第20話 呼

 

 流海から実働部隊ワイルドハントに入ると聞いた次の日。お見舞いに行こうとすれば、片割れからのメッセージが届いていた。


 〈猫先生・柘榴先生と大論争中です〉


 〈近づかないでおく〉


 最後にメッセージのやり取りをしたのが十数日前だった為、懐かしい感覚を抱きながら返信を送る。きっと流海から実働部隊ワイルドハントに入りたいと聞いた先生達が「駄目である正論」を組み立てて、流海は「入りたい精神論」で崩している所なのだろう。


 今回に限っては先生達に勝って欲しい所なのだが、流海の精神論は驚くほど鋭利なので恐らく負けるのだと思う。十年も一緒に住んでいれば猫先生とも柘榴先生とも喧嘩をすることがあった訳だが、流海がそこで負けた記憶が私には無いのだ。


 私は喧嘩をすると苛立って手が出かける為、余程のことが無い限りは自分から折れるようにしている。冷静な話が出来る状態まで戻った方が全体的に効率的だし。譲らない時は決して譲らないが。


 猫先生と柘榴先生は一体どんな気持ちで私達を引き取ってくれたのか。そもそもどうして私と流海を引き取ろうと思ったのだろうか。恋人同士でもなく、婚約者でもなく、同僚である二人が親のいなくなった子どもを引き取って一緒に育てるなど、普通では考えにくい。


 中学生の頃に気になって問いかければ、二人は笑うのを我慢した顔で頭を撫でてくれた。


 ――ただそうしたかったから。それだけだよ


 ――未熟な所ばかりだろうが、よろしくな


 私は自分の前髪を触り、二人が「お父さん」と「お母さん」になることは無いのだと割り切っている。二人から私と流海に対する親愛があろうとも、先生達の間に愛が無いのだから。そういう素振りが一切なく、二人に似合う肩書きは「恋人」ではなく「戦友」だと私は思っている。


 猫先生も柘榴先生も、私達の「先生」だ。ヤマイで途方に暮れていた私と流海にどう対処していけば良いか親身になって教え、時には一緒に悩み続けてくれた。


 私は先生達が時折お酒を飲みながら話している姿を知っている。盗み聞くような無粋なことはしていないが、二人の人生はこれでいいのかと思わされる光景だ。


 パナケイアの中を放浪していた私は頭を振り、道具室を訪れることにした。ウォー・ハンマーの手入れでもしてアテナに行こうと思ったからだ。昨日行ってないし、帰ってから流海の病室に行こう。


 道具室を訪れた私はインターホンを押し、返事をしてくれたのは桜だった。


「桜、こんにちは」


「こんにちはですわ。本日もアテナへ?」


「はい。昨日休んでしまったので、今日こそは」


「そうですか……」


 室内にいたのは桜だけだった。顔を合わせた彼女は直ぐに無表情が維持できなかったらしく、小走りにペストマスクをつけてくれる。柔らかく揺れる桜色の髪は今日も綺麗で、机には何本もの矢が置かれていた。


 私は作業台の一つに鞄と流海へのお見舞い品を置き、桜に対して首を傾ける。彼女は私の視線に気づいたようで、先に話題を振られた。


「弟さんがお目覚めになられたとお伺いしましたわ! おめでとうございます!」


「ありがとうございます」


「今日お荷物が多いのはそれと関係がおありなのでしょうか?」


「はい。一つは流海へのお見舞い品として、お菓子と着替えを」


「そうでしたのね! 素敵ですわ、素敵ですわ!」


 桜はきっとペストマスクの下で笑っている。しかし私にはそう予想することしか出来ず、バグを起こした頭はヤマイを起こさせなかった。


 踊るように軽い足取りで作業台に戻った桜は、矢の手入れを再開させる。私は部屋の中を見渡して、彼女以外の道具室担当がいないことを確認した。


 少しだけ疑問が湧く。彼女がいつも一人で作業していることに。昨日訪れた道具室には複数の道具室担当がいたにも関わらず、今日は桜だけ。シフト的におかしいのではないかと思うが、よくよく考えれば私は桜のヤマイを知らなかった。


