第157話 さぁ、選択の時は来た!

「むふぅ〜」


 昔は……悪魔になる前は、公爵令嬢に相応しい振る舞いをしないとダメだったし。

 そもそも王妃教育に加えて公務もあって分刻みの生活だったからこんな事絶対にできなかったけど……


 着心地最高なモコモコなパジャマでふかふかなベッドにだらし無く寝転び!

 怠惰に寛ぎながら、モフモフな子猫ミーシャをモフる!!

 あぁ〜、幸せ〜!


 既に太陽が頭上に昇ったお昼。

 魔国の大使館があるアニクス王国の王都フェニルでは多くの人々が汗水垂らして仕事をしてる事だろう時間帯……


「ムフフ……」


 そんな時間にだらし無く! そして自堕落に過ごすこの罪悪感っ!!

 これぞ至福! これぞ至高! これぞ至極! ふっふっふ、いやぁー! マジで最高だわ!!


『これが最強にして最凶の原初の悪魔。

 正真正銘の神である超越者へと至った魔神とはとてもじゃ無いけど思えない格好だね』


 ふっ、お前の勝手な理想を押し付けないでもらおうか。

 私は暴食、怠惰、そして強欲! 3つの大罪のユニークスキルを保有する大罪の悪魔!!


 つまり! こうして私が自堕落に過ごしているのは、言ってしまえば普通なわけなのだよ!!

 そもそも悪魔ってそう言う存在なわけだし、お前にとやかく言われる筋合いはないっ!!


『まぁ確かに、魔人の姿とはとても思えないってだけで悪魔ちゃんは怠惰の悪魔でもあるからね。

 とは言え、もう3日もそうしてるけど大丈夫なの?』


 それは問題ない。

 3日前の会議で、ガスターへの復讐の顛末。

 アクムス王国の国土、それも王都での出来事は魔国の女王としてアクムス王国の王であるアラン達に報告したし。


 その後、ガスターへの復讐のために創った私の神域でリリィーの力試しもやった。

 ふふっ! まさしく炎の化身とも言える力を披露するリリィーを見たアラン達の顔と言ったら……


 五大国の宰相であるグランツェ公も国王であるアランも。

 ガルドもクリスティアも、皆んなして唖然と目を見開いてたし。


 まぁ、確かに私の神域の中じゃ無かったら王都フェニルが灰塵になってただろうけど。

 細かい事はともかく! 私の眷属であるリリィーの凄さを見せつけて、自慢できたからそれはもう満足できた。


『確かに、ふふんっ! って胸を張って得意げにしてたね。

 まぁ、ちょっと口元が緩んでただけで殆ど無表情だったけど』


 まぁ、何はともあれ。

 そんな訳で、3日前に直近でやらないとダメな事は全部やったからこうして自堕落に! だらし無く寛いでいても全くもって問題ないのだ!!


『物凄く力説してるところ悪いけど……残念ながら終わりの時は近いと思うよ?』


 終わりの時が近い、ね。

 ふっ、バカめ! この至福かつ至高で至極な夢のような自堕落生活は誰にも邪魔はできはしないっ!!


「ご主人様」


「ん?」


 あっ、ミーシャの耳がピコピコって動いたっ!

 か、かわゆいっ! 手が! 手が勝手にワキワキしてしまう〜。

 あぁもう! モフモフしたい!!


「たった今、報告が入りましたにゃ!」


 ご、語尾がにゃって! って、そうじゃない! 落ち着け私、落ち着くんだ私。

 子猫モードのミーシャの語尾がネコになるのはいつもの事!

 ふぅ〜、深呼吸、深呼吸……よし!


「報告って事は……」


「はい、そうですにゃ。

 もうすぐシルヴィア様が……」



 コンコン



「失礼したします。

 レフィーお嬢様、既にミーシャから聞いていらっしゃるとは思いますが。

 たった今、ガスターを監視させていた悪魔からガスターが対象と接触したとの報告が入りました」


『ふふふ、シルヴィアが悪魔ちゃんの部屋に来る姿が見えたからね。

 だから言ったでしょ、終わりの時は近いって』


 くっそぉ、ムカつくー!

 ふんっ、もう邪神は無視しよう。

 ぶっちゃけ、私は邪神に構ってあげるほど暇じゃないし。


『いやいや、今の今まで自堕落にだらけてたよね?』


 シャラップ! 煩いぞ邪神っ!!


「ん、ミーシャから聞いた。

 準備は?」


「恙無く」


「わかった」


 物質創造で、モコモコパジャマからシルヴィア達眷属の女性陣が筆頭にデザインした魔王様風のカッコいい服に瞬時に着替えてっと。

 ふふふ、楽しみだなぁ。


「じゃあ、行こう」


 さぁ、選択の時は来た!

 計画の行く末を。

 愚かな人間共が自ら滅びへと向かう姿を観に……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る