第5話


「え、魔法の勉強?」


「うん、シスター。みんな生活魔法とか使ってるじゃない?私も使いたい!」


「そうねえ…。」



 この世界には、魔法がある。

 全ての人が魔力を持っていて、日常的に使っているのだ。魔力量は大体の人が生活に使う分しか持ってないらしく、貴族だからといって多い訳ではない。

 そして私くらいの歳から魔法の練習を始めるのも少なくない。ただ平民の識字率は低く、魔導書とかを読めないんだよね。

 だから簡単な魔法しか使えない。生きていくには十分だけど。

 そうして私はシスターにお願いして、扱い方を教えてもらう事になった。魔法ってテンション上がるよね!



「そうね。じゃあまずはステータスの確認からかしら。『ステータス』って言ってごらん。」


「『ステータス』!」



 すると私の目の前に、半透明のウインドウが現れた。おお!ファンタジー、ゲームみたい!ゲームの世界だったわ…。どれどれ?







名前:アシュリィ

性別:女

職業:無し

Lv.10


HP  8500/8500

MP  25000/25000

ATK 1062

DEF 550

INT  8600

AGI  2304

LUK 9999



スキル:※※

称号:※※




 すごい!読めないけど頭の中に入ってくる!

 えーと、体力魔力に攻撃、防御。知力、素早さ、運か…。運カンストしてない?知力もたっかい。前世の記憶があるおかげ?レベルは低いな。こんなモンかな。

 …あれ?あのゲームのステータスってどんなだっけ?って違うわ。ノベルゲームだったからそもそもレベルとかそういうの無いんだったわ。

 実際はこんなモンがあったのねー。





「どう?わかったかしら?」


「うん!」


 このステータスは、本人にしか分からないらしい。他人が知る術はないんだって。よくある鑑定とかで見る…なんてことも出来ないらしい。

 さて、なかなかいいステータスじゃないかな!?こりゃー期待できますなあ。




「一般的な魔力量は20前後よ。多くて1000も持ってる人もいるらしいわ!まあそんな人、ほとんど伝説だけどねえ。

 あと、噂では魔族は平均5000もあるらしいわ。流石よねえ。」



 おぼあぁーーー!!!



 シスターの説明に、私は床にぶっ倒れた。

 私25000だけど!?伝説も魔族もあっさり越して神じゃないかな!?チートって次元じゃねえーよ!!!



「どうしたの!?そんなめり込んじゃって!あ、もしかして一桁だった?

 大丈夫!そんな人も結構多いから!ほら、肉屋のおじさんいるじゃない?あの人6しかないって自分で笑ってたわ!それでも生活には不便してないし、安心なさい!」


 初老のシスターは懸命に私を励まそうとしてくれている。違う、違うんだよシスター…。

 おい世界よ、こんなモブにチート授けるんじゃないよ…。私はステータスを一生隠すと心にきめた









 まあそんなこんなあったが、生活魔法は簡単に覚えられた。

 元々難易度はそう高くないのだが、私は高い知力のおかげか一度覚えた事は忘れないし理解力も高い。これなら将来はいい職に就けそう。

 そうして私が教会に来て、半年ほど過ぎた。



 さてさてリリーは大体週に一度やってくる。なんとなく観察していたが、相変わらず無愛想ね~。

 

 だがある日、事件は起きた。

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