第122話 テンプレ……あれ?
「おぉ〜」
ここが! あの夢にまで……は別に見てないけど。
とにかく、ここが冒険者ギルドっ!!
「ふむ」
大きくて、綺麗で、清潔で、そして何よりガラス張りの大きな入り口!
イメージしてた感じとはかなり違うけど……まぁ、いいや。
ここが冒険者ギルドな事には変わらないし。
流石は商業と流通の中心地にして、大陸最先端を行く王都フェニルの大通りに鎮座するアニクス王国王都フェニル支部ってとこか……
「よし」
じゃあ気を取り直して、さぁ行こう! 今すぐ行こうっ!!
『楽しそうだね』
当然! なんたって冒険者ギルドって言えばアレがあるからな。
『アレ?』
そう! 私の威厳を人間共に見せつける好機!!
粗暴な冒険者に絡まれて、そいつを瞬殺してぶちのめすと言う冒険者ギルドにおけるテンプレイベントがあるのだよっ!!
「ふふふ」
私の威厳を前に平伏する人間共の姿が目に浮かぶわっ!
それにだ! 冒険者は真面目な騎士とは違う。
今度こそ私の美貌に頬を紅潮させて、身の程知らずにも見惚れるがいいっ!!
シルヴィアとミーシャ。
そしてアクムス王国が国賓たる私達の護衛兼案内係として派遣した5人の騎士を引き連れてガラスでできた自動ドアをくぐり抜け……
「冒険者ギルド、アクムス王国王都フェニル支部へようこそおいで下さいました。
私は皆様の受付を担当させていただきます、副ギルドマスターのクリスティアと申します」
「ぇ……」
「では早速ですが、奥の個室にご案内し致しますのでこちらへ」
え? 何これ?
私の威厳を見せつけるためのテンプレイベントは?
『どうやら事前に連絡が入っていたようだね。
まぁ仮にも悪魔ちゃんは一国の王にして、君達は国賓な訳だし当然だね』
そ、そんな!
じゃあ、私の楽しみにしてた冒険者ギルドのテンプレイベントは……
『流石にこの状況で悪魔ちゃん達に絡んでくるバカはいな……』
「おいおい、小娘が何のようだ?」
こ、これはまさかっ!
『う、ウソでしょ……』
「ここはお前みたいな小娘が来る場所じゃねぇんだよ。
痛い目に遭いたくなかったらさっさと帰りな」
「ガ、ガルドさん! この方々は……」
「構わない」
このチャンスを逃す訳にはいかないっ!
見たところ、それなりに強いみたいだし……絶対にコイツをぶちのめして私の威厳を見せつけてやるっ!!
「ガルド……お前に1つ教えてあげる」
「あ?」
「私はお前よりも強い。
だからこの場で痛い目に遭う事はありえない」
シルヴィアとミーシャもいるし、このギルド内にいる全員を相手にしても皆殺しにできるしな。
まぁ、流石にそんな事はしないけど。
とにかく! 優雅にかっこよく挑発はしてやった! さぁ、かかって来るがいいっ!!
「この小娘が……そこまで言ったんだ、痛い目に遭う覚悟はできてんだろうな? クソガ……っ!?」
ドゴォォォオッ!!
ギルド内に凄まじい轟音が鳴り響くと同時に、ニヤリと笑みを浮かべてエネルギーを高めていたガルドの姿が……掻き消えた。
いや、正確には……
「レフィーお嬢様が楽しまれていらっしゃるからと、先程から黙って聞いていれば……図に乗るなよ人間」
シルヴィアの一撃を受けて吹っ飛ばされた。
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