2−3

男たちが出ていくと、隣の女性が話しかけてきた。


「君、強いね!助かったわ。私はルイーザ。冒険家よ」


「僕はジュン。同じく冒険家だよ。でも、まだ新米なんだ」


彼女の話を聞くと、名前はルイーザ・クレセリア。

ルイーザが住んでいた異界も、世界の改編に巻き込まれたらしい。そこで、彼女の国ではこの世界の調査隊を募っており、冒険好きなルイーザは迷わず名乗りを上げたそうだ。

もともと探検が趣味で、今回の調査はまさに理想的な冒険の舞台だったらしい。


「君も旅をしているんだね。どんな目的の旅なの?」

「私はこのコンパスの謎を解くために旅をしているんだ」


そう言って、ルイーザは首に下げているコンパスを見せてくれた。


「これは『導きのコンパス』っていうお宝よ。始まりの異界に導いてくれるらしいの」


突然のキーワードに、ジュンは驚いた。


「始まりの異界だって!?」


「あれ?ジュン、始まりの異界のこと知ってるの?」


ジュンは頷き、リズから託された異界の笛を取り出して見せた。

それが冒険のきっかけになったことを、ルイーザに話して聞かせた。


「へぇ、そんなことがあったんだ。それ、面白いね!」


ルイーザはしばらく考え込んだ後、にっこり笑った。


「そうだ、一緒に冒険しない?」


「一緒に?」


「うん。始まりの異界に関係するアイテムを持つ者同士が出会うなんて、きっと何か意味があると思うの。根拠はないけどね。

それに、冒険ってさ、1人でやるより2人のほうができることも広がると思わない?」


確かに、彼女の言うとおりだ。仲間がいればできることの幅が広がるだけでなく、正直なところ、ジュンも一人旅には少し不安を感じていた。

仲間がいるなら心強いし、何より楽しい旅になりそうだ。


「うん、僕でよければ」


「やったー!ありがとう!実はさ、同じ目的を持つ仲間と旅をするの、ずっと夢だったんだ。

元いた異界では、一人旅ばっかりだったから。これからよろしくね、ジュン!」


「うん、こちらこそよろしく、ルイーザ!」


互いにしっかりと握手を交わし、ジュンとルイーザはここから冒険の旅を共にすることになった。


「さて、この旅の無事を祈って、乾杯!」


「乾杯!」


2人とも未成年なので、ジュースで乾杯することにした。グラスを軽く合わせる音が、これから始まる新たな冒険の第一歩を祝福しているようだった。

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