第126話 特別推薦試験 その2

 さぁ、やって来ました訓練場っ!!

 周囲には観客席も完備されていて、広さ的にはざっと100メートル四方程度かな?


 王都フェニルの一頭地にこれだけの敷地面積を誇るのは凄いとは思うけど……まぁ、広さなんてどうでもいい!

 重要なのは観客席が完備されていると言う一点のみっ!


 観客席があると言う事はつまり! それだけギャラリーもいっぱいいると言う事っ!!

 訓練場の中央には何やら大きな機材が鎮座していて誰もいないけど、現に観客席には多くの冒険者がいるし!


 ふふふ、やっぱり副ギルドマスターが直々に出迎えたって事実は大きかったみたいだな。

 それに加えて私達は国王アランの推薦者! 私のこの美貌も相まって……


「っ! あれがガルドさんをぶっ飛ばしたって噂の謎の美女か!!」


「隣の獣人の娘もめちゃくちゃ可愛いぞっ!?」


「お、俺後でパーティーに誘ってみようかな?」


「はっはっは! やめとけ、お前なんて相手にされねぇよ」


「しかし、あれほどの美女が2人も同時に来るとはなぁ」


「……」


『あ、あはは、落ち着こう! ね?』


 おかしい! これは明らかな異常事態だ!!

 どこもかしこも聞こえて来るのはシルヴィアとミーシャを称賛する声ばかり……私も一緒にいるのにっ!!


「あの2人と一緒にいる娘も信じられない程可愛いけど……」


「まぁ、確かにそうだが。

 なんだ? お前ああ言う娘が趣味なのか?」


「確かに顔はいいけど、まだ子供じゃねぇか!」


「このロリコン野郎め!」


「ちょっ、待てって俺は別に……」




 ピシッ!




『お、落ち着いて! 深呼吸をして!』


「ご主人様!? 地面に亀裂が!」


 幼女? 子供? この私が??

 ふ、ふふ、ふふふ……


『殺気! 殺気が漏れてるよ!?』


「シルヴィア様! マズイですよ!!」


 っ! 許さない!!

 この場にいる人間共全員を血祭りにしてやるっ!!


「はい、そこまでですよ。

 レフィーお嬢様、落ち着いて下さいませ」


 この非常に落ち着く頭の撫で方は……


「シルヴィア……」


「ここで彼らを殺してしまっては計画が頓挫してしまいますよ? よろしいのですか?」


「むぅ、それはよろしくないけど……」


「それに、あのようなムシケラ共程度にレフィーお嬢様がお手を煩わせる必要はございません。

 お嬢様がお望みとあらば、私の手で単なる死など生温い程の地獄をあの者共に……」


 ……怒ってる時に自分より遥かに激怒してる人を見ると冷静になるのって何でなんだろ?

 ま、まぁ何はともあれ、今のシルヴィアはめっちゃ怖い。


 ついさっきまであの失礼で無礼極まりない男共を血祭りにしてやろうと思ってた私がコレを解き放っちゃダメだって思っちゃう程に……!

 それはもう御令嬢としての教育の時みたいに凄まじく怖いっ!!


「だ、大丈夫」


「そうですか、残念です。

 ですがもし気がお変わりになれば……ふふ、是非とも私にお申し付け下さいませ」


 めっちゃ優しい顔で微笑んでるけど、これガチなやつだ。

 もしここで私が皆殺しにしてって言えば……うん、怖いから考えるのはやめよう。


「皆様? どうかなさいましたか?」


「いえ、何でもありません」


「そうですか?

 では、魔力量計測試験の説明を続けさせていただきます」


 まぁ、あの男共にはあとで身の程をわからせるとして。

 今はこっち! ふふふ、私の事を子供だの、幼女だのと言っても侮辱した愚か者共よ!

 我が力を見て恐怖に身を染め上げて平伏させてやるっ!!


「レフィーお嬢様、少しよろしいでしょうか?」


「何?」


「今クリスティアさんが説明していらっしゃるあの装置。

 魔力量計測機ですが、あの程度では我々の魔素量を測る事など到底不可能です」


 まぁ、そりゃあそうだろうね。

 見たところそれなりに高位の魔物の魔石を使ってる魔道具の一種みたいだけど。

 あの程度の魔石じゃあ私達の魔素エネルギーには到底耐えられないだろうし。


「ですのでレフィーお嬢様の偉大さを知らしめるためには手加減なさった方がよろしいかと」


「ん、わかった。

 じゃあシルヴィアとミーシャも本気でやったらダメだよ?」


「かしこまりました」


「了解です!」


 まぁ、こればっかりは仕方ないか。


『で、本音は?』


 無論、手加減はする。

 するけど、手加減した上での全力を見せつけてやるわ!!

 ふふふ、この場にいる冒険者達が死なない……弱い冒険者が失神する程度のギリギリでやってやる!!

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