3 不安と期待
部屋に入ってセーターと普段のスカートに着替えていると、妹がやってきて、
「真斗君、なかなかいい男だね。今日来るなんて言ってなかったよね。」と鋭い質問を
「クリスマスプレゼントを持って、突然来たの。」と答えた。
「そうなんだ、プレゼントか。それでそれから…どうしたの?」という彩海に、「それだけ。」と言って、真斗が来ていた事を親には言わないように口止めした。
「分かっているよ、私もいつかのために…お互い様かな。」余計な事を口にする妹が心配だったが、私は妹をにらんで部屋から追い出した。
彩海に対して、ちょっと前までは、恥ずかしさと罪の意識とで顔も見られなかったのに、何事もなかったかのように平然と
両親が帰って来て、テレビを見ながら家族と過ごした。真斗と付き合っている事は、両親も承知していた。妹は隅に置けないが、両親はいつもと変わらず、今日の真斗との事に何の疑いも持っていないようだ。以前はやはり親の顔を見るのもはばかられた私だが、普段通りの態度と会話ができていた。
風呂に入ろうと浴室の脱衣所で、やっと一人になった。セーターを脱いで鏡をのぞくと、胸の上の辺りに赤いシミのようなものを見つけた。何かと思って触ってみて、「真斗が付けたものだ」と分かった。急に恥ずかしくなって、タオルでそれを隠した。「親に見られたらどうしよう。妹にも…」と心配になった。
湯船につかり目を閉じると、真斗の身体の温もりが
二人の恋が新たなハードルを超えたのは事実だ。そして、「この後はどうなるのだろう」という不安と期待の入り混じった思いに駆られながら、風呂から上がった。
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