第145話 遊びはやめだ
「はい、残念」
「っ! く、来るな! この化け物がっ!!」
む、こんなにも可憐でカッコいい超絶クールな美少女に向かって化け物とは失礼な。
『まぁ、何度も何度も逃走を図っては簡単に阻止されてるわけだし。
薄っすらと笑みを浮かべて迫って来る悪魔ちゃんを見て彼がそう思うのも仕方ないと思うよ?』
それもそうか。
ふふふ、まぁいいや、今はそれよりも……
「じゃあ、罰ゲーム!」
「ひっ!」
あ〜あ、Sランク冒険者が冒険王、救世の六英雄の一角たる者がそんなに怯えちゃって。
他の人が見てたら幻滅しちゃう光景だわ。
まぁ、だからと言って罰ゲームはやめないけど!
『これを見てると悪魔ちゃんって本当に悪魔なんだなぁって思うよ』
なんか失礼な事を言われたような気がしないでも無いけど……ふふふ、今の私は非常に機嫌がいいから指摘せずにスルーしてやろう!!
「や、やめろ! もうやめてくれ!!」
全く大袈裟な。
罰ゲームって言っても片腕を切断してやってるだけで大した事はしてないのに。
『いや、十分に大した事だと思うよ?』
確かに一般人にしてみれば大した事だろうけど。
思い出してもみて欲しい。
手足の切断なんて、冤罪で捕まった私に対する無意味な拷問という名のストレス発散。
あの牢屋の中では魔法やら回復薬やらで元通りにできるからって日常茶飯事だった。
それに、コイツもさっき私の腕だけじゃ無くて首をも斬り落とした訳だし、私に腕の一本や二本切断されても文句は言えないと思う。
むしろ鬼ごっこが楽しく無くなるから、毎回腕を元通りに治してあげてるし。
一回の罰ゲームでたったの腕一本だよ?
まぁ確かに付与魔法でガスターの痛覚を底上げして、普通に切断するんじゃ無くて捻り切ったりと工夫してるけど。
それでも拷問で毎回爪を剥ぎ、無駄に時間をかけて四肢をゆっくりと様々な方法で切断されてた私に比べたら全然大した事ないじゃんか。
「次は……」
「ひぃ、た、頼む! もうやめてくれっ!!」
全く、救世の六英雄様ともあろう者が、この程度の事で一々大袈裟に騒が無いで欲しいわ。
けど恐怖に顔を歪めて縋り付くように平伏す無様な姿は非常に良い!
う〜ん、そうだな〜。
鬼ごっこを始めてもうそろそろ30分程経つし、楽しいは楽しいけど……ぶっちゃけ飽きてきた。
「ん、鬼ごっこはもうやめる」
「た、助かっ……」
「っと!」
手早くガスターの右腕を肩の付け根あたりから踏み潰して切断して……これでよし!
うんうん、鬼ごっこはやめるとしても罰ゲームはしっかりと執行しないとね!!
「ぎがァぁぁあっ!?」
「あはっ」
血を撒き散らしながらのたうち回っちゃって!
「あはははっ!」
あぁ、楽しくて笑いが止まらない!
恐怖と絶望に染まったコイツの魂……ふふふ、ざまぁみろ。
「ふぅ〜」
よし、落ち着いた。
「がぁぁっーー!!」
無様にのたうち回ってるのは面白いけど、ちょっと煩くて耳障りだな。
「煩い」
「ゴフッ!?」
鳩尾を蹴ると同時に回復させてあげるとか、我ながら優しいわ!
まぁ、肉体的には全快の状態に戻っても、その魂が痛みと恐怖をしっかりと刻み込まれて覚えてるだろうけど。
「がはっ! ごほっげほっ……ゼェ、ハァ……」
さてと! 鬼ごっこはこれで終わりだし。
「次は何して遊ぼうかな?」
「ひぃっ! も、もうやめてくれ!
俺が! 俺が悪かった! 俺の負けだ!!」
俺の負け?
「何言ってるの? これは勝負じゃない」
「ぇ?」
「最初に言ったハズ。
これはお前達に全てを奪われ、殺された私のお前達に対する復讐。
お前が負けを認めようが、認めまいが関係ない」
「ふ、復讐……お、お前は、本当に……」
「証明してあげる」
いつもの如く、ガスターに過去の記憶を付与して……これでよし。
「っ!! そ、そうか、全部……お前の言う事は全部事実だったわけか」
「そう、だから勝敗なんてどうでもいい。
これはただ私の気が済むまで憎きお前に、お前達に復讐する私の遊び!」
「っ!? な、何が……」
ふふふ、これはかつてエルダーリッチの魂を引き抜いて食べた時の応用。
ちょっと手を握ると……
「ぐっ、ギャァっっ!! がぁっ……はぁ、ま、まさか、俺の心臓を……」
ご名答!
私が手を握ると、魔素で構築した手が連動してガスターの心臓を圧迫し、最後には……
「ふふ……お前は直接心臓を握り潰された事はある?」
「や、やめっ……ガャァァッ!? やめて、がぁっ!!」
「ふふふ、ほら頑張って」
「ぎょがっぁぅ……! も、もう、やめ……こ、コロ、して、ガァぅぁっ……殺してぐれぇがぁぁっ!!」
殺してくれ、ね。
ふっ、ふふふ、ふっふっふ!
「ぐっ、ゼェ……ハァ……な、何故やめた? も、もしかして許して……」
「ふふ、お前は簡単には殺さない」
「え?」
「遊びはやめだ。
さぁ、お前に対する本当の復讐を始めよう」
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