第40話 2人目の眷属

「んぅ……」


 ここは何処? 私は誰?

 とまぁ、使い古されたネタは置いておくとして、何でベッドで寝てるんだろ?

 うーん、全く思い出せない。


 まぁ、いいや。

 後でシルヴィアか、覗き見大好きな邪神にでも聞けば教えてくれるだろうし。

 とりあえず水を……


「……」


「お目覚めですか? ご主人様」


 一瞬、心臓が止まったかと思った。

 まぁ、魔力体だから心臓が止まっても全く問題ないけど。

 とにかく、悲鳴を上げなかった自分を褒めてあげたい!


 まぁ、悲鳴を上げなかったではなく、上げれなかったって方が正確だけど。

 まぁ何にせよ! ベッドのすぐ側で、ジッとこっちを見つめてくる人とガッツリ目が合った事もだけど……



 ピコピコ



 何より! ベッド脇に人がいた驚きを一瞬で凌駕し、私の意識を掻っ攫ったこの存在!!

 ピコピコ、ピクピクと動く、モフモフな白いミミっ!!


「シルヴィア様!

 ご主人様がお目覚めになられました」


 っ!? こ、これはっ!!

 ミミが僅かに遠ざかり、不意に視界に躍り出て来たこのモフモフはまさかっ!?


 ふ、ふふふ、ふっふっふ!

 断言しよう。

 今の私には目の前で揺れ動くモフモフの事しか視界に入っていないとっ!!


「モフ、モフっ!」


 それは、しなやかであり、優雅なネコ科の動物を彷彿とさせる見事な跳躍である事だろう。

 いつもなら寝起きでこんな動きができるなんて、とても思えないけど……モフモフの魔力がそれを可能とするっ!!


「ご、ご主人様!?」


 ぐふ、ぐへへ!

 モフモフ、何と素晴らしい抱き心地!!

 目の前でゆらゆらと揺れる真っ白な尻尾を見て、ジッとなんてしてられない!

 抱き付いてしまうのは、この世の真理なのだ!!


「レフィーお嬢様、おはようございま……何をなさっているのですか?」


 む、シルヴィア。

 何をって当然、モフモフの癒しを堪能してたんだけど?

 と言うか、ナチュラルな流れで両脇の下に手を入れて持ち上げないで欲しい。


 おかげでモフモフが離れてしまったじゃないか!

 目の前にモフモフがあると言うのに!!

 もどかしい! もっとモフモフと一緒に戯れたいっ!!


「ミーシャもです」


「申し訳ありません。

 突然、抱きつかれたもので……」


「ミーシャ?」


 そう言えば、モフモフの魔力のせいで我を忘れてたけど……え、嘘でしょう?

 この美少女が、あのネコちゃんのミーシャ??


「はい、ご主人様。

 ご主人様に名を頂き、眷属となりましたミーシャです」


 確かにあのモフモフなミミと尻尾は真っ白だし、シルヴィアと同じで繋がりを感じる。

 と言う事はやっぱり……


「改めまして。

 よろしくお願い致します、ご主人様」


 何か知らん間に2人目の眷属が、ネコちゃんからネコミミ美少女にバージョンアップしてるんですけどっ!?

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