第154話 次のステージ
「炎霊姫……」
悪魔の神である私の魔の因子。
そして眷属化に伴い解放された、秘められていた聖霊の域にすら届き得る程の資質と素質から聖霊としての因子。
姫と呼んで差し支えない侯爵令嬢として、救世の六英雄の妹として最高位に近い身分と容姿。
魔と聖。
この相反する二つの属性因子を持つ、この世界に於いて唯一のユニーク個体。
受肉して半精神生命体へと至った炎の大精霊。
「ふむ」
中々に強い! と言うか、めっちゃ強い!!
そもそも魔と聖の属性を併せ持つ時点でチートに近いのに、半精神生命体となった事で実質的な不老不死。
私だから中々なって言えるけど。
種族としての性質、秘める
今はまだ実践経験も戦闘技術も無い状態なのに、ここまでとは……いやぁ、末恐ろしいわ。
まぁそれでもシルヴィア達、他4人の先輩眷属にはまだまだ遠く及ばないわけだけど。
ぶっちゃけ、私の眷属である4人の実力は圧倒的とすら言える程に他の者達と隔絶した差があるし。
神話級の存在が結構普通にいる魔国においても規格外の存在だからな。
『いや本当に凄まじいよね。
そもそも神話級の者達ですら、300年に一度の周期で誕生するシステム魔王と同等かそれ以上だし』
ふっふっふ! その通り!!
我が
「この声は……陛下とお話になられているのが邪神様なのでしょうか?」
『その通り、私は悪魔ちゃんに邪神と呼ばれているしがないただの神様だよ。
これからよろしくね、悪魔ちゃんの新たな眷属リリィー・カーディナル』
「は、はい! よろしくお願い致します!!」
むっ、リリィーも邪神風情に緊張なんてする必要ないのに。
『あはは、酷い言い草だね。
まぁ、よろしくって言っても、今みたいにこうして悪魔ちゃん達を見ているだけだからそんなに気にしなくていいよ』
全くもってその通り! 邪神もたまにはまともな事を言うな!!
邪神の声なんてそれなりに力のある存在になれば、聞こうと思えば聞けちゃう訳だし。
『いやいや、そんな事ができるのは私や悪魔ちゃんと同じ超越者……神の領域に達した者か、悪魔ちゃんの眷属くらい。
本来なら直接私の声を聞く事なんてあり得ない程にすごい事だからね?』
まぁ、何かほざいてる邪神は放置するとして!
「リリィー、調子はどう?」
「問題ありません!
それどころか以前よりも身体が軽いくらいです」
まぁ、そりゃあ脆弱な人間から魔国においてすら規格外のシルヴィア達に次ぐ程の強者に転生したわけだしね。
むしろ身体が軽い程度の差異しか感じないって事はそれだけ既に新たな種族と肉体に魂が馴染んでるって証拠!
いやー、何も問題が無くて何よりだわ!
「今のリリィーはもうガスターよりも強い」
「えっ、お兄様よりもですか……?」
「ん、断言してもいい」
「ほ、本当に……いえ、陛下がそう仰るのですから事実なのでしょうけれど……信じ難いです」
まぁ、仮にもガスターは人類では最強の一角だったわけだし。
突然そんな兄よりも強くなったって言われても信じられ無いのも無理は無いか。
「後で力を試すといい」
「は、はい、そう致します」
けど、リリィーで眷属も5人目か。
シルヴィアは私と同じ
悪魔の中でも私を除いて最高位の存在である帝位の
ミーシャは溢れ出る魔素だけで天候すらも容易く変質させ、全てを凍らせる氷の化身。
半精神生命体であり、氷と言う概念を司る大精霊である氷魔猫。
魔国に存在する全ての吸血鬼の頂点に立つ始祖吸血鬼。
私の眷属になった事で、神祖へと進化した吸血鬼の神であるミリアこと、ミリアーナ。
古から永き時を生き、最強の種族と呼ばれる
当然のように神性すら持つ古竜王ことグラン。
そして、魔と聖。
相反する属性を併せ持ち、炎を司る大精霊である炎霊姫リリィー・カーディナル。
5人全員が精神生命体が受肉した半精神生命体、不老不死の存在へと至った魔国でも最強クラスの強者達……
「ふふふ……」
そしてそんな強者達の主人にして最強の魔神であるこの私っ!!
良い! 実に良いわっ!!
「レフィーお嬢様。
グランが帰還したようです」
「ん、わかった」
リリィーも仲間に加わったし!
眷属である皆んなは当然として
「じゃあ朝ご飯を食べながら報告を聞くとして……」
復讐も1つ完遂できた事ですし!
「ふふふ、そろそろ次のステージに行くとしよう」
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