-02.マンションの分譲開始しました

 俺はうまくいくかどうかわからないけどまずは最悪のところは回避したかなと会社に戻ってきた。

 みんなは今日の納品で初めのころにやっていた口頭メモをカルテに直してくれていた。

 写真も撮りなおしたそうだ。おそらく次は朝9時に来ても午前中には終わる見込みだと報告を受けた。


「ありがとうございます。」

 おれはみんなにあたまをさげた。

「何言ってんのよ社長。ここで毎日好きな事させてもらって給料もらってるんだから、社長のためには働くわよ。今日もスマホが動いてたから株を買ってくれてたんでしょ?」

 俺はしおりのお母さんに背中を叩かれて、励まされた。

「それにしてもあの呉服屋の担当者。いやらしい目で私たちを嘗め回す勢いで見てたわよ。本当に気持ち悪い。」

「あのバカ番頭。そんなこともしてましたか。」

 俺は呉竹呉服店であったことと俺が施したことの一部始終を説明した。


「う~ん。あのバカが変わるかな?」

「それは明日になって見ないとわからないね。」

「その暗示が聞いてれば、朝から謝りに来るかもよ。」

 俺たちはそう言いながら、情報がまとまっていたので全部の着物をアイテムボックスに取り込んで修復、復元して取り出した。

「本当に作業は一瞬なのにね。」

「そうなんですよね。でもこうして直した証拠を残しておかないとお金にならないんですよ。そういえばカルテに評価額書いてくれました?」

「うん。それは書いておいたよ。あの伝票もカルテが書き込まれたものに作り直した方がいいかもね。」

「そうですね。その方が使い勝手がよさそうですね。早速原稿作りますから明日にでも印刷屋に行って作ってもらってください。社長室の金庫に1億ほど入れてありますから、それ使ってくださいね。」

 しおりがさっそく伝票原稿を作り出してくれた。


「あとは皆さん自分の口座を確認してください。株の方の口座です。おそらく残金が5,000万円超えてると思うんですが、どうですか?」

 それを聞いてみんなが慌てて自分の口座を確認した。

「本当だ。」

 みんなは呆気に取られていた。

「その株取引の口座から自分の口座に移すのは一億円超えてからにしてくださいね。今後は残金一億あるという基本で運用していきますから。」

 そういうとみんなが呆気に取られていた。

「それと、三好さん一家と井之口さん一家。もしよければこのマンションに引っ越してきませんか?格安でお譲りしますので。今ならたったの1,200万円。34階、この一つ下ですね。そこの好きな部屋をどうぞ。」

 と俺はアイテムボックスから3403から3411までの部屋のカギを出した。


「え?のりちゃんいつの間にそんなに買ったの?」

「あれ?言ってなかったけ?この最上階買うときに34階も全室買ってるよ。皆さんの息子さん娘さんからは一部屋ずつ予約をいただいています。」

 俺はそう言って好きな部屋を選んでもらった。

 両脇の3401はすでに使っているので3402と3412は俺がもらっておいた。

「部屋の間取りは今日仕事してもらった3401と同じです。あ、角部屋だからちょっと違うかもしれない。気になる方は見に行って。」

 そういうと全員がそれぞれ一つカギをもって、一つ下の階に降りていった。

「気にいってもらえたなら、それぞれ1,200万円でお譲りしますよ。この金額は多分破格です。俺の豪運が味方してくれたみたいで、普通に売っても5,000万は堅いと思いますよ。」

 しばらくして帰ってきた面々は全員お買い上げいただくことになった。

 俺は母さんに権利書を渡して

「明日にでもこの駅前にある呉竹不動産に行って、権利書の名義変更を依頼してきて。若干手数料は取られるだろうけど、購入した証になるからね。それぞれ明後日には1,200万円ほどを自分の口座に動かせるように株で稼いでおきますね。そのお金で支払ってください。あ、住民票も明日取ってきてくださいね。名義変更の時に入りますから。」

 賃貸契約している家族はすぐにでも越してきたそうだった。


 翌日、米田家、加藤家、護摩木家、三好家、井之口家、明智家、徳田家が引越しを表明していた。


 予想外だったのは加藤家と徳田家は離婚を旦那さんに申し入れたらしい。

 今まで我慢していたらしく、ようやく離婚する踏ん切りがついたらしい。


 翼のところは家はほったらかしで愛人の家に入り浸っているらしい。

 あかりのところも同様みたいだ。


 う~ん。俺が背中押しちゃったかもね。

 仕事と住むところがあるんだもんな。

 それも今より快適。

 うん。ためらうのがバカらしくなるよね。

 うちと沢田家だけは今までのところにそのまま住むつもりだ。

 まあ、うちは畑もあるし、温泉施設も作るしね。

 夫婦仲もそんなに悪くない。父さんが建てた家だしね。

 千秋ん所もラブラブらしい。

 一度俺に会いたいとお父さんが言ってるらしいがなんだろ?

 まあ、貿易会社の社員だから俺の方こそ一度話をしたかったんだよな。


 それとしおりの所と義男の所は親父さんも一緒に引っ越してくるらしい。

 しおりのところは賃貸だったらしいし、義男のところは親父さんがどうやらうちの会社に入るらしい。本気か?


 スポーツジムの会員証は二人増えるからもう一つ枠を拡大するしかないね。

 これも母さんに手続きに行ってもらおう。確か社員が増えることで次の枠になるから、30人以下だったかな毎月の支払が10万増えるだけみたいだしね。

 それで手続きしてもらえるように頼んだ。

 カアサンズの皆さんは、お昼ご飯を食べてからスイミングに通われているらしい。

 いくら泳いでも疲れないから気持ちがいいそうだ。

 スタイルもどんどん引き締まってきていると本人たちが申しております。

 俺はこの件については触れんぞ。


 あくる日の放課後、いつものように会社に行くと米田工務店のおじちゃんが会社にいた。

「俺も雇ってください。家族でハブられるのが嫌なんです。」

 俺はおじちゃんの肩をポンポンと叩きながら、うんうんとうなずいておいた。


 その後おじちゃんにも一通り説明してから、以心伝心でラーニングした。

 ラーニング中にスクラッチを買いに行っておいた。

 今回は2セットだ。千秋のお父さんもそのうち来るだろう。


 今朝やはり、呉竹呉服店の番頭と店主が謝りに来たそうだ。

 番頭はつきものが落ちたような低姿勢で、同じ人とは思えなかったようだ。

「心入れ替えて頑張らせていただきますのでどうかチャンスをください。」

 と言って親子で土下座していったそうだ。

 うん。そこまでやって当たり前だよな。

 立ち直ってくれることを祈るよ。


 俺は今日の朝からしてもらうことを昨日のうちに指示しておいた。

 表裏の写真を撮って一通り見て、傷や汚れがないか確認して着物保存袋に入れてくれていた。

 この袋の発注はコンビニからFAXを送って電話で指示しながら印刷してもらった。

 間に合ったようでよかったよ。

 朝から伝票の作り直しにも行ってくれたようで、これも夕方には届いていたようだ。

 今回のやつはもういいや。このままコピーのカルテをくっつけて納品しよう。

 納品は次の搬入の際でいいので、それまで3402号室に保管しておいてもらった。


 3401を納品専用。

 3402を返却専用にしとかないと、搬入と搬出でぶつかっちゃうからね。

 あ。次は30日じゃないか。

 30日は模擬試験の日だ。俺は電話して納品と引き取りを翌31日に伸ばしてもらった。

 母さんたちにも伝えたので大丈夫だろう。


 そうそう。搬入時価格と洗浄補修時価格の差が2億を超えてるらしい。

 その半分が売り上げになるので一億の売り上げだそうだ。

 やばいね。

 まあ、この売り上げが回収できるのは再来月になるから、今は株で増やさないとね。

 今日も個人資産は7,000万ほど増えるように、買いの指示を出した。

 会社の資産は12億になっているので2億を当座預金に返還した。

 これで1億8千万円の利益が上がったことになる。


 順子さんにお願いして、俺が今まで使ってきた会社の費用を経費計上してもらうようにお願いした。

 明細は全部残してるからね。

 温泉計画もパワーストーンプロジェクトも全部会社経費に切り替わった。

 今後俺も会社のカードで支払いをしなくちゃね。

 売り上げとしては先日呉服屋から上がった5,000万円も利益計上だね。

 スポーツ施設利用料は福利厚生費として計上。

 リサイクルなんかの諸々は俺個人のものとしておいた。

 DTM関係もね。

 そういえば美智子さんが作曲してるって言ってたよな。

 うちの蔵に作ったスタジオも整備しなくちゃね。

 それでみんなでバンドデビューでもするか。

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