-04.悪夢再び…
俺たちは一通り家を案内して、外に出て食事するところを探した。
検索すると意外にバーガーを置いてるところが近くにない。
大分歩いたところのミラーズ川沿いにチーズケーキファクトリーとバーガーキングがあったが、圧倒的女子力に押し切られ、チーズケーキファクトリーになった。
ここにもハンバーガーがあったからいいんだけどね。
それから母さんたちは拠点に帰り、俺たちはホテルに帰った。
俺の部屋に集まり、ミーティング。
「源蔵さんに頼んであるベッドや机、いすが明日届けばこのホテル引き払ってもいいけど、たぶん早くても明後日だね。朝6時に転移して夕方の5時か。それぐらいなら用意できてるかもね。チャットソフトでそろったら連絡もらうようにするね。」
俺はチャットソフトに打ち込んでそのまま話を続けた。
「明日は朝9時にはRMV。試験受けてパスしたら晴れて免許書交付だけど、今の状態つまり仮免持ってて国際免許を持ってる状態ならバイクに乗れるんだよね。」
みんながざわめき立った。
「で、ネットで検索するとこのあたりにあるバイクショップはほとんどカスタムショップで新車とかは置いてないそうなんだ。で、少し遠いけど1軒見つけたんだけど…。」
「どうしたの?」
「そこのバイクショップで売ってるのは日本のバイクがほとんどなんだ。」
「「「「「「「「あぁ。」」」」」」」」
「どうせならアメリカのハーレー辺りが欲しいんだけどね。Boston Harley-Davidsonってお店があるな。みんなどうする?」
「「「「「「「「ハーレーで。」」」」」」」」
こうして俺たちはフロントでタクシーを呼んでもらい5台連なって、ハーレーショップに行った。
義男はようやくチョッパーに乗れると大はしゃぎだ。
店について、お店の人に断ってからまたがらせてもらったら。結構レーサータイプのやつがかっこいいな。
ただ…。
「お・・・おっきい。」
そうなんだよな。アメリカ人の体形に合わせてるから結構でかいんだよな。
俺はちょうどいいかもしれない。
女の子たちも身体強化の影響で、170㎝ぐらいまで身体が大きくなってるんだけどな。
店員に聞くとそういうカスタムパーツもあるそうだ。
義男はチョッパースタイルのバイクにまたがってみたが。
「なんか思ってたのと違う。」
と言っておりてしまった。
日本人がチョッパースタイル乗るとほとんど万歳してるのか分からなくなるからな。
「なんかつかまった宇宙人になった気分だった。」
と、よしお。
いろいろ見てまたがってみたけど、FLBSソフテイルかレーサータイプのELW-LiveWireかな。このカラーリングがいいね。やっぱり青かな。
「紀夫はどれにするか決めたの?」
「FLBSソフテイルかレーサータイプのELW-LiveWireかな。どっちもいいから両方買うのも有りかもと思ってきてるけどね。」
「へ~。確かにこのカラーリングいいわね。私は赤ね。」
「どれどれ。確かにかっこいいな。じゃあ俺は黄色かな。」
…マテ…まてまて。この流れはやばい…。
………
……
…やはり。
「ハイ。俺はNorio。日本からの留学生なんだけど、このバイクいいね。」
「ハイ、Norio。俺はコービーだ。いいだろ?このバイク。最新モデルなんだ。安くしとくぜ、どうだ?」
「いくらになる?」
「…このバイクは電気で動くんだぜ。わかってるか?」
「え?そうなの。知らなかった。じゃあ、あんまりパワーが出ないとか?」
「高電圧15.5 kWh充電式エネルギー貯蔵システム(RESS)で充電方式は2種類ある。レベル1対応の充電1時間あたり13マイルとレベル2対応のレベル1と同じレートで充電できるのさ。DC急速充電(Dcfc)で充電で来て、40分で0〜80%。60分で0-100%で充電が可能だ。フルで充電するとカタログスペックで146マイル走る。複合ストップアンドゴーでも95マイルになってるね。」
「…充電ステーションって、そんなにあるの?」
「正直に言ってないな。」
「そっか。ないのか。」
「でも家庭用充電で充電できるから燃費は結構いいぜ。」
「で、いくらなの?」
「30,149ドル」
「…」
「…それを28,000でどうだ?」
「…」
「…27,500だ。これ以上は負けられない。」
俺はコービーの耳元でささやいた。
「もし…もしだよ?俺が友達連れてきて一気に14台買うとしたら…。」
「14?14だって?」
「大きな声を出すなよコービー。ほかの店員が来て俺連れてかれちまうよ。いいの?」
「ああ、悪かった。」
「で、このモーターサイクルなんだが…。」
「…わかった。27,000でボスと話をつけてくるよ。」
俺はコービーとがっちり握手した。
その握手を握ったまままた耳元でささやいた。
「で、だ。コービー。ボスからボーナスもらいたくないか?」
「なんだって?」
「あそこにあるFLBSソフテイルなんだが、あれはいくらなんだ。」
「ゴクリ。」
「コービー。もう一度聞くぞ。あれはいくらなんだ?」
「…18,399」
「OKコービー。俺の聞き方が悪かったかな?」
「…17,500」
「そうかそうか。何だコービー。お前あんまり欲がないんだな?」
「ごくり……14?」
「14」
コービーは汗をかき、周りを見渡した。
「17,000」
俺はコービーの肩を叩きながら言った。
「Good。それでいいんだよコービー。じゃあ、合計28台を包んでくれ。」
「イエスボス。」
こうして俺は4,548ドルの値引きに成功した。日本円で45万?
俺は店のボスとも握手して女の子たちが乗るためのアジャストキットもおまけさせた。
アメリカでは日本のように止める場所の確保とかうるさいことは言わない。電化製品を買う気軽さでバイクは買えちゃうんだ。
俺たちはここからELWに乗って帰るんで、明日にでもソフテイルは拠点に運んでもらうことにした。
「また、買いに来るから。14人で。これからもよろしくね。」
「サンキュー、サー。」
俺たちはいつの間にか出したヘルメットとグローブを出して、ELWにまたがり、ホテルまで帰ってきた。
……もう二度と14人で買いに行かないぞ。二度とだ。
俺は呉竹駅前で白い顔を最後に見ていない、おやっさんの顔が瞼に浮かんだ。
俺はほかにもFLHRXS,FXBRS,FXDRS,XG750,XL1200CXなどを大人買いし、こっそりほくそえんでいたところを見つかり、みんなに乗り回されることになるのはそれからしばらくたってからだった。
だって、コービーに定価で買ってやりたかったんだよ。
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