【只今休載中】学校でオタバレしたらもて始めた件について。

白みそ

1.クラスメイトにバレる

黒板に叩きつけられるチョークの音。


板書の音が響く教室。


誰かが消しゴムを落とし、また誰かは寝ていて、そしてちゃんと先生の話を聞く人。

色んな人がいる。


俺の席は一番窓側の後ろ。

いわゆる最高の席と言われるところだ。

寝てもいい、内職をしてもいい、そうなにをしてもバレないのだ。

実際は全部先生にバレているらしい。


まあそんなことはいい。


先生の声が教室に響く。

「おい、齋藤!また数学の問題集解いてるな。何度言ったら直るんだ。私の授業中に他の教科のものするなと言ってるじゃないか。」


先生は珍しい金髪で、強面だ。性格もキツそうだが、本当は優しい。


「はい。すいませんでした。」

俺はいつも通りの返事をする。


先生の言っていることもわからなくはないんだけどさ、いいじゃん。授業の内容はわかるんだし。


「返事だけはいつも1人前だな。 まあいい、今日の授業は終わりだ。」


「気をつけ、礼!」


みんなが席を立つ。


「ありがとうございましたーー。」



〜〜〜〜〜〜〜

「拓人、また授業中に問題集やってて怒られてたじゃん。今度こそやめなよー」


こいつは村上蒼太だ。クラスでは俺に話しかけてくれる唯一の友達だ。


「はいはい。」


「そこだよー。返事がそっけないしさ、なんかちょっと怖いんだよー。だからみんな怖がって話しかけてくれないんだよーー。」


「はいはい。」


俺はまた同じ返事をしてしまった。

癖なんだよな、これ。


「もう。俺は拓人に友達を作って欲しいんだよ。

みんなさ、拓人のこと外見ばっか見てで判断して。

目つきが悪いからってさ、中身がどうなんてわからないのにね。」


「それに!返事ももうちょっと元気に言いなよ!結構印象かわるんじゃない?」


やっぱり俺は怖いのかな。少しずつ頑張ってみるのもありなのかもな。


そう授業が始まってもそんなことを考えてた。


〜〜

「はい、じゃあ今日の授業はここまでー。挨拶よろしく。」


「気をつけ、礼!」


「ありがとうございましたーー。」


気付いたら最後の授業が終わってた。


周りからはクラスメイトの声が聞こえる。


「うわー、疲れたーー」

「まじそれなーー」


こういう風に授業の後に仲良く戯れられるのは陽キャの特権なのかな。


俺もいつかああいう風になり…たい……なあ…………スピー。



(あれ?)


もうクラスには誰もいなく、一人だった。


(あーそうか。誰も起こしてくれなかったのか。まあ、そうだよな、うん。)


悲しくなりながら帰ろうとした時、ふと前の席に人がいることに気づいた。


「やっと起きたぁーー」


俺の事を見つめるのは同じクラスの浜辺さん。


長い髪の毛がとても綺麗でいつも光ってるように美しい。金髪でギャルみたいだが、それでも綺麗。

黒髪にしたらもっと可愛いのでは?と思いぐらいだ。

そんな彼女はクラスの中ではカースト上位である。


なのになぜ彼女が?


「なんで?って顔してるーー」


(バレてるらしい。)


「それはね、私の机の下に魔法少女アリスのフィギアが落ちててね、私のじゃないから齋藤くんのかなーって思って確認しようとしたの。」


彼女は頬を膨らませてプンプンしている。


「それで、俺が寝てたから確認できなくて起きるまで待ってくれたと。」


「せいかーい!」


彼女はにぱーってなって言った。


すごく感情が豊かだなぁ。


「それでさ!魔法少女アリスって最近急に人気になったあれだよねー?」


笑顔のまま俺に質問してきた。


「あれっていうのはわからないけどそうだね。深夜にやっているんだけど、有名芸能人Aさんがこのアニメ好きなんだよねーって言ってめっちゃトレンドになってたんだよ。」


「へえーそうなんだ!私も今度見てみよっかなー」


頷きながら話す浜辺さん。

これは破壊力のある可愛さだ。

「まあいいや、それで斎藤くんので合ってた?」


「あってるよ。」


俺は少し背中に冷や汗をかきながら返事をした。


「よかったーー! じゃあまた明日ねー!」


手を大きく振りながら帰っていった。


「お、おう。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る