 ヤマイを他人に教えるか否かは本人の自由である。私や流海は知られていた方が助かるから口にすることが多く、柊は否応なしに分かってくる。


 しかし、桜や朝凪、竜胆のように傍から見て分からない場合は口にしないことも多い。どちらかと言えば彼らのタイプの方が多いのではないだろうか。


 伊吹は「肌が触れ合った部分を凍らせる」ヤマイだと言っていたが、その字面だけでも想像はできる。アイツの皮膚と皮膚が触れ合ったり、アイツと他人の皮膚が触れれば凍るのだろう。人の温もりを感じづらいヤマイだと言うのが感想だ。彼の場合も、彼自身と周囲の双方が気をつけた方がいいから口外しているように思う。


 ならば桜はどう言ったヤマイなのかと想像するが、今まで接して来た中で特に違和感を抱いてはいない。その為に何も想像できず、深入りしようともしない私は自分の上着を手に取った。


「お気をつけてくださいね」


「はい」


 桜の労わる声に返事をし、彼女が手に持っている矢に目を向ける。あれは誰かの物なのか、それとも予備か何かで手入れ中なのか。


 そこで私は流海との会話を思い出す。ボウガンなどの武器がいいのではないかと話した昨夜のことを。もしも予備ならば流海の練習用として貸してもらえないかと思った私は、桜に確認した。


「それは誰かの矢ですか?」


 聞けば桜の手が止まる。彼女は顔を上げ、矢に視線を戻し、手を宙でさ迷わせた。


 私はそこまで答えにくい質問をした記憶はない。それでも桜は「ぇ、っと」と言葉を濁し、髪を触って落ち着かない。


 そこで私は、桜の印数四が目についた。


 私は桜と出会ってから今までの事を、出来うる限り思い起こす。


 そして一つだけ、彼女がの目途を立てた。


「桜、貴方のヤマイについて私の中に仮説が生まれたのですが、聞かないままでいましょうか」


 ヤマイを口にしていないと言う事は「知られなくても良い」思いと「知られたくない」思いのどちらかを持っているからだ。


 もしも桜が抱いている感情が後者であるなら聞いてはいけない。ヤマイは繊細な部分であるが故、土足で踏み入ってはいけない領域だと知っている。


 だから私は確認した。作ってしまった仮説をどうするべきか分からないまま、最終判断を桜本人に任せて。


 髪を一束掴んだ彼女は、マスクを少しだけ浮かせた。


「お話してもいいのですが……きっと、変だと感じられると思いますわ」


 否定でも肯定でもない、それは防衛。小さく吐かれた彼女の壁。


 マスクを戻す桜を見た私は、素直に返答しておいた。


「私に笑ってくれる貴方は既に、十分変で、素敵な人ですよ」


 桜の顔が上がる。ペストマスクの下にある表情を予想できない私は、白い上着を腕にかけた。雑談をする趣味は持ち合わせていないのだが、足を突っ込んだのは私からだしな。


「大体の人は私に笑ってはいけないと気づいたら離れていきます。離れていかずとも常に顔に緊張を走らせています。それはきっと楽しくないし、息苦しいし、疲れる事でしょう。それでも桜はペストマスクをして私の相手をしてくれます。私を見ても笑顔が我慢できない貴方は、優しくて変な子だと思ってます」


「そ、そう、でしたの……?」


「そうですね」


 今だって、わざわざ視界が狭まるペストマスクをつけて私の相手をしてくれる。いや、私がここに留まっているから仕方なくだろうか。そうだったなら申し訳ないな。早々に退出するべきだったし、疑問なんて振るのではなかった。


