雑文
やを・ばーど
20200815日記
不安だった。仕事の失敗が冷たい腫瘍となって、胃を圧迫していた。
汗ばみをシャワーで洗い、湯舟で溶かそうと試みた。ほんの少しだけ軽くなった気がしたが、気のせいだった。
冷房の効いた部屋で一時間、ただ寝転んで熱気を落とす。
「自分の対応が下手だったのはわかるが、ただあれ以上の説明を求められても出てこないよな」
ひとしきり怒りを燃しても何ら心は晴れないもので、納得の方向へ舵を切った。不安は性根だと知っていたので、まあそりゃすぐにはなと不安定の中の安定に頷いた。
母の作った飯を食った。喉のところまで不安がせりあがってきていた。折角の食事がスローペースになってしまう。完食も難しい気がした。気のせいだった。
飯を食ったら不安が七割失せていた。食欲は偉大だった。さすが三大欲求に入っているものだな、と納得していた。
それから母が「足痛いの」と尋ねた。疲労の態度が負傷に見えたらしい。
「いや疲れてるだけ」と、少しだけ出来事の愚痴をいう機会に恵まれて、その頃にはすっかり不安の九割が消えていた。
何の解決もしていないが、それでも精神がマシになると、大体のことがどうでもよくなるもので、繰り返してきた楽観の波に心を浸すことにした。
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