だらし無い顔うんぬん以前にその状況が……だから皆んな苦笑いしてるんだよ?』


 状況って……子猫じゃ無くて体長2メートルを超える白くてもっふもふなユニーク個体である氷魔猫。

 つまりはミーシャに抱き着いて、素晴らしいモフモフに埋もれてぬくぬく!

 尻尾を布団の代わりにして寝転んでるだけなんだけど……一体コレのどこに問題があると言うのか?


『……悪魔ちゃん、キミってしっかりとした教育を受けた公爵令嬢だったハズだよね?』


 ふむ……うん、まぁ邪神の言いたい事は理解した。

 確かに御令嬢がお客を出迎えるのにこの姿は無いわ。

 けど、今の私は公爵令嬢じゃ無いし、地球での記憶を思い出して価値観もちょっと変わった。


 それに……私は原初の悪魔! 欲望に忠実な悪魔の神なのだ!!

 どうして、このモフモフの誘惑に抗えようか! 断言しよう、抗えるハズが無いっ!!

 つまりこれは不可抗力で仕方ない事! はい、証明終わり。


「あの戦争の目的が魔国の力をこの大陸中に知らしめる事だったのはわかりますが。

 魔王を名乗ってしまって本当に良かったのですか?」


 まぁ、良かったのかどうかで言うと別に問題は無い。

 ぶっちゃけ、魔王を名乗ったのはノリと勢いだったけど、そのお陰で魔王就任祝いとかでご馳走を一杯食べれたし!!


「それに、あのような事を……我こそは魔王に相応しい強者だと自負する者は魔王を名乗れ、でしたか?

 初めは鼻で笑っていた勇者達は今頃、大混乱に陥ってるのではないですか?」


 むふっ、むふふふ!


「ん! 面白いくらいに大混乱になってる!!」

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