第十一章 初めてのお泊り

 1 不純な計画

 もうすぐ春休みを迎えるが、真斗と一緒に過ごしたいという気持ちが、以前より増して強くなっていた。真斗と会っても、数日前の行為については、お互いにほとんど口にしなかった。恥ずかしさや照れもあったが、なによりも言葉に出すと二人とも欲求が抑えられなくなるからだった。常に頭の中には、真斗と春休みに1日でも一緒に過ごせないかという考えを巡らせていた。

 学年末テストの成績は、散々だった。したがって成績表の評価も、国語と実技科目以外は軒並み下がっていた。両親には「勉強が足りない」「遊び過ぎだ」と小言をもらった。そんな時に母親が、

「来週、岡山の祖母の所で法事があるの。愛海も一緒に行こう。」と話があった。

「お祖母ちゃんの所か。彩海はどうするの。」

「あの子は、友達とディズニーランドに行く約束をしてあるんだって。」母親の話を聞きながら、これはチャンスかもしれないと考えていた。

「パパとママで行ってきなよ。私は茜を呼んで、家で留守番しているよ。」踊る気持ちがばれない様に、真面目な顔で話した。

 親に嘘を付いてまで、しかも茜をだしにして真斗と会う事を選んだ自分が恥ずかしかった。しかし、今のはやる気持ちは止められなくなっていた。


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