第72話 4人目の眷属
そんなわけで、やって来ました! 謁見の間!!
まぁ、15階層ボス部屋だけど。
「レ、レフィー様、アレはまさか……」
「ん、グランの死体」
首が綺麗に切断された巨大なドラゴンがよく見える。
何だかんだで放置してたけど……どのみち今から使う予定だし問題ない。
忘れてたとかでは断じてない!
「レフィー様がお一人で?」
「ん! 勝った!!」
ふふふ、確かにグランは強敵だったけど、私には及ばなかったわけですよ。
凄い? 凄いよね? だって四魔王最強のグランを一騎打ちで倒したわけだし。
「レフィー様に降伏するっていう私の英断は間違ってなかった……あのクソジジイ共め、後で土下座させてやる!」
あ、あれ?
もっと褒め称えられると思ってたのに…… 思ってた反応と違う。
何か黒い笑みを浮かべてるし、流石は魔王、悪い顔だわ……
「ミリア、私も頑張る」
「えっ? そ、それはどういう??」
うんうん、私も魔王を眷属とするからにはもっとミリアを見習わないとね!
『ふふ、そうだね。
何たって悪魔ちゃんも魔王を名乗るって言ってたしね』
当然! 四魔王との戦争に勝った今、この大陸を統一して統治するにあたって魔王を名乗るのは都合がいいし。
何よりその方が勇者共への復讐が面白い。
死力を尽くして魔王を討伐し、諸悪の根源たる悪魔を滅ぼしてやっと思いで平和を手に入れた。
今の勇者達の認識はこんな感じかな?
そこに悪魔が魔王となって圧倒的な武力をもって現れる。
「ふふふ」
そして、その魔王の正体が私だと知った時、アイツらがどんな顔をするのか。
楽しみだなぁ。
『いやもう十分に悪い顔になってるよ?』
ん? 何か言った?
悪いけど今全く話を聞いてなかったわ。
「レフィーお嬢様。
そんな事より、グランを眷属となされるのでしょう?」
おっと、そうだった。
シルヴィアの言う通り、今は邪神に構ってあげる時間はないんだったわ。
『構ってあげるって、キミね……私を一体何だと思って……』
邪神が何やら言ってるけど無視無視。
「しかしレフィー様。
グランを眷属にすると仰られても、完全に絶命しているように見えるのですが……」
「うん、グランは死んでる」
よくぞ聞いてくれましたっ!
ミリアの言う通り、グランは完全に死んでいる。
「けど、滅んだわけじゃない」
例え肉体的に死を迎えようが重要なのは魂。
「本来なら肉体が死を迎えれば、魂はその肉体を離れて魔素となって霧散する」
尤も、精神生命体は例外だけど。
それ以外の生物は、人間でも魔物でも、魔人でも、最強の種族とされる竜種でもその運命からは逃れられない……
「でも、悪魔がその気になればそんなのは関係ない。
悪魔は魂を操れるから」
「そ、それは……」
「グランの魂」
確かにグランは殺した。
グラン自身が私に殺される事を望んでたから、グランの望み通りこの手で一回は首をはねた。
けど…… 確かにグランの願いは聞き届けたわけだし、そのあとどうしようが私の勝手なのだよ!
グランの魂とその死体があれば……
グランの死体を魔素に変換して新しく再構築!
まぁ、これで眷属云々は関係無しで精神生命体になるだろうけど……まぁ、肉体の構築からするって事はシルヴィアの時と一緒。
つまり! 真名の名付けとは関係なくグランが私の眷属となる事は確実なわけだし。
ミーシャもだったけどミリアも私の眷属になって精神生命体になったし……うん、気にしないでいいや。
最後にグランの肉体に魂を付与すれば……
「……これは、どう言うことだ?」
ふっふっふ、どうだ見たか!
この私にかかれば魂さえあれば死者の完全な蘇生など容易い事なのだっ!!
「さぁ、竜王グラン。
今度こそ私の眷属になれ!」
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