第20話 自分に名付け!
いつの間にか獲得していたスキル、魔力体。
鑑定してみたけど、多分これはそのまんまだな。
シルヴィアの説明では悪魔は精神生命体であり、自身の魔力で肉体を形作って受肉している。
それを為し得てるのがこのスキルって訳だ。
使い様によっては色々とできそうだし、実に素晴らしいスキルと言える。
それに加えてユニークスキルである付与者と……
『いやぁ、これは凄い。
まさかこれ程までとはね』
こればっかりは全くもって邪神に同意だわ。
「まさか、これ程とは……」
目の前に広がる焼け焦げたクレーター。
たった1発の魔法でこんな事になるなんて、流石にビックリだよ。
まぁ、そのおかげで魔力を大量に持ってかれたけど。
『流石は全種族で最も魔法に長けた悪魔だね……』
悪魔……悪魔、ね。
それもまぁ要因の一つではあるだろうけど、これはそれ以上に……
『いや、流石は悪魔ちゃんって言うべきかな?』
魔法とは魔力量は勿論、魔力操作や魔力制御の技量とかも重要だけど、最も大事なのは想像力。
いくら魔力があろうが、技量が高かろうが、それをイメージする事ができなければ大した効果は及ばせない。
だからこそ、貴族とかは学園で色んな事を学んで想像力を高めるんだけど……
所詮この世界の文明はファンタジーでは、お馴染みと言っていい地球で言うところの中世程度。
魔法とかスキルとかがあるから、地球とは違う文化が形成されてる訳だけど、基本的にそこまで大きくは変わらない。
そんな世界で、地球でも特に生活水準が高い日本の記憶があるって……そりゃあ、こうなるわ。
特に私の場合は、暇で退屈な病気のベッドの上でゲームにアニメ、漫画にラノベと漁りまくってたし。
その手のイメージに抜かりは無いっ!
「ふふ、ワクワクしてきた!」
アニメで見た魔法の再現とか!
日本男子なら中学生の頃に誰もが一度は妄想するだろう魔法の再現とか!
「ぐふふ……」
夢が広がるわっ!!
それに加えて、私にはゲームの研究の為に調べまくった科学やら、兵器の知識がある!
とりあえずあれだ。
周囲の魔素を感じ取ってレーダーみたいに感知する……
「ん?」
『ぴろん!
スキル・魔力感知LV1を獲得しました!』
おぉ! 一気に視野が広がった!!
360度全てを把握できるし、今までよりも遠くを正確に把握できるっ!!
距離にしてザッと半径500メートル程かな?
「お嬢様、ただ今戻りました」
「っ!!」
シルヴィアっ!?
約半径500メートル内を感知してるのに、今いきなり現れたんだけど……それってつまり、一瞬にして500メートルを移動したって事だよね?
やっぱりシルヴィアさん、ぱねぇ……
「お、お帰り、なさい」
こ、ここはシルヴィアの主人として堂々と振る舞わなければ! 内心の動揺を悟られるなんて以ての外っ!
表情筋が死滅してた事に感謝しないと……まぁ、勇者共に感謝なんか死んでもしないけど。
と、とりあえず、何か言わないと……そうだ!
「シルヴィア」
「はい、如何なさいましたでしょうか?」
「私の名前、何がいいと思う?」
「……」
あ、あれ?
シルヴィアが唐突に硬直しちゃったんですけど……
「シルヴィア……?」
「っ! も、申し訳ございません!!
そ、それはもしかして、この私めにお嬢様のお名前を! 名付け親になる名誉をいただけると言う事でしょうかっ!?」
「う、うん」
お、思わず頷いてしまった。
けどまぁ、前世からずっと一緒にいるし、シルヴィアは言ってしまえば家族みたいな感じだし。
うん、シルヴィアなら信頼できる! 別にシルヴィアの様子に臆した訳じゃ決してない!!
「こほん、では僭越ながら……レフィー様とお呼びさせていただきたく存じます。
実はこうして悪魔となり、再びお嬢様と再会した瞬間から不思議と頭に浮かんでいたのです」
『へぇ〜』
「レフィー……」
レフィー、レフィーか。
「ん、わかった。
じゃあ、今から私の名前はレフィー」
確かに私も不思議と、シルヴィアにそう呼ばれる事に違和感が全くない。
邪神も何やら意味深な感じで呟いてるし、もしかしたら殺される前もそう呼ばれてたのかも……
おぉ、これは……悪魔になったからかな?
レフィーって名前が魂に刻まれたのを感じるわ。
う〜ん、何か変な感じだけど、まぁ何はともあれ! これで転生当初からの課題が1つ解決できて良かった。
「うん、気に入った」
「っ!!」
シルヴィアにピースサインを向けたら、何かめっちゃ嬉しそう。
うん、いい事した!
それじゃあ、名前も決まった事だし……
「シルヴィア、行こう」
「かしこまりました」
お昼ご飯……もとい、レベリングと洒落込もうじゃないか!!
まぁ、レベルはないけど。
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