異世界に呼ばれて詰んだのでループしてどうにかします

morimori

コンティニューをはじめから

プロローグ 1-1

夢と言うのは誰もが持つ原動力である

しかしかつて夢を持ち、失った者はどこへいくのだろうか


早朝 草原

「……ん?」

俺は何故か草原のド真ん中で寝っ転がっていた

正直何が起こっているかの確認のため辺りを見渡す

一面草まみれのただの草原だ

「死んでるわけじゃないな……最後に布団に入って寝てたし」

そう言いつつ内頬を噛みながら夢じゃない事も理解した

辺りを見渡していくと向こうに城がある距離は十分あるが歩いていれば日が真上くらいにでる頃にはたどり着けそうだ

「……なぜだろう見覚えがある……知らないのに」

(はーい、そこのお兄さんちょっとストーップ!)

なんか面倒くさそうな声が直接入り込んできた

今からでもスルーしたい所だが……事情を知ってからでいいか

「で、用件は?」

(あなたに世界を救ってほs……)

「パスだ、人が救える世界があるものかよ……」

(用件を聞くなりバッサリと断った!?)

世界を救ってと頼んだ方が何言ってんだ

(じゃ、じゃあ何か加護とか……)

「いらない、この世界の情報を知ってる限りの全部教えろ。」

(……呼ぶ人、もしかして間違えちゃった?)

初対面でこんな辛辣な態度の理由はない

……ただ俺が神を信じないだけ

歩いていくと木の棒がありその先にスライムがいる

「これが初戦闘か……神、魔物を倒すと経験とかを貰えるのか?」

(ええ、基本はあなたが知っている知識で大丈夫です、撤退されても少しは入ります)

「じゃあやるか、ちょうどお手頃サイズの『木の棒』があるし!」

そう言いスライム目掛けて走るとスライムは自分の存在に気づくなり体当たりを仕掛けてきた

「そぅ……らっ!」

木の棒を両手で掴み力を入れ……現状渾身の一撃をスライムに当てる

横凪ぎのフルスイング、スライムは空の何処かへ飛んでいった……

「……これ経験に入ります?」

振り向き様に問い掛けてみた、見えもしないが神が腕で○を出した気がする

そうしている数十分間、神にこの世界の事を聞いた。魔法があって勇者もいて魔王もいる、そこまでは自分も知ってる情報だったが、その上で驚いたのは『魔法の仕様について』だった

「この『出す人や環境に応じて放つ物は違ってくる』って、もしかしてイメージしただけで出せるなんて事も出来るのか?」

(まぁ…十分な魔力があればね、今のあなたではまず無理ですけど)

「どうして?」

(加護を貰ってないから)

「なんで加護を貰う=魔力入手って繋がるんだ?」

(普通呼ばれた人は魔力すら持ってない状態で!ここに出されるからですっ!あなたが異常なだけですから!呼ばれたけど加護はいらないとか、普通なら1つくらいは選びますからね!)

「いやだって……その加護で世界の均衡に何かあったら元も子もないじゃん」

かわいそうな人を見る目でそう答えたら神の方からウグッって聞こえた

…………気にせず問おう

「『この世界はループをしている』ってあったけどいつ頃で起こるんだ?」

(あなたの世界の時間的に2週間後……です)

あ、拗ねてる

「2週間か、十分だな」

背景にあった城が十分な大きさになってきたそろそろ着く頃か

「じゃあ、街に着く前に一つ」

(……何?)

足を止め、神に真剣な表情で問い掛けた

2?」

(っ!)

少しの沈黙の後こう答えた

)

「やっぱり」ってか予想は付いてた

世界をループさせる……それはだけくらいでしか神様はやらない、ましてや争いを感じない所だ、『ストーリーが歪んだ』か『どうあがいても絶望になる状況』にでもならなければ起きやしないだろう

「ま、事情の大体はわかった、後はまともな武器と手頃な上着だな」

(漫画みたいな超速理解ありがとうございます、私はその為にあなたを呼んだんですから…)

「『少なくとも敬え』、なんて言い出すなら『友達感覚で接する』これが今できる神への敬いだ。」

あの様子しゃあ立ち直るには時間が掛かりすぎる、弱虫じゃない限り調子乗ってくれるんだが……

(じゃあ……助けてくれるのですか?)

あ、これ弱虫の方だ……ならば

「ああ、救ってやるとも、俺が救世主なんだしな?だったら救わなきゃ」

こうでもしなきゃ支えられないのだろうな……正直したくはなかったよ

(あ、ありがとうございますっ!)

「街に着いたらまずは装備を、その後で出来ることを増やしていく……だから泣くな、神は泣かないもんさ」

(……はい)

まだ涙声だが立ち直る時間は縮まった感じだな

「さてと、ほいじゃいきますか!……っとと、そういえば神様」

その前に個人的疑問があった

(なんでしょう?)

「この世界に経験があるって事は、レベルも?」

(ああっ、ありますあります!)

「やっぱり……それで今のレベルは?」

(じゃあ目をつぶって、確認がてらステータスを見ます)

そう言われるがままにつぶってみたら、ゲームで見かけそうなステータス表示が出てきた


『ミサキ・ヒロ』 レベル15


攻撃:140(+3)

魔法:22

速さ:30

賢さ:50

技量:42


スキル スキルポイント:07

《環境適応》《連続攻撃》《強化付与+》


待て待て待て待て流石にこんな強くなった覚えないんだが!

え?何?これ俺の!?

「一体どうなったら……」

(今3ループ目でして……)

目を逸らしそうな雰囲気で神が言う

ああそう言うことかよ、一撃の威力が高い時点でおかしいと思ったよ!

「レベル1とは思えないと思ったらこれか」

スライム戦でホームランした事に納得したよ

「……あれ?じゃあ起きて早々デジャヴ起きてたのもループの影響か?」

(えっはい、ループしても何か強い力が干渉すると、ループ後に記憶の保持が出来る……みたいです。)

って事は1~2週目の時点で神は俺と仲良くしていたって事になる、だから最初から明るめな感じで話しかけていたのか

(元は弱虫だったのに、あなたが慰めたり、元気付けたりしてくれて、使命を後回しにして精一杯私の弱虫を治そうと頑張ってて、そうやって少しは治せたの、あなたに恩があると言っていいかもね♪)

あー、そう言われるとなんか言いそうな言葉が相当数出てきた、言ったら言ったで恥ずかしさの余りに頭痛くなってきた

「じゃあ、1~2週目の俺は加護とかは?」

(同じように拒否られましたぁ……)

「あっ…はい」

道理で一緒にいて違和感もない事の理由もわかった所で

「そろそろ着くぞ、次に話せるのは泊まるところか、人気のない所で」

(わかりました…その……頑張って下さい!)

