キャンプの準備
雨乃が数日間の補修をすべて終えてから1週間半ほどたった。。夏休みも半分ほどが過ぎた。
そんな今日も今日とて俺たちは練習している。最初は壊滅的だった彩雪のベースもかなり上達してきている。最近は歌いながら練習できるようになった。
雨乃も対外だが、彩雪も練習したらプロレベルに上手くなるんじゃないか…… やっぱり俺の幼馴染って天才だな……
「ねぇ! そろそろみんなで合わせてみようよ!」
雨乃が地道な練習に痺れを切らしたのか、いきなりそのような提案をしてきた。まぁ、雨乃らしいといえばそうなのだが……
それにたいして俺は特に何とも思わないが彩雪はまだ自信がないようで首を振って嫌がるそぶりを見せる。
「一度やってみるか」
「しゃーい!」
文化祭までの時間は長いようで短い。もうそろそろ合わせておくべきではないかと思っていたので丁度良いタイミングだ。決して彩雪をイジメたいわけではないぞ?
「え!? ちょっと待ってよ! 私はやるなん……」
「サユちゃん! つべこべ言わない!」
「なんでそうなるのよ~」
彩雪が嫌がっているが俺と雨乃は結託して準備を進めた。
彩雪も自信もっていいと思うんだけどな……
「私はいいよー!」
「俺と彩雪も準備いいぞ」
「私はそんなこと言ってないわよ……」
それから雨乃の「1,2,3……」の合図に合わせて演奏を始める。この合図さえ雨乃は様になっているな……
それから俺たちは本番で引こうと思っている楽曲の内1曲だけ弾いた。とはいっても、その曲もすべて弾けたわけではなかったが。
そして関係ないことだが本番で使う楽曲に俺の作曲したものも混ざっている…… 他のグループでも使われるという噂を聞いた。前にも言ったが、俺の曲はアニソンや恋愛系の曲が多い。本番は共感性羞恥に震えることになるだろう。主に俺が。
ちなみにこの噂をどこで聞いたのかというとクラスのとも…… 友達なんていなかったわ…… 単純に夏休み前のクラス内の会話で会ったのを聞いていただけだ。
それからしばらくの間合わせようと練習していた結果、時間は過ぎていって昼食を食べる頃合いになった。
俺たちは母さんに呼ばれて階下のダイニングへと向かった。そこにはすでに昼食が用意されていた。
「あ、彩雪ちゃんごめんね。今これしかなくって……」
母さんがそう言ったので、何があったのだろうと思い確認してみるとそこにはそうめんがあった。
「そうめん、そうめん……」
「やったー! そうめんだぁあ!」
「母さん…… マジかよ……」
それに対する反応は三者それぞれだ。彩雪は気絶寸前と言っても問題ない。
「あー その、彩雪…… 夏だから、な? 問題はないだろ? だよな……?」
「季節とかそういう問題じゃないのよ…… あれは、その、そういうもんなのよ……」
「どういうもんだよ…… まぁ食べるしかねぇだろ」
結局俺たちは席についてそうめんを食べ始めた。
「おいしい! ねぇサユちゃん? サユちゃん!? どうしたのその顔!?」
「なんでも、ないわ……」
雨乃って天然なのかどうかが分からなくなることがあるな……
俺が1人騒ぐ雨乃を尻目に静かにそうめんを食べていたとき母さんがあることを言ってきた。
「あ、そうめん食べたら明日の準備をしといて。車のカギは開けておいたから」
「りょーかい! ねぇ、ハルちゃん明日からも練習しようよ!」
「お前バカなの? ドラムはどう考えても無理だろ」
「そんなことないよ! なんとかなるって!」
「お前のその自信は何処から出てくるんだ……」
雨乃が明日からも練習したいと言った瞬間彩雪は戦慄した表情を見せた。しかし、抵抗しても無駄だと学んだのか黙々とそうめんを食べた。そうめんを食べるその目も険しい。
ちなみに明日から何があるのかというと3家族で行う毎年恒例のキャンプだ。これは俺たちが小学校に上がった時からやっている。そして毎年雨乃がなにかしらやらかす……
その準備とは道具が置かれている俺の家から車に乗せることだ。ちなみに3家族像で出行われるため俺の家の車に道具を一式のせて、それ以外の家の車に乗って移動する。ちなみに俺の家の車を運転するのは父さんの担当だ。同乗者はいない……
それからそうめんを食べ終えた俺たちはキャンプの荷造りを始めた。話し合いの結果ドラムは電子式であまり嵩張らないため持っていくこととなった。しかし他の荷物と一緒には積めないため、雨乃の家に持って行って雨乃の家の車に積むことになった。
俺たちは協力して車にテントや椅子といったキャンプ用品を積んでいった。また持って行く物に異常はなかった。
それから俺たちは手分けしてドラムを雨乃の家に持って行った。ドラムも無事積めたので、これで明日のキャンプの準備終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます