第38話 白の武官リアン




「ところで 今日はどうしたんだアル? なんか元気ないが」アーシュ


「あの アーシュ様 先日の件ですが

バレましたわよ 白の武官リアン殿に・・」困り顔でアルテイシア姫は言う


「えっ!」目を見開くアーシュ


「何故」アーシュ


「それは・・」とアルテイシアが言いかけて

そこに


「それなら 私から御話しましょう 黒の王 火竜王(サラマンデイア)様」

にっこりと笑うリアン


「リアン」アーシュ


「失礼 ドアが開いていたもので 勝手に入りました 

御話も聞こえてきましたし」


「ごきげんよう アルテイシア姫」

にこやかに爽やかに微笑むリアン


「ごきげんよう リアン殿・・」少々引きつり微笑むアルテイシア姫


「頂きましたお菓子 何処かの街で買われたものと言われてアルテイシア姫に

頂いたのですが このキャンデイ


それは白の国のある地方の有名な菓子職人が発明したばかりの物と同じ物で

まだ 試作段階で 出回ってないのですよ


その地方を治める白の貴族は 

同じ武官で仲がよくて わざわざ先日 私に送ってくれたんです」

にっこりと笑うリアン


「・・・」

左腕の肘をテーブルにつき 下を向いた顔を左手で思わず押さえるアーシュ

顔は引きついている


「・・・・」何も言えずに沈黙するアルテイシア姫


「で 問い詰められて・・白状したのかアル?」アーシュ


「はい」アルテイシア


「確かに伺いましたよ 全てね」リアン


「そうそう 聞いた話なのですが


リュース公の領地の近くの地で 

猫耳としっぽがついた種族が暮らしているそうです


手先が器用で 

滑車や蒸気を使った発明品で 暮らしを向上させてるという話です


平均寿命は ほぼ人間と同じ


魔法は 使えないのですが

リュース公の領地の者達の一部が そこに住み着いたとか」


「おそらく その者達とも深く交わり 

魔法が使える子孫が出るでしょうね


いえ、出てたそうですね 遥か先の時代


そして 未来 私達の国や人々はいなくなる・・消える


残念な事です」リアン


「伝説だけは 残る


多くの書物に肖像画

子孫に白と黒の国の人間の特徴も


それに魔法の技


魔法の呪文の詠唱に 

俺達の名が使われてるそうだ リアン お前もな」

ため息をつくアーシュ


「私の国・・

白の国にいた最後のケンタウロス族の者が病で死にました


もう残ってるのは 

あの銀の髪の美しいレグルスが残した 幼い娘のレグルスだけです」

少し 切なそうに言うリアン


「あのレグルスは成長しない」アーシュ


「えっ・・」リアン


「あの小さなレグルスは 娘じゃない 分身だ



エイルを追って 時空の闇の時間に飛び込んだ時


時空に彷徨う レグルスに会った 


彼女は未来と過去の時間を行ったり来たりしている

彼女がそう言った 彼女は全ての過去と未来の出来事を知っている


あのままの姿で 誰よりも長く生きて 寿命が尽きるまで


そして

死んだその日に 時空を彷徨うレグルスの魂も 安息の時間を迎える」


「未来は変わらない


生きている

許されてる幸せな安楽の時間を楽しめと・・彼女は俺を諭すように言った」


「エイルとわん子には 全ての事は秘密にしますわ

他の方々にも」アルテイシア姫


「そうですね

この事は我々の胸の中だけに」リアン


「そうだな 

しかし、日記には 書いていいぞ リアン殿 アル

俺も書いておく・・」


「ええっ!でも・・」アルテイシア


「どうせ エイルが遥か未来の街の祭りで

正体がバレて大騒ぎしたんだ 今さらだ」


「はあ、そうでうね・・」今度はアルテイシアがため息をつく


「それもいいですね

私も今度はお供して時空の彼方に行ってみたいものです」

リアンは微笑む


「まあ 機会があったら 誘ってやるよ」笑うアーシュ


「アーシュランさま?」アルテイシア


アーシュの瞳が金色に変わっている 表情も硬く冷たい


もしかして・・まさか・・他にも

アルテイシアは思い 問いかけようとした時に


「アーシュ リアン兄様! アルテイア姫も来てるって聞いたよ


お土産 王都に寄って買ってきたよ 一緒に食べようね!」エイルの声


「戻りました アーシュ様 皆さま」今度はナーリン


「お泊りに来ましたワン!」こちらはわん子


「レグルスも来たよ♪」小さなケンタウロスの少女レグルス


「おや 我らの姫のお帰りですね」リアン


「ああ」笑うアーシュ


「うふふ」こちらも笑うアルテイシア

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