「オーケー、それだけは忘れないって事ね。」

そう答え俺は街に入って行った

まず最初に資金調達、丁度近くで怪力自慢の腕相撲やってるみたいな紙があったからそこに行くと……

「さぁさぁ!、この者に腕相撲で勝ったものは銀貨30枚!銀貨30枚だよー!」

見たまんまの怪力をしてそうな男性と商人が程よく集まってる人々の中心にいた

つい先ほど誰かがやって負けてたっぽいし

俺もやってみるか……その前に

「《スキルポイント割り振り》、スキル入手敵情確認(これで相手のステータスが見えるようになる)」

「へへっ、数秒でカタをつけてやる」

さてさて、相手のステータスは……っと

「レディ……ファイッ!」

「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬぅっ!」

何だ、攻撃力たったの60か……《怪力》のスキルで30も補正掛かってるけど、職人なら建築とかでやる雰囲気の人だな、なら少し接戦に持ち込むようにわざと斜めに……

「お、おおっ!」

観客たちも互角になっているように見えはじめてきた挑戦者と怪力男を応援しはじめた

……そろそろ逆転としゃれこみますか

「……えいっ」

軽い気持ちで怪力男の腕を倒すと男の全身が真横に回転して……倒れた

「おおおおおおおおおお!」

観客達が勝手に賭けや予想をしていたのか惜しそうな声や舌打ちが聞こえてくる

「で、ではこちらを……」

商人が袋を惜しそうな顔で渡してきた

俺は躊躇いなく袋を受け取り

「んじゃ」

そそくさと去るように走った


武具屋 ホーソン

「いらっしゃい!自由に見てってくれよな!」

資金の次は『武具の確認』この世界では攻撃力に応じて武器の切れ味とかにも影響するようだ

「この袋で買える範囲は?」

と店主に聞くと

「銀貨30枚ね、それなら最低値で言うならナイフからこのケースの物全部と……」

店主がガラスケースに指差し流れるように言った後に、後ろに振り向き一本のデカイ剣を見せる

「この、切るより潰す!叩くより砕くがセオリーで当店オススメの『バスターソード』が最高です。」

「そうか、じゃあ……」

『ナイフ』(銅貨5枚)二本『ショートソード』(銀貨3枚)二本、革の上着(銀貨2枚)替えを含めて3着購入した、まだ所持金に余裕があるし

「次は泊まるところだな……」


宿舎 ノーラン

「いらっしゃい」

「5日泊まります」

「銀貨8枚ね」

銀貨を渡し鍵を貰って部屋に入っていき

「ふぃ~、やっとやること全部終わった……」

(お疲れ様、この街はどうだった?)

「まだ一日目だよ、答えるのは早いし、それに……」

(それに?)

「もう少し歩きたい、そうしてから寝るよ」

(じゃあ、ここで待ってます)

「オーケー、じゃあ行ってくる」


「と、言いつつも何処に行くか……」

地図を見ながら歩いて数分、近くに学院があるが後回ししといて、後は路地裏辺りか

「ここを曲がれば路地裏に………」

ドンッ!!

「きゃっ!」

「……っ!」

何が起こったか一瞬反応が遅れたが、出会い頭に誰かとぶつかった

倒れているのは何かの学生服を着ている少女、今でも遅刻ギリギリと言わんばかりに制服は着崩れていた

「ごめんなさい、ぶつかっちゃって…ケガとかは…」

とりあえず、ステータス確……に……

《スキル》《

「……っ!」


朝 路地裏

「……はぁ……はぁ」

驚きの余りになにも言わずに走ってしまったが

「なんで勇者の素質を持った人がいるんだよ……」

勇者……だと?あれがぁ?

「……世も末か」

そう言いつつも宿に戻った

(お帰り、何かあった?)

「出会いたくない会い方で勇者に……ちょっとね」

(あぁ……、そうゆうことね)

「少し寝る、夜明け前に起こしてくれ」

(りょーかい)

