2-4
ルイーザと食事を終えて店を出ると、なんとさっきのクレーマーたちが仲間を連れて集団で待ち構えていた。
「うわぁ、面倒くさいね...」
「これって、さっきの人たちよね?」
ルイーザが眉をひそめる。
その集団の先頭に立ったクレーマーのリーダーが怒鳴った。
「おい、さっきはよくも恥をかかせやがったな!」
「いやいや、恥をかくようなことをしたのはそっちでしょ?」
ジュンが冷静に返すが、相手は聞く耳を持たない。
「うるせえ!てめえら、覚悟しとけよ!」
男が手を振り上げると、仲間たちがじわじわとこちらに向かってくる。人数は十数人以上。たった二人でこれを相手にするのは無謀だ。
「こりゃあ、さすがにまずいな...」
ジュンが焦りを感じる中、ルイーザはどこ吹く風といった様子で言った。
「うーん、ちょっとスマートじゃない方法だけど、私に任せて」
「え?スマートじゃない方法って...?」
ルイーザは微笑むと、口笛を吹いた。その音が響き渡る。
ドドドドド...
遠くから地響きのような音が近づいてくる。
「な、何だあれ?」
ジュンが目をこらすと、黒い毛並みをした巨大な生き物がまるでサイのような猛スピードで突進してきた。
それは猛然と敵集団に突っ込み、男たちを次々と吹き飛ばしていく。
「うわあああっ!」
男たちは悲鳴を上げるが、成す術がない。生き物の突進は圧倒的だった。
ジュンはその光景に目を見開いて立ち尽くした。わずか数十秒の間に、集団が全滅状態になったのだ。
「あ、あの...ルイーザさん。この生き物って?」
ジュンが恐る恐る尋ねると、ルイーザは満面の笑みを浮かべた。
「この子は私の大事な旅の仲間、ワッフルよ。可愛いでしょ?」
「いや、可愛いかどうかは別として...とにかく助かったよ」
ワッフルという名の黒い一角獣のような生き物は、満足げにルイーザのそばで静かに座っていた。
「さて、こいつらどうしようか。このまま放置するわけにもいかないし...」
「何の騒ぎだ!」
突然、背後から低い声が響く。振り返ると、緑色の服を着た屈強な男が立っていた。
「軍曹...いや、ギルドのマスター?」
ルイーザが男に軽く手を振る。
「ルイーザ、またお前か...」
軍曹風の男はため息をついた。
「お前さん、またこいつらに手を出したのか?これは我々ギルドが指名手配しているならず者集団なんだぞ。勝手に倒す奴があるか!」
「手を出してきたのは向こうよ。それに、正当防衛だもの」
ルイーザは悪びれもせずに肩をすくめる。
「はぁ...まったく、厄介な奴だ。で、一緒にいるこの若者は誰だ?」
軍曹はジュンに目を向けた。
「あ、彼は私の新しい冒険のパートナーよ!」
ルイーザが胸を張る。
「は?パートナー?」
「そう!これで私たち、立派な探検隊よ。よろしくね、ジュン!」
ルイーザの目が輝いている。勢いに押されつつも、ジュンは笑顔で応じた。
「よろしく、ルイーザ!」
二人の新しい冒険が、ここから本格的に始まるのだった。
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