3 恋愛への疑問

 真斗と会ったのは、代休の日から1週間後だった。学校帰りに公園に立ち寄り、しばらく勉強に専念するために、距離を置こうという話を私からした。

「何だよ、それ。折角良い感じになって来たのに、別れるって事なの?」真斗は納得がいかないらしく、食い下がってきた。

「私は、今でも真斗のことが好きだよ。でも、今のような関係は嫌なの。身体の繋がりばかリを求めて、欲求を満たすだけで気持ちがないような気がするの。」

私の言葉を黙って聞いていた真斗は、

「好きだから、愛海とキスしたいし、抱き合いたいし、それがいけないのかな。お互いに身体を確かめ合う事が、恋愛の結果だと思うのだけど。」と言った。

「私は恋愛に臆病だったけど、真斗とならば、と思って突き進めた。だから、こうなった事は後悔してない。真斗との関係も続けたいけど、恋愛は欲望を満たすだけのものじゃない気がする。今の私達には他にやるべき事がたくさんあるし、恋に溺れてしまいたくないの。」真斗は面倒くさそうな様子だった。

「分かったよ。しばらく会わないようにしよう。その代わり、最後に1回…。」私はあきれてしまい、立ち上がった。

「真斗は、私の気持ちを全然解かろうとしないんだね。解かったら教えて。そしたら最後の1回でも2回でもするから、それまでは会わないことにする。」

 私は、真斗の態度にも、私自身の言葉にも悲しくなった。二人でようやく燃やす事のできた火を、今、消そうとしている自分がみじめだった。

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