終戦記念日
斉藤なっぱ
僕のまだみたことのない叔父さんの話。
この季節になると長々と書いてある家系図と、ある亡くなった叔父の話で親戚たちは盛り上がっている。そして薄っすらと涙を浮かべ仏壇に手を合わせるのだ。
祖父と祖父の兄は戦争に参加したが海軍で、あまり多くを語らなかったが勲章をたくさん持っていた。母が言うには祖父は海軍だった時に多くの人命を救ったらしい。
うちには親戚が多く、集まるときには何十人にもなるのだが、その時戦争で儚くも命を落とした大叔父がいることを知った。この季節になると遺書が置かれ、僕たちにもあまり多くは語ってくれなかった。大叔父はやはり海軍で、どこか遠い海のもとで玉砕したらしい。びっくりするような達筆で、遺書を残していった大叔父のことを思うと、戦争のことをまるで他人事のようにしか感じられない自分にも、ひしひしとその悲劇が伝わってくるのである、今日は終戦記念日だ、僕はまだ見たことのない玉砕した大叔父のことを思う。そしてたくさんの英霊たちのことを思う。2度とあってはならない悲劇を繰り返さないと固く心を決め、感慨ぶかい思いで毎年8月15日を迎えている。
終戦記念日 斉藤なっぱ @nappa3
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