そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
春音優月
プロローグ 王道を裏切ってもいいですか?
物語の王道は、ハイスペックなイケメン王子様と心の優しいお姫様が結ばれること。
だけど、たまには魔女(野心の強い外道ヒロイン)が王子様(御曹司)を手に入れる話があってもいいと思いませんか?
王道ヒロインのシンデレラは王子様と結ばれ、見事に王妃の座を手に入れたけど、もしかしたらシンデレラは純粋で素直な心のキレイなヒロインではなく、実は計算高くて腹黒い女だったかもしれない。
シンデレラは王子様が自分を探すことを見越して、全て計算の上で、わざとガラスの靴を落としていったのかもしれないのだから.......。
シンデレラが純粋だったのか、腹黒かったのかは分からない。
しかし、仮にシンデレラが腹黒かったとしても、彼女よりもさらに計算高く、腹黒い女はたしかに実在するだろう。
しかも最悪なことに、その女は......
もしも、魔法使いが現れなければ、意地悪な姉のドレスを拝借し、門番に入れてもらえなければ強行突破。
王子様の目にとまらなければ、力ずくでダンスを踊り、ガラスの靴を押し付ける。
さらに、王子様が自分を探しにこなければ、自ら王子様に会いに行き、縄で縛ってでも王子様を手に入れる、ガッツあふれる女だ。
そんな女いるのかって?
残念ながら、確実に一人はいる。
なぜなら、この物語のヒロインがその女なのだ。
たとえば、彼女は......
「お前が落としたのは、この俺様イケメンか? それとも、この優しい男か?」
もしも、突然誰かにそう聞かれたら、彼女は間違いなくこう答えるだろう。
「いいえ、どちらも違います。私が落としたのは、そのような貧乏な男ではありません」
予想外の答えにその誰かがぎょっとしても、彼女は決してひるまない。
お目当てのものが出てくるまでは、全て首を横に振り続ける。
「......では、このお人好しで残念な御曹司か?」
「はい、そうです!」
誰かが呆れたようにお目当てのものを出すと、待ってましたといわんばかりに、彼女はそれにがっちりとしがみつく。
セレブなら、お人好しでも残念でも何でもいい!とばかりに。
「そ、そうか。お前は正直な女だな」
誰かにドン引きされても、彼女はそのお人好し残念御曹司から決して手を離さない。逃げられないようにしっかりとその手を、むしろ体ごとしっかりとつかみ続ける。
そしてふたりは、末永くセレブな暮らしをしました。めでたしめでたし。
御曹司様にとっては迷惑極まりないが、とにかく彼女は、多少(?)力技を使ったとしても、絶対に目的を達成する女。
そう、王道ヒロインとは正反対の魔女のような女だ。
腹黒で拝金主義の女に狙われた可哀想な御曹司の末路が気になった人は、ぜひこの物語をのぞいてみてほしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます