-02.ボストン到着

 さてチェックインだ。


 こういうのを自分でやるのは初めてだから少し緊張するな。

 予約番号と本人確認をパスポートで終えて搭乗券とバゲージ・クレーム・タグを受け取った。

 アメリカン航空のマイレージってどうやってためるんだろ?

 今回しおりがフライトプランや宿泊の手配などをしてくれているので、気にしなかった。

 どうやら、先日渡されたクレジットカードがマイレージの蓄積もしてくれているようだ。

 つまりあのカードを使えばどんどんたまるんだな。

 道理で口座開設のためにみんなで銀行に行ったよな。もう一月以上前だから忘れてたよ。

 その口座には全員1億程預金している。俺は10億程移しておいた。


 海外旅行傷害保険なども自動的に入ってくれるらしく、それぞれの支払いもこのカードで行っている。

 俺たちが申し込んだのはクラシックワイドカードというもので、これは年会費が発生するけどさっきの海外両行傷害保険にも同時加入してくれてるらしい。


 うん。ごめんね。一度説明を受けてたみたいだ。


 成田空港では、大人2040円の空港施設使用料がとられるがこれはチケットに含まれているらしい。

 入国審査場の入口にいる係官にチケットとパスポートを渡しゲートをくぐる。出入国カードの入国部分はなくさないようにしないとね。

 ナイフなどの危険物は特に取り締まりが厳しいし、ライターなんかも機内持ち込みはダメだ。

 次に出国審査だ。事前に記入していた出入国カードを審査官に渡しチェックしてもらう。

 セキュリティ・チェックで義男が又キンコン鳴ってるな。ベルトのバックルが反応したらしい。


 これでようやく搭乗口の前まで来た。みんな空港施設が珍しく、トイレに行ったりサンドイッチを買ってみたりうろうろきょろきょろしている。

 俺たちが乗るAA60便の搭乗ランプがともり、搭乗を開始した。


 さすがにビジネスだよね。

 俺たちはゆったりとフライトを楽しむことができた。

 まず俺たちはダラス・フォートワース国際空港(DFW)で入国審査を受けた。


「今回の入国の目的は?」

「観光。それにMITに入学できないか聞きに行くんだ。」

「MIT?君みたいな坊やがかい?ハハハ。まあ楽しんできな。」

「ありがとう。」

 英語でこんなやり取りをした。


 みんな俺と同じやり取りするもんだから、審査官は驚いてたよ。

 14人も子供に見える俺たちがMITを見に行くって。


 まあ、驚くよね。


 俺たちはこの空港で2時間ほどの時間待ちをする。

 実際は入国審査に時間がとられたので1時間ほどだ。

 売店を見て回り、アメリカならではのしっとりとしたビスケットを自動販売機で購入。コーラと一緒に待合スペースで楽しんでいた。


 やがて乗継便の案内がアナウンスで流れ、現地時間で19時にDFWを飛び立った。

 4時間ほどのフライトで23時49分にジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港(BOS)にたどり着いた。


 いや~長かった。


 全部で18時間か。


 これエコノミーだったら、絶対身体がバキバキになってたよ。

 タクシー3台に分乗して、それぞれに男が一人乗るようにしてホテルに向かった。

 ホテルは口コミでも評判がいいザ ボストニアン ボストン(The Bostonian Boston)にした。ここからMITはチャールズ川をはさんですぐだ。


 俺たちは全員で、俺の部屋に集まり作戦会議だ。すでにアイテムボックスから日本で買ったおにぎりとか出して、食べながらの打ち合わせだ。うんやっぱり日本の緑茶はいいね。

 みんなのアイテムボックスにはお茶やジュースや缶コーヒーなどがダース単位で冷やしたものが保管されている。ほか弁なども50食程度入っているだろう。

 いつでもあったかいまま食べれるのがいいよね。


「レンタルバイクを探したんだけど、中型免許で乗れるバイクはレンタルしてないんだよね。だから購入することにしました。しかしその前に免許を取る必要があります。」

「え?国際免許じゃダメなの?」

「有効期限が1年間なんだよね。ここのマサチューセッツ州は日本の免許からアメリカへの免許の切り替えを認めてないんだ。もちろん認めてくれる州もあるんだけどね。ID(身分証明証)にもなるし、今から取得しておく方がいいんだ。明日明後日とみんなにはトレーニングコースを受けてもらうよ。それで免許は取得できるからね。」

「お?意外と簡単なんだな。」

「日本はかなりうるさいけどアメリカなら16以上は免許の取得に制限はないよ。排気量の制限も無いしね。ビッグバイクにも乗れる。」

「「「「「「「「お~~~!!」」」」」」」」


 うん。テンションが上がるよね。


「ただ、日本で俺たちは18歳未満だから、あ、真子さんたちはもう18だっけ?親の同意書と試験場で運転教育終了証をもらってきてるんだ。これと日本での免許証と国際免許証があればテストは受けられると思うんだけど、最終的に確実に受けれるという保証はないんだ。ただ仮免許の交付申請書はインターネットで取得できるから今からしてみよう。それとパスポートの身分証明部分のコピーも必要だよ。Visa付きのパスポートとI94は取得してると思うけど。」

「電話で聞けばよかったんじゃない?」

「一応聞いたんだけどね。貴美子さんの話では担当者によって受け答えが違うことはアメリカではよくある話なんだそうだ。だから実際に明日行って聞いてみるしかないんだよね。で、ドライビングスクールに通わないといけなくなると3か月コースになっちゃう。」

「「「「「「「「げ~~。」」」」」」」」

「だからうまくいくことを祈っておいてよ。豪運任せのところあるからね。」


 俺がそう言うとみんな笑った。

 何とかなるだろうと思ったからだろう。


「それでも免許証には住所を記載しないといけないんで、明日の午前中にもどこか部屋をレンタルするか、買ってしまわないといけないんだ。すでに順子さんが手配してくれてるんだけど…。正直結構不安があるんだ。」

「なんで?」

「日本でもアメリカに物件を持っている不動産屋や手続きしてくれる不動産屋はあったんだけど、最終的に誰も現地確認してないんだ。だから、「もしダメそうでも丸っとアイテムボックスに入れて修繕しちゃうか、黙って建築しておけばいい。」ということなんだ。本来なら日本でいろんな書類を用意したりしなけりゃいけないから結構時間がかかるんだけど、うちの会社の社宅ということで購入したからね。結構速くしてくれたみたいなんだ。手数料倍ほど払ったらしいけど。」

 俺はそう言って順子さんに愚痴を言われたことを思い出した。

「「「「「「「「はあ~~。」」」」」」」」

 みんな順子さんの性格は知っている。結構イケイケなのだ。


「だからその辺は現地調整ということで。というわけで明日は朝からまず不動産屋に行って家の権利書を取得して、昼からマサチューセッツ州陸運局(Commonwealth of Massachusetts, Registry of Motor Vehicles : RMV)に行って、まずはクラスM(オートバイ)の免許取得方法を確認して、ドライビングスクールで受けなきゃいけない時は紹介してもらってスクールに通う。日本に帰った後も拠点さえあればいつでも来れるしね。で、そのあと現地の家を見に行く。」

 大体これでいいかな?


「というわけで、明日、明後日の予定はほぼ埋まってます。明日は6時起床で朝食をホテルのビュッフェで取って、8時ごろにはタクシーで不動産屋に向かう予定です。じゃあみんなそれぞれで仮免許の交付申請書をネットでやっておいてね。」

 そのあとはそれぞれが部屋に戻り、シャワーを浴びてゆっくり寝ることにした。

 全員が無事にボストンについたことはチャットソフトで送信してるから大丈夫だろう。時差もあるしね。


 翌朝、みんなでゆっくりご飯を食べた。

 俺は起きてまず八極拳の套路をして、気の巡りを整えた。

 その際、震脚でホテルを騒がすのも悪いので近くの公園まで散歩していた。

 みんなもついてきて一緒に套路を行った。みんなも朝の習慣としてしっかり根付いているみたいだ。


 それが終わって朝食にした。


 歩いてもそんなに遠くないあたりに不動産屋はあるそうなので歩いて行くことにした。RMVはホテルから2ブロック先にあった。

 不動産屋の担当者はグレッグという人らしい。


「すいません。日本から来たNorioTamadaですが、グレッグさんはいますか?」

「私がグレッグだよ。」

「日本のマジカル・ワールドから来ました。Norioです。」

 俺はグレッグと握手した。

「うちの会社のJunkoから、お願いしていた家屋に関してなんですが、すでに支払いも終わってると聞いています。契約書と鍵をもらえますか?」

「ああ、日本の。でも君まだ子供じゃないか?」

 俺は英語で書かれた名刺を出して

「私がマジカル・ワールドのオーナーなんです。」

 名刺をまじまじと見ながら

「本当か?一度電話で確認してもいいか?」

 と聞かれたので

「もちろん、どうぞ。」

 と答え、順子さんに念話で今からグレッグが確認の電話するから対応してほしいとお願いした。

 やがて電話を終えグレッグは


「本当らしいな。疑って悪かった。これが契約書だ。こっちの受け取りにサインをもらえるかい?」

 俺は契約書を読んでサインした。


「OK。これであの家は君のものだ。ボストンを楽しんでくれ。」

「ありがとう。」

 俺たちはそこから出てそのままRMVまで歩いて行った。

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