第30話 色々と凄かった、色々と……
「灰塵と化せ」
グギャァッッ!!
黒い炎が波のように広がって荒野を駆け抜け、餌食となった存在の断末魔が響き渡る。
黒炎の波動に触れた瞬間に炎上して、消し炭になっていく光景は壮観だわ。
「けど当然か」
黒炎の威力もさる事ながら、何たって相手は木だし。
まぁ、木とは言っても……
「鑑定」
エルダートレント
名前:なし
状態:炎上
トレント種の中でも永き時を生き、深い知識を持った存在。
大地の魔力を操る力を持ち、高い回復力を誇る。
枝や根で獲物を捕まえ、魔力や生命力を吸い上げて自身の養分とする。
危険度・Aランク、厄災級に位置する魔物。
枝を鞭みたいにしならせて絶叫してる地獄の植物って感じの魔物だけど……
と言うか、眼下で絶叫しながら炎上してるトレントの殆どがエルダートレントってどうなってんの?
エルダートレントは確かにAランクで厄災級の魔物だけど、危険度と戦闘力はその中でも最高クラス。
昔読んだ英雄と呼ばれた冒険者の遺した書物によると、オークキングを養分にしてたとか何とか……
グギャァッッ!!
「……まぁ、いいか」
エルダートレントが強いって事は、それだけ良い食材って事!
厄災級の魔物の大群が何もできずに、無惨にも燃やされてる光景はなんかちょっとシュールだけど……
「流石はレフィーお嬢様、お見事です!」
「う、ありがと」
まぁお見事って言っても、本来Aランクであるエルダートレントをこうも簡単に殲滅できてるのは、単に相性が良かったから。
私は黒炎の波動を放っただけで、大した事は何もしてないんだけどね。
『いや、高い火炎耐性を備えているトレント種が炎上してる時点で異常なんだけどね?』
来たな、邪神。
『しかし、普通のトレントだけじゃなくて、エルダートレントまでもが黒炎に包まれて絶叫してのた打ち回ってるとは……カオスだね』
まぁ、それは私も思う。
けどもう気にしない事にした。
だってシルヴィア曰く、昨日のオークの群れも、このトレントの大群も、この大陸においては最底辺らしいし。
この程度で一々気にしてたら身がもたない。
それに、敵が強大であればあるほど都合が良い。
戦闘経験を積めるし、良質な魂が大量に手に入れば、それだけ強くなれる。
そして何より、めちゃくちゃ美味しい!
『悪魔ちゃんって結構……』
「何?」
『いや、それよりもエルダートレント見て、美味しそうって感想を抱くのは多分悪魔ちゃんくらいだよ』
コイツ、今完全に話を逸らしたな……まぁ良いけど。
しかし、ナメてもらっては困る。
エルダートレントなんて上質な獲物を見て美味しそうって思うのなんて当然の事。
何せ、私はグルメなのだよ!
Aランクの厄災級?
特Aランクの災禍級? 大いに結構!
のこのことやって来る間抜けな
そんな訳で……
「いただきます!」
ん……! これは!!
昨日のオーク達は基本的には脂の乗った肉って感じだったけど、トレント達は瑞々しい野菜やフルーツって感じだ!
「ふふ、お気に召したようですね」
「うん!」
朝食にピッタリな爽やかな味わい!
トレント共の魂を頬張って答える程には気に入った。
っと、そう言えば……
「はい、シルヴィアも食べて?」
「で、ですが、メイドである私がレフィーお嬢様と同じテーブルに着くわけには……」
「シルヴィアは、私と食べるの、嫌なの?」
「っ!? 決してそう言うわけでは!!」
「じゃあ、はい」
「か、かしこまりました!
では、失礼いたします」
嬉々とした表情で、何処からか椅子を一つ取り出して腰掛けるシルヴィア。
勝った!
『その歳と見た目で色欲までも……』
邪神が何やら言ってるけど、無視だ無視。
ご飯の獲物を探してる間にシルヴィアの種族について聞こうと思ってたんだけど……
シルヴィアが私を抱っこして、一瞬でここまで転移したせいで聞けなかったんだよね。
シルヴィアはプロ意識が高いから、断られるかもって思ってたけど、これで話が聞ける。
「シルヴィア」
「はい」
「シルヴィアの、種族ってどんなの?」
「私の種族ですか?
少々お待ち下さいませ……ステータス、どうぞご覧ください」
……今、ナチュラルにステータス使った?
い、いや、まぁシルヴィアだし……うん、気にしないでおこう。
それよりも、どれどれシルヴィアのステータスはっと……
ステータス
名前:シルヴィア
種族:
加護:原初の悪魔レフィー
称号:「レフィーの眷属」「完璧メイド」「副ダンジョンマスター」
「……」
何か思ったより色々と凄いんですけど……
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