 暫し黙った桜は何を考えているのか。分からない私はその場に何となく立ち続け、彼女が口を開くのを待ってしまった。体感にして五分経ったかどうかと言う所だ。


「……私のヤマイをお教えしても、変だとは思われませんか?」


「どうでしょうね。先程も言った通り、私は既に桜は変な子だと思っているので。その印象が変わらないか、より変な子だと思う程度かと」


 噴き出して笑う声がする。しかし声は笑っていても顔に笑みはないかもしれない。肩が揺れていようとも笑顔ではないかもしれない。


 バグったままの私は桜の姿を凝視し、彼女は弾むような声をくれた。


「素直な方ですね、本当に」


「誉め言葉として貰っておきます」


「はい。誉め言葉ですから」


 桜はペストマスクのくちばしを触る。私は彼女の様子を見つめ、深呼吸する音を聞いた。


 別に私は無理やり桜のヤマイを知りたいわけではない。話したくないことを聞き出すような性分でもないので、一応釘を刺しておいた。


「無理して聞き出したい訳ではないので、答えたくなければそう言ってください。私はアテナへ行く準備を進めるだけですので」


 上着を揺らして首を反対側に傾ける。これで彼女に威圧感を与えていなければいいのだが。桜は両手の指を胸の前で組んでいた。


「いいえ……聞いてくれますか? 私のヤマイ」


「あぁ、はい」


 抑揚のない返事をしたと自分でも思う。話してくれないと思っていた気持ちの方が強かったからだ。


 桜は気にしていないように肩を揺らした。やっぱり変な子だ。


 彼女が背筋を正したのに合わせ、私も首を戻す。背筋に力を入れて伸ばせば、桜は柔らかい声をくれた。


「私のヤマイは――名前を呼んだ相手の被虐性欲マゾヒズムを格段に上昇させるヤマイ、ですわ」


 ……。


 ……。


 ……?


「……へぇ」


 置いていかれた。


 完全にそう思った。


 零れた相槌は口癖が出ただけであり、正直言って反応に困る。


 桜は肩を揺らし続けており、言葉に迷っている私に合いの手をくれた。


「どんな仮説を立てられていたか聞いてもよろしいですか?」


「あぁ……人の名前を呼べば傷つけるヤマイだと思っていたんです。桜は一度だって、他人の名前を口にしていないので」


 私は記憶を辿って仮説を口にする。


 彼女はそうだ。出会った時から今日まで、一度たりとも、。上手い具合にかわし続けていたし、呼ばなければいけない時には柊がフォローをしていたように思うのだ。


 桜は胸の前で組んだ指を離しては組み直し、恐らく笑っている。恐らくなのでやはり事故には遭わないが、私はどうにも言葉を選びきれなかった。


「私のこと、変だと思われましたか?」


「いや、それは別に。ヤマイなんて変でなんぼですし。普通に私の理解が追い付いていないだけかと」


「やっぱり素直な方ですわ」


 嬉しそうな桜の声を聞く。背後には花でも飛んでいるのではないかと思わせる雰囲気が漂っていた。


「あ、そうですわ、そう、あの……!」


 急に立ち上がった桜が固まる。私は黙って彼女のペストマスクを見つめ、桜は頭を抱えながら椅子に座り直した。唸る彼女はもう一度席を立つが、やはり座る。マスクの下では百面相をしていそうだ。


「言いたいことがあるならどうぞ」


「うぅぅ……ご迷惑で図々しい事を承知しておりますの。しかしここまで来てしまうと欲と言うのは抑えられないものになると言いましょうか、なんと言いましょうか……」


 桜が覚束ない足取りで私の前までやって来る。私の顎当たり、背が低めの桜を見下ろせば、彼女は完全に固まってしまった。


 葛藤してるのが手に取るように分かる。私は桜色の髪に視線を向け、再び彼女が喋り始めるのを待つことにした。


 部屋の中には桜の唸り声が時折響く。私はぼんやりと天井を見つめ、体感としては十分近く黙っていたように思う。その間に考えていたことと言えば流海のことだけだ。


「……お名前を……お呼び、したいんです」


 不意に桜の声がして意識が戻される。私は首を傾けて、口をもごつかせている彼女の表情を想像した。


「……失礼ながら、貴方は人間が持っている欲求全てが淡白に見えまして、私がお名前をお呼びしてもそこまで多大な影響は出ないのではないかとも予想してしまいましたの。だから、あの、い、一回だけならと思ってしまったんですがそれは私の押し付けでございますし、自己中心的な考えだとも重々承知しておりますので早々にお断りをしてくださったらとも思いまして……はい……」