まだ……戦いは起きやしないだろう、そう思って俺は普通に生きていた、だがそれを望む人が多くいて皆それぞれの武器と信念を持ってた

『ただ生きるため』『戦いを楽しむため』…………『

そう自問自答を繰り返し俺は眠りについた


早朝 宿屋

「ほら、起きてください」

「んっ……」

意識を取り戻すように揺れ起こされる

こうやって起こされるのは、久しぶりだなぁ……

「うぅ……後五分……」

そう言って布団に丸まる

「そう言って十分も眠るのがオチなんだから、起きなさーいっ!」

丸まった状態で布団を捕まれ勢い良く取り上げられる、相当力があったのか宙で1回転しかけた

「うおっ!布団を捲るな……ん?」

布団を捲った本人は長い白髪の女性で凛々しい見た目をしている

起こされるにしては違和感があると思ったら……


神が、実体化してる


「もう!起きそうにないんだから」

「え……あんたって実体あるの?」

「えぇ、まぁ……やってると疲れるから普通はしないけど」

「出来るなら出来ると言ってくれ……反応に困る」

「ごめんなさい、でも起きたでしょ?」

起きたでしょ?じゃないよ

神が実体で出てきちゃいかんでしょ……

「もうこれ以上突っ込みきれんな神……ってそういえば名前……」

「フーリ、と呼んでください」

「じゃあフーリ、質問がある」

「なんでしょう?」

真剣な表情でフーリに問う

「加護……なにがある?」

彼女の恩を売るためにも加護は貰う事にした

フーリはそう聞いては早々に紙を出した

《矢避けの加護》《魔術完全適応》《超反応》《武具の達人》《力の解放》《強靭な精神》《時間干渉タイムスリップ》《予知》《心象武具生成》……

「……結構あるな」

「レパートリーがないとここに転生する勇者さんがクレームを出しそうなので……」

神がクレーム気にすんのかよ……

「神様の目的を達成させるんだ、その為にも加護がいるはずだろう?取るならこの時期だと思ってな」

「では……どの加護を……」

「これでいい」

俺は《心象武具生成》の紙を取ってフーリに見せた

「わかりました、ではその紙をこちらに」

フーリに加護の紙を渡したとたん唐突にくしゃくしゃに丸めてから握り、離したら光の玉が出てきた

「ここに手を」

フーリに従い手を差し出すと光の玉が消え、玉だったものは魔力だけになり、俺の掌になだれ込むように入っていく


スキル入手:《心象武具生成》使用者の魔法に+50

装備している武器の構造を部分的に変えるまたは、武器そのものを自らの浮かべた武具へ変質させます


「よし、これでフーリの恩もしっかり返せたし後は実戦だけだ」

そう言いながら宿を出た


早朝 裏路地

「フーリに「裏路地に魔物の反応がありますよ」と言われて裏路地にいるが…おっ、いた」

フーリが言ってた通り、ゴブリンやゾンビが路地裏の日陰に潜んで集まっていた

「さて、狩りを始めるか」

ショートソードを二本、買ったときに店主に貰った鞘から抜き、構える

「加護の仕様がどこまであるか確めたいしな!」


《心象武具生成》起動


判定:ショートソード

可能箇所

刀身ウェポン)(握り手ハンド

ハンマー


刀身変更ウェポン・チェンジ

持っている剣の1本の刀身が魔力に包まれ

晴れたときにもう1本の剣が付けれそうな少し大きめな剣に

連結剣チェインソード!」

連結剣にもう1本の剣を付け、両手で構える

「ぬぅぅぅんっ!」

重さにまだ着いてこれない所がまだあるが、大振りの構えをする

構えをするときに不意打ちをしようとしていたゴブリンに当たり壁に押し付けられるように叩きつけられる

「そぉい!」

盛大な大振り、狭いからかゴブリン達はまともに動けず、その大半が肉塊になった

「うっわ、当面たたき類は見ない方がいいな……」

そう言い連結してたショートソードを取り出し

握り手変更ハンド・チェンジ長物スピア

ショートソードの持ち手が伸び、ゆっくり近づくゾンビたちに急所を的確に突いたり切ったりとしていく

「やけに数が多い……刀身変更ウェポン・チェンジ戦斧バトルアクス!てやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

長い得物の先端の刃を左右対称の大きな刃に変え、ゾンビの群れに押し出すように突撃をする

途中、ゾンビの一部が側面の刃に斬られ胴体と足が離れて動かなくなった

正面の1列だけ残ったゾンビに

変更取消チェンジ・アウト刀身変更ウェポン・チェンジ手斧ハンドアクス

倒れたゾンビに対し手斧となった刀身で滅多打ちにしていった


数分後……戦いがあったとは思えないほど静かに、肉塊や遺体の山を築いていた

変更取消チェンジ・アウトこれで、全てか……」

2振りの剣を鞘に戻そう

そう思った時、後ろから誰かの視線がして振り向く

振り向くと昨日の女性がいた、あまりに凄惨な光景を見たためか、十分警戒をとっていた


続く

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