第六章 初めてのためらい
1 激しいキス
まだ暑い日が続いている9月、2学期が始まった。夏休み中も部活で通った坂道だが、今日から学校が始まると思うと暑さが身体にこたえる。真斗の存在があって、開放的な夏を今年は思う存分楽しめた。
始業式は
始業式が終わって、茜が近付いてきて私をつついて、
「夏休みの終わりに、真斗の家に行ったんだって?」と訊いてきた。
「うん、茜も呼ぼうと思ったんだけど、旅行に行って留守だったでしょ。」とさり気なく受け流した。
放課後、部活が終わってから、
「どうだったの真斗とは。真斗、何かしてこなかったの?」
「うん、何もなかったよ。」二人だけの秘密という真斗からのラインが頭に残っていた。でも、茜には話しても構わないかなという思いもあった。
「昨日真斗と会ったんだけど、その時言っていたけどな。」
「えっ、何を、キスしたこと?」しまったと思った時には遅かった。
「やっぱり、そうだったんだ。キスしたんだ。」私は茜に
「よかったね、一歩踏み出せて!これからもっと相手の事を知りたくなるよ。この前も言ったけど、心で感じて行動する事が大事だよ。」茜の言葉は、恋愛指南を
「茜は、倉橋先輩とはあれ切りなの?」と訊き返した。茜は口数が少なくなり、
「そうなの。愛海が
真斗と帰りながら、いつもの公園に立ち寄った。まだ日が差していて、暑さも衰えていなかった。ベンチに腰掛けて、茜の事を当たり障りのない範囲で話した。真斗は茜の事を知っているようだった。キスした事がばれたと言った時は、困ったような顔をして私を見てきたので、私はすぐに謝った。暑いから木陰に行こうと誘われて、そこでキスをした。初めてのキスから1週間が経っていた。
真斗とは、会った時に予定を確かめて、次の約束をした。学校帰りに会った時は必ず公園に寄り、それぞれに起こった出来事を報告し合い、その後は唇を交わし合った。二人の行為は徐々にエスカレートしていったのも当然の成り行きだった。ある時、キスに没頭していると、真斗の舌が遠慮がちに差し込まれてきた。キスにも段階がある事をその時に知った。
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