 葛藤が垣間見える主張をされる。前置きがあったが確かに失礼だな。淡白であることを否定しないし、多大な影響は出ないのではないかと自分でも思っているけれど。


 桜は未だに何かを呟いているが、いつもの元気がなければマスク越しだと聞き取れない。


 私は再度天井を見上げて、被虐性欲マゾヒズムが格段に上昇する状況を想像した。ものの数秒で諦めたが。


 被虐性欲マゾヒズムが上がると言う状況が分からない。痛めつけられることに快感を得るようになるのか。それだと私はもしかして――事故に遭っても痛みを喜びに変換できるのではなかろうか。


 それは一種の好奇心だった。


 今まで事故に遭う時は無心で、無関心に、黙って享受するだけだった。しかし痛みが喜びになるのであれば、それは一つの救いになるのではなかろうかと。


 それでいて、手をこまねく桜の様子からも察する。彼女は私に限定したことではなく――誰かの名前を呼びたいのだ。


 口にせずとも流石に分かる。桜の声は自信なさげだが、空気はとても意欲的というか浮ついている。


 私の観察する癖はここでも発揮され、自分の好奇心と桜の願望は均衡が取れたように見えた。


「呼んでも良いですよ、名前」


 私は桜を再び見下ろす。彼女の肩は勢いよく跳ね、震える声が確認してきた。


「……よろしいんですの?」


「痛みが喜びになるんですよね? それは私のヤマイと相性がいい気がしました。実験しましょう」


「お、思い切りがよろしいと言うか、発想が飛躍していますわ……」


「物は試しってやつですよ。桜も私の名前、呼んでみたいのでしょう? 合意の上です」


 あれ、なんだか変な言い方をしている気がする。これだと怪しいやり取りを行う前の確認事項みたいではないか。しかも、こんな変な実験をしたって流海が知ったら怒りそう。でもきっと隠し通せない。


「それだと貴方が怪我をしてしまいますわ」


「その怪我をどう感じるかと言う実験ですのでお構いなく」


 私は視線を明後日の方に向ける。桜は悩んだようだったが、最終的には欲に勝てなかったご様子だ。


「……よろしいんですね?」


「はい」


「あぁ……人のお名前を呼ぶなんて何日ぶりでしょう。いえ、何十日ぶり? もしくは何年振り? 申し訳ないのに、胸が高鳴ってしまいますわ」


 私はそこで、いつも陽気な彼女でもフラストレーションが溜まっていたのだと察する。正直不健全な事をする気が否めないのだが、桜が楽しそうなので良いかとも思った。誘ったのは私の方だし、彼女にはいつも上着の修繕や道具の手入れでお世話になっている。……なんだかやっぱり不健全だな。なんでだ。


 私は桜に手を握られ、ペストマスクの目を見下ろした。


「では、お言葉に甘えさせていだたきますわ」


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます。そして、変な私をこれからもよろしくお願い致しますわ――空穂涙さん」


 桜に初めて名前を呼ばれる。


 私の名前を彼女が口にする。


 瞬間。


 私の背筋には言い知れない感覚が駆け抜け、足元から這い上がってくるむず痒さに顔が歪んだ。


 桜が私の手を握っている。それは優しい強さだ。けれどもそれでは足りないと頭の奥でけたたましく警鐘が鳴り響き、口の中に唾液が溢れる。それを無意識に飲み込んだ私は、自分が提案した実験をなんとか思い出した。


 桜の仮面を剥ぎ取って、そこで笑っていた彼女を見る。


 嬉しそうなのに泣き出しそうな顔で笑う桜。


 私は自分に向いた笑顔を認知し、後ろの衣装棚が倒れる音を聞いた。


 桜を突き飛ばして棚の下敷きになる。足首や太ももに衝撃が走り、倒れた棚を支えた背中には痛みが走った。昨日受けた肩甲骨下の傷が開く感覚もしたが、私はその痛みに――至高を覚えてしまう。


 膝が震えて目の前が眩んだ。星が散るような感覚は私の脳髄をぐずぐずに溶かし、どうすればもっと痛いを得られるかを画策する。


 これは、本当に、予想外。


 力が抜けた足腰でゆっくりとしゃがみこむ。棚は静かに私を圧迫し、額からは脂汗が滲み出た。


「だ、大丈夫ですか!? どうしましょう、棚をどうにか退かして、あ、いえ、でもこれは実験になっていますの? いえいえでもいけません、いけませんわ! 怪我はやはりいけません!」


「……桜、ヤマイの時間は、おおよそ……?」


「あ、わ、私のヤマイの効力はそう長くはないので、あの、十五分ほどで被虐性欲マゾヒズムは治まりますの!」


 桜が私の前にしゃがんで棚を支える。しかし彼女の細い腕では微々たる力にしかならなかった。棚によって平伏している私は彼女を見上げる形になり、焦っている桜に心臓が締め付けられた。床に玉の汗が滴り落ちる。


 自然と口角が上がってしまう。痛みを快感に思う日がくるなんて、誰が想像したのかと言う話だ。


「凄いですね。事故に遭うことを喜べる日がくるとは思いませんでした」


 桜の目が見開かれる。


 彼女は口を両手で覆うと、目尻に泪をうっすらと溜めて俯いた。棚の重さが少しだけ増すが、お互いにそんなことは考えられない。


「嬉しいですわ……まさか、誰かの為に自分のヤマイが役に立つ日が来るなんて……ッ感激ですわ!」


 桜が顔を覆って歓喜する。


 相手を想って名前を呼べないと言うのは歯痒かったことだろう。私はぼやけた頭で想像するが、勝手な共感は押し込めておく。この実験はある種の成功だと焼き切れそうな思考が主張した。


 桜のヤマイが、私にとっては一種の麻酔として作用した。ただの害悪ではなかったのだ。


 私は背筋をなぞる痛みに奥歯を噛み、道具室のインターホンが鳴ったのを他人事のように聞いた。


「小梅ちゃん、今日はまだ空穂さん来てない?」


「昨日アテナに行けてなかったから、今日は絶対行くってあの人言うと、思、う……」


 入って来たのは竜胆と朝凪。後ろには既に上着を着ている伊吹が立っており、三人は私と桜の様子に黙ってしまった。


「あぁ皆様!! 聞いてくださいませ、聞いてくださいませ! 私の、私のヤマイが! 役に立ったのですわ!!」


 道具室に桜の歓喜の悲鳴が木霊こだまする。


 私は更に倒れてきた棚の圧迫感に愉悦を覚え、絶叫した朝凪と竜胆に助け出されたのだった。


「涙さ、顔、かお、顔をッ! なんて、顔を!!」


「桜のヤマイ、私のヤマイと大変相性が良かったです」


「そういう問題じゃないと思うんだけど!? え!? 俺達ここにいて良い!? 大丈夫!? 出てく!? 女の子だけの方がいい!?」


「……不健全高校生」


「まぁ、心外ですわ!! こんなに喜ばしい事はヤマイが発覚して以降ありませんでしたのに!! お互いの利になる結果でしたのよ!? なんなら貴方のお名前をお呼びしましょうか! 私自身に加虐性愛サディズムはないのですけれど!!」


「悪かった。謝るから勘弁してください」

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