第69話 願いを叶えに行くとしよう!

 うぉ! 名付けると同時に結構な魔素量エネルギーが奪われた!!


「お嬢様っ!」


「ご主人様!」


「大丈夫。

 ちょっとふらついただけ」


 前回のミーシャの時は殆どのエネルギーを持ってかれて気絶しちゃったけど。

 今回は魔素総量の3割ほどを持ってかれたか……


 ミーシャの時から進化を重ねて最上位悪魔となった今の私の魔素総量はあの時の比じゃ無いのに。

 それでも全体の3割もぶん取っていかれるとは……流石は四魔王が一角だわ。


 それにしても我ながら良いネーミングセンス!

 ミリアーナが真名だから、今まで通りミリアでも大丈夫だし……


「って、あれ? ミリア?」


 何か目を瞑って微動だにしないんだけど。


「心配ありません。

 レフィーお嬢様の名付けによって進化の眠りについているだけですので」


「そうですよ。

 私の時もそうでしたし、問題ありませんよ!」


 へぇ、そうなんだ。

 しかし……誰かが進化してるのって初めて見るけど、こんな感じなんだ。


「ふむふむ」


 悪魔の進化では進化の繭ができるけど、吸血鬼は目を瞑ってるようにしか見えない。

 ふ〜む、なんか新鮮だわ。


「あの……これは一体?」


 おっと、マジマジと進化途中のミリアを見つめてる場合じゃなかった。

 ミリアが乱入して来たから有耶無耶になってたけど、今は絶賛アーグベル達のお見送り途中だったわ。


「問題ない。

 ミリアは私の眷属!」


 ふっふっふ! この終焉の大地を統べる四魔王が一柱、血王ミリアが私の眷属になったと言う事実!!

 もう鼻高々に胸を張っちゃうっ!!


「と、得意げにピースサインっ!?

 ミーシャ、私はもうダメかもしれません」


「シルヴィア様!? しっかりして下さいっ!!」


 恍惚とした表情で頬を上気させ、右手で左肩辺りの服を握り締め左手を内股になった太腿で挟んでモジモジするシルヴィアさん。


 エロい、端的に言って超エロい!

 何か見てはいけないモノを見ちゃった感がハンパないけど……まぁ、うん。

 シルヴィアだし、意外といつもの事だわ。


 シルヴィアはミーシャに任せるとして、ここはシルヴィア達の主人にしてこのダンジョンの支配者たる私がしっかりとアーグベル達を見送らなければっ!!


「シルヴィアは偶にああなる、気にしないで」


「そ、そうですか……」


「ん、でもあまり見ない方がいい。

 シルヴィアは怒ると……うぅ、めちゃくちゃ怖い」


 淑女教育の先生をしてた時の魔王の如き有無を言わせないあの微笑み……


「だ、そうだ。

 お前達、シルヴィア様のお怒りを買っても私は知らないからな」


「そ、そんな!」


「アーグベル様、あんまりです!!」


「アーグベル様だって見てたじゃないですか!」


「「……」」


 アーグベルの言葉を受けて若干青ざめながら言い訳を口にする男3人に、それを冷めた目で見る2人の美女。

 グランと一緒にダンジョンに侵攻して来たアーグベルを入れた6人のうち女性はミランダとメアリーの2人だけど。


 この2人も結構な破壊力をお持ちで……それに比べて私は……

 うぅ、何で私の周りにはこんなにも良いプロモーションの美女ばかりがっ!?


「私は妻と我が子に誓って、お前達のように鼻の下を伸ばしてなどいない」


 えっ、アーグベルって妻子持ちだったんだ。

 何気に衝撃のカミングアウトなんですけど……


「それでは、我らは軍団を率いて一度本国へと帰還いたします」


「う、うん、気を付けてね」


「はっ! それでは失礼いたします」


「ん、じゃあね」


 アーグベルを筆頭に一礼すると同時に6人の姿がかき消える。

 しっかりとお見送りできたかって聞かれたら微妙だけど、まぁ取り敢えず見送り自体はできたかな?


「お客様のお見送り、お疲れ様でした」


「ご立派でした!」


 2人がこう言うなら見送りは問題なくできたって事!

 ふっふっふ! 半年前は絶対に不可能だっただろうけど、今の私なら見送りだって普通にできちゃう。

 自分の成長が恐ろしいわっ!!


 てなわけで、いつの間にかシルヴィアも復活してる事だし。

 ミリアの目が覚めるのを待って、アーグベル達との約束を……私の望みを叶えに行くとしよう!

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