第135話 作戦会議!

 勇者共の密会をガッツリ監視してから約1ヶ月。

 我が魔国が大使館の会議室に設置されている長細い楕円形の円卓の最奥。


 豪奢かつ派手すぎない立派な玉座に腰掛け、ゆったりと足を組む。

 ティーカップを傾けて軽く笑みを浮かべつつ周囲を見渡し……


「こほん、じゃあ今現在ここに向かって来ている冒険王ガスターについての対策会議を始める」


 ふっ、決まったな。

 これぞ! 昨日丸一日かけてファルニクスと一緒に考えた何か黒幕っぽいカッコいい仕草っ!!


『正真正銘の超越者。

 魔神と竜神ともあろう者が……』


 邪神が何か言ってるけど気にしない!

 ともかく、わざわざ悪魔王国ナイトメアに戻ってお留守番をしてるファルニクスと打ち合わせした甲斐があったな!


「えっと……一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「はい、クリスティア」


「私共……と言うより、私は何故この場に召集されたのでしょうか?」


「皆んながアクムス王国のお偉いさんだから」


 ここに集まってもらったのはアクムス王国国王であるアランと宰相グランツェ公を始め、騎士団長ら既に顔を合わせた事がある中枢の重鎮が数名。

 そして冒険者ギルドを代表して副ギルドマスターであるクリスティアとSランク冒険者であるガルド。


 魔国側からは私と私の眷属であるシルヴィア、ミーシャ、ミリア、グランの4人。

 そしてシルヴィア直属の私のお世話がかりであるセシリア、リーナ、ミーナの吸血鬼母娘の計8人。


 まぁ、私達の陣営は置いておくとして。

 アクムス王国陣営から参加しているのは全員が、ここアクムス王国が首都フェニルに於いて高い地位を持つお偉いさん!

 濁さずに言ってしまえば権力者なのだ!!


「レフィー様……私は他の皆様とは違って冒険者ギルドで副ギルドマスターをやっているだけの、ただのしがないエルフなのですが……」


「Sランク冒険者としての資格に加えて現国王と一緒のパーティーを組んでたんだから、ただのしがないエルフとは言わない」


 ちょっと前までアランとガルドと一緒にパーティーを組んで活動してたって事は、アランに聞いて全部知ってるんだからな!

 本当に何を仰るやら。


「いえ、私はもう引退した身ですので……」


 引退、引退ねぇ。

 ふっ、今も普通にSランク冒険者としての資格を有している事は調査済みなのだよ!

 それにだ、仮に引退した身だったとしても……


「冒険者ギルド・アクムス王国王都フェニル支部の副ギルドマスターは十分に重鎮」


「クックック、まぁ聞きたくないってお前の気持ちもわからなくも無いが。

 もういい加減諦めろって」


 いいぞ! ガルド、もっと言ってやれ!!


「うぅ……せっかく冒険者を引退して何の危険も不安もないスローライフを送れると思っていたのに……!」


 何か聞いちゃいけない本音がガッツリ漏れちゃってるけど……ま、まぁ聞かなかった事にしてあげよう。


「こほん、それで本題だけど……

 後数時間でこっちに向かってる冒険王ガスターがここフェニルに到着する」


「「「「「「「「っ!」」」」」」」」


 全員そんなに身構えなくてもいいのに……


「ん、じゃあそう言う事で」


 あぁ、疲れた。

 今日はこの後大切な復讐その1が待ってるし、お昼寝でもしようかな?


「……えっと、それだけですか?」


「ん、これだけ。

 一応皆んなには伝えておいた方がいいと思って」


 何せガスターが目指してるのは我が悪魔王国ナイトメアじゃ無くて、ここアクムス王国が首都フェニルなわけだしな。


「「「「「「「「「……」」」」」」」」」


 ふむ、皆んな黙り込んでどうしたんだろ?

 う〜ん、まぁいいか。

 今日の添い寝係はミーシャだから、シルヴィアに後の事は任せてっと。


「じゃあ、ちょっと寝る。

 皆んなは、おもてなししてから送ってあげて」


「かしこまりました」


 これでよし!


「じゃあ、皆んなおやすみ」


 昨日は遅くまでファルニクスと一緒に会議開始の口上を考えてたから地味に眠いし。

 ふふふ、ミーシャのもふもふに包まれてお昼寝タイムだ